後味の悪い話

【後味の悪い話】映画「サイレントヒル」

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800:1:2006/07/17(月) 18:54:40 ID:ddUy1Epg0
映画の話から。今でも上映中の作品なので
ネタバレ注意!

ホラーゲーム原作の映画化「サイレントヒル」

ローズにはシャロンという養女がいる。
シャロンは夢遊病で、夜中ふらふらと外を徘徊しては
「サイレントヒルにいくんだ!」と叫んで危険な行動をし
両親たちを心配させていた。
行動派のローズは夢遊病の原因を突き止めるために
実際に「サイレントヒル」という町に行ってみるべきではないかと
思い立った。
理性派な夫クリストファーはいままでどおり薬治療を
進めるべきとしていた.
だがそれを振り切ってローズはシャロンをつれ、実在の町サイレントヒルへと
向かうことに。

801:2:2006/07/17(月) 18:55:34 ID:ddUy1Epg0
サイレントヒル。
そこはとある事件がきっかけで地下火災が起き、
いまだ沈火しないために封鎖されてしまった
ゴーストタウンだった。
この町がまだ活気ある観光地だったころ
とある宗教が隆盛していた。
魔女の存在が信じられ、疑われたものは
迫害され実際に火あぶりの刑に処せられるという
悲劇が起きていた。表向きではその事件は隠蔽されているが
くだんの地下火災もこのことが原因であるようだ。
そしてその事件以来この町は、現実の次元に存在する「サイレントヒル」と
異空間に存在する「サイレントヒル」二つの顔を持つことになってしまった。
現実の次元では地下火災で一酸化炭素が蔓延する廃墟でしかないが
異空間に存在するサイレントヒルは、灰の雪が舞い晴れない霧が立ち込め
醜悪な姿をした謎のクリーチャーの徘徊する「悪夢の町」と化していた。
そして、ローズとシャロンが迷い込んでしまったのはこの[悪夢」のサイレント
ヒルの方だった。

802:3:2006/07/17(月) 18:56:11 ID:ddUy1Epg0
ローズはこのサイレントヒルで娘シャロンを見失う。
必死に娘を探すローズ。
しかしその前に現れるおぞましきクリーチャーのむれ、マスクをかぶった
正体不明の男たち、シャロンを自分の娘だというみすぼらしい老婆。
そして悪夢の訪れを知らせる不快なサイレンの音。
サイレンが鳴るとこの町は更なる悪夢に落ちてゆく。
壁はただれるように赤く染まり血管が走り、床は剥がれ落ちそこから赤さびた
金網がのぞく。そしてやってくる「赤い処刑人」。
処刑人は悪夢の中に取り残された人間たちに恐ろしい運命を与える。
手に持った大鉈を振り回し、皮をはぎ、臓腑を抉り出し…
次々と赤い処刑人になぶり殺されてゆくマスクの男たち。
ローズは目もくらむような残虐な光景を目の当たりにしながらも
必死に逃げた。
そしてその先々で出会うシャロンに瓜二つの少女アレッサ。
アレッサは言う、「I’m Burning(私、燃えているのよ)」
そして炎に包まれるアレッサ。
アレッサと行方不明のシャロンのあいだに関わりを感じるローズ。

ローズは町の一角に教会のような建物を見出し、その中に逃げこんだ。
そこはかつてサイレントヒルで権力を握っていた宗教団体の総本山だった。

代表者のクリスタべラは神を妄信しており、現在のサイレントヒルの
おぞましい状況も「本来滅び行くはずの世界をかろうじて神がお救いくださった」
というように捉えていた。
そして人類の生き残りとしてマスクのものたち(ごく普通の人間、信者たち)を使い「魔女」に
抵抗しているのだという。

803:4:2006/07/17(月) 18:57:06 ID:ddUy1Epg0
クリスタべラが言うには、この町の地下に「魔女」がひそんでいるのだという。
自分たちが燃やした魔女がまだ生きていて、この世を滅びに向かわせているのだと。
ローズは娘を助け、この町から脱出する手がかりをつかむため、自ら魔女に会いに行くことを決意する。
クリスタべラの手引きによって地下に降りるローズ。
そこにはシャロンに瓜二つの少女、小さい魔女アレッサがいた。

アレッサは自分がなぜ魔女になったのかをローズに伝えた。
父親不明の私生児。
たったそれだけの理由で魔女として迫害されたアレッサ。
残酷な日々の後ついにアレッサは火あぶりの刑に処せられた。
母親の通報により一命を取り留めたが、身体は真っ黒にやけどし
生きているのが不思議なほど痛々しい姿になってしまった。
病院の治療室の中、激しい痛みに苦しみながらでアレッサはすべてを呪った。
「復讐を」
人々の正義が、信仰心が一人の無辜の女の子を魔女にした。
そしてサイレントヒルの町は教団の人間たちともどもアレッサの悪夢の中へと取り込まれた。
そのとき分断された少女の良心は赤ちゃんとなってローズの元へ。
それがシャロンである。

ローズはアレッサの復讐に力を貸すことを選んだ。

教会へもどり、そこにシャロンを見出すローズ。
しかしシャロンはその容姿のせいで魔女として火刑に処せられようとしていた。
止めようとしてクリスタべラにナイフで刺されるローズ。
しかし彼女から流れ出た血は魔女アレッサを呼び出してしまう。
教会のなかに悪夢が訪れる。
魔女によって次々と殺されていく信者たち。阿鼻叫喚の地獄絵図。
血霧を浴びながら無邪気に踊る小さい魔女アレッサ。

804:5:2006/07/17(月) 18:58:13 ID:ddUy1Epg0
その騒乱の中ローズは火炙り敬具の中からシャロンを助け出し、娘をしっかりと
抱いた。
そこへやってくる魔女アレッサ。
シャロンがアレッサの姿を認めたとき、彼女の意識がふっと遠のいた。

悪夢がおわり、静けさを取り戻した教会の中でぽつんとたたずむ老婆がいた。
彼女は娘の火炙りのあと、ショックで精神をおかしくしていたアレッサの母親であった。
「どうしてあのこは私を殺さなかったのだろう。」老婆がつぶやく。
シャロンをつれたローズがそれに答える。
「子供にとって母親は神よ。」
そして教会を後にした。

分断されていたはずの道が再び繋がる。
ローズはシャロンを車に乗せ、家路へとついた。
夫クリストファーの待つ我が家へ。

クリストファーは妻と娘を探していた疲れをいやすためてソファで寝ていた。
そのソファへと近づくローズとシャロン。
気配に気付き身を起こすクリストファー。
妻を、そして娘の名前を呼んだ。
しかし妻も娘も帰り着いた喜びを現そうとはしなかった。
彼女たちの目に、夫は写っていなかった。
クリストファーの目にも彼女たちは写っていなかった。

ローズは無表情に夫のいるはずのソファーを見つめる。

窓のそとではいまだ深い霧がけぶっているのだった…。

END

長文スマソ。

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