日本のアニメ・ゲームクリエイターへのお金の還元が異様に低いことが話題です。「若手アニメーターの平均年収は110万円」「1カ月の平均作業時間が350時間を超える」という現状のなか、制作を続けたくても生活が出来ないといった声が聞こえます。
なぜアニメの制作現場は劣悪な環境に陥ったのでしょうか?
目次
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手塚治虫の功罪
まずアニメファンであれば誰もが知っている「手塚システムの功罪」です。国産アニメ1号として放映された『鉄腕アトム』は当時から大人気となりました。しかし当時は「アニメ=子どもが見るもの」という風潮があったため、虫プロダクションに支払われる放映権料(制作費)は1本50円程度と、非常に安かったといいます。
しかし手塚治虫先生は、赤字になっても漫画で稼いだ膨大な私財を投入してアニメ制作を続けました。これが原因で手塚治虫さんの亡きあと、虫プロダクションは破産してしまいます。そして今でも「このくらいのお金で制作できるよね。手塚治虫さんはできていたよ」という悪循環が生まれてしまいました。
このように安い制作費で制作する図式は、手塚治治虫が礎を築いたといえます。
宮崎駿監督が意を唱える
こうしたアニメ制作現場の惨状を救うべく立ち上がったのが、宮崎駿監督です。宮崎駿監督は1985年にスタジオジブリを設立し、アニメーターを正社員化・固定給化することで、質の高いアニメーション作品を次々と世に送り出します。
監督は、かつて手塚治虫への追悼にあたり「手塚治虫が1本50万円という安価で日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』を始めたおかげで、以後アニメ番組の制作費が常に安いという弊害が生まれた」といったニュアンスのコメントをしています。
これは漫画家・手塚治虫に対しては尊敬の念を持ちながらも、アニメーション作家としての手塚に対しては恨み節とも取れる発言でした。しかし、アニメ制作現場は50年以上を経た今も創成期とさして変わりません。アニメーターは出来高払いの請負制で、番組が1本終わればどうなるかわかりません。
現在では、興隆してきた外国製のゲームのほうが高クオリティなものがあり、給料も日本の10倍以上がざらではありません。日本から優秀な人材が消えていくという悪循環になっています。

これからのアニメ業界の道行き
というわけで、日本のアニメ制作技術が秀でたものであるのは間違いないものの、優秀な人材や技術がいたずらに海外へ流出しないためにも、日本のアニメ業界は早急に成長しなければならないと思います。というか日本はアニメ業界に関わらずブラック業界が多すぎます。(^^;)
というわけで、ここからはアニメ制作系のリアルな惨状をまとめてみました。
アニメ制作の現状紹介
日本の支払いが少なすぎる件
ですよね。
自分も去年請けた海外クライアントのお仕事、
最高額だとレイアウト作監1カットのみで16万、
同作品通常カットのリテイク作監で1カット3万、
別作品の原画で1カット5万でした。
つまり日本国内のアニメ会社と比較すると
上から200倍、40倍、10倍、の値段になりますね。
ゲーム関連の仕事だったけど、日本の2倍3倍とかじゃない10倍近く単価違ってました。皆さん家族食べさせていかなきゃいけないし海外の仕事取っちゃうよね。
— 新井 淳(ver.4) (@arasan_fourth) March 1, 2022
渡米された先輩はDisneyでアニメーターされてプール付き一軒家にお住まいでしたドリームありますね🍀私は当時動画マンで150万円
— ノリエ (@KanakuboNorie) March 1, 2022
制作費未払いの件
せめるよ。2年半前に演出料不払いしたアニメ制作した会社を、実名で一般週刊誌に掲載させるよ。弁護士などと相談の上、刑事訴訟も検討。だから、民事の時効をまったんだよ。報酬支払わず、DVDになり配信されており、まずは親会社の労組、各配信会社への訴えもする。甘く見てただろ、覚えてろ!
西村大樹さん: 映画監督・アニメ演出家。実写映画『たそがれのあとに』劇場用アニメ『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸ー再会ー』近年のテレビアニメ作品『戦闘員、派遣します!』『WIXOSS DIVA(A)LIVE』に関わった人だそうです。
— 西村大樹(武井紗良ちゃん神推し!) (@taiki_nishimura) March 5, 2022
僕もアニメ会社訴えたことあります。勝ちました。応援してます📣
演出料不払いしておいて📀DVD は発売するなんて…
けしからん会社ですね❗
訴訟がうまくいく事をお祈りします🙏
お(^o^)何処だ何処だー
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漫画が映画化しても製作者に入るお金が少なすぎる件
空知先生の名言
テルマエ・ロマエの映画化で作者に100万円しかはいっていない件
映画『テルマエ・ロマエ』の作者へ支払われた使用料は興行収入58億に対して作者への支払額は100万円。映画『海猿』は興行収入70億に対し、作者への使用料は250万円でした。
いやせめて興行収入の1%は払えよ!!
ゆうちょの金利かよ!!
— とーーーこ (@singingsugar) August 5, 2021
100日後に死ぬワニが書籍化や映画化するのはいいのだ。
作者の人にお金が入るのならいいのだ。
……でも、テルマエロマエの時に、作者の人に入ったお金は原作使用料の100万円だけだった、という日本のクリエイターに関する現実を思い出してしまって心がざわざわするのだ。
なんか朝起きたらバズってたのだ……
あと、100万円は映画化の際の原作使用料なのだ。書籍化の際は印税はちゃんと支払われてたであろう事は理解してるので、引用リプやDMでのツッコミはそろそろ止めて欲しいのだ……
— しらたま (@shiratama13) March 20, 2020
なんかのテレビ番組で、マンガ原作のドラマ・映画が最近多いのは「原作者に使用料を払わなくていいから」だったからな…多分使う側の認識はそれに類するものなんだろう。テルマエ・ロマエ映画化に際してヤマザキマリさんが、不当だって訴えたとか聞いたけど、それ以外の方はどうしてるのかな。
漫画の、映画化に際しての原作料が安いのは知ってたが、テルマエロマエでも100万とかスゲーな。どうせ本が売れるんやから、それでええやろ!みたいな映画サイドの人間の傲慢さなのか、それとも単純に金がないのか両方か。
原作者に100万だけ渡して後はかかわらせないとか…たしかにそれじゃあ使い捨てコンテンツにしかならないわな。それじゃダメだろうに。
ヤマザキマリさんも映画興収58億のテルマエロマエの原作料100万(金額間違えてたらごめんなさい)と言ってて、超!ビックリした。0から生み出した原作者にお金が回らないシステムだと面白いものが生まれなくなっちゃう。
実写映画化の原作使用料なんて
50億稼いだテルマエロマエは100万
70億稼いだ海猿は250万しか貰えてないので話題性で原作売れた印税が加わるくらい
…色々と原作者不遇だなぁ
テルマエ・ロマエは作者も知らぬ間に映画化が進んでて、しかも100万しかもらってないって話だから褒めちゃいかん
「テルマエ・ロマエ」、マンガも映画も面白かったが、映画の興収が70億円以上なのに、原作料100万円なんて、舐めきった話だ。お前の原作を映画にしてやるんだから、100万で喜べという態度見え見え。「海猿」の原作者も映画化から手を引いたよう。
知らない間に映画化が進んでいたテルマエ・ロマエ
今、テレビ番組でテルマエロマエの作者さんが映画化までの流れを話してたんだけど、「原作使用料として100万円入金されるからよろしくね」っていきなり言われて終わっちゃったんだって。金額も勝手に決められてたんだって。そりゃ原作者の意向なんてまるまる無視のひどい実写化が横行するわけだ…
友人のクリエイターから聞いた話でもそんな感じ。
社会が貧しいと、クリエイションに価値があるのではなくそのクリエイションで財を創出する為の資本を持っていることのほうが価値があると謂うことになるんだよね。
そう言えば、「テレビは何故面白くなくなったのか」と謂うような話がRTされてきたけど、もっと身も蓋もない本質論を言えば、今のビジネス感ではアイディアや企画は個人の単純労働だから賃仕事であって、本当に価値があるのはそれに資本を投じて具体化するシステムだと思われてるからでしょう(笑)。
そのシステムにとっては個人の創意や工夫なんてそんなに価値のあるものではなくて、テレビビジネスの中核となる価値とは、それに資本を投じて具体化するシステムのほうだ、と謂う感覚がある限り、テレビは面白くならないですよ(笑)。
その感覚においては、本当に視聴者を楽しませているのはテレビシステムのインフラであって、個人のアイディアや企画なんて幾らでも取り替えの利く消耗品の燃料みたいなものだと思われているわけでしょう。そりゃあ、そんな前提で面白いものが創れるはずがないですよ(笑)。
「幾らでも取り替えの利くものには価値がない」と謂うのは市場原理からして当たり前でしょう(笑)。だから今のテレビはつまらないんですよ。
今の日本では、コンテンツビジネスにおいても「個々の創意の代替不能性なんて虚構であって、その虚構をインフラのシステムが維持しているんだ」って料簡でしょう。それは普通に市場原理で考えても価値が生み出せるはずがないんですよ。
山に行ってストーブにくべる薪を取ってくるような料簡でクリエイターを扱っていれば、それは面白いコンテンツが出来る道理がない。そう謂うのを文化的な貧しさって謂うんだろうね。
論より証拠で、今のアニメシーンを見てごらんなさい。アニメを創る為の個別の原作なんてストーブにくべる薪以下の扱いですよ。さっきのテルマエ・ロマエの一〇〇万円の話じゃないけどさ、数十億円のリターンを得る為のアイディアを一〇〇万円で買おうと思ってるわけですよ。
んで、しかもその上に、数十億円稼げるコンテンツの中核的なアイディアを提供した人間に一切口を挟ませないようなシステムが出来上がっているわけですよ。それで文芸の世界が面白くなるわけがないでしょう。
もうちょっと詳しく言うと、マンガや小説の原作の映像化権って、間に入っている版元の然るべき部署が勝手に管理している場合が多くて、今は大体そう謂う契約になっているわけね。だから、テルマエ・ロマエみたいに作者の頭越しに話が決まって、もらえるお金まで他人が決めちゃうわけ。
結局ですね、小説やマンガを具体的な雑誌や書籍と謂うパッケージ化して売るシステムのほうに価値があって、そのコンテンツを創造する作業は平準化された労働で、幾らでも代替出来るのだと謂う認識であれば、個々のコンテンツが平準化された大量生産品なのは当たり前なんですよ。
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映画線作者サイドからみた業界
と、ここまでは映画製作者サイドに酌量の余地はありませんが、一応反対サイドからするとそれなりの理由があるそうです。結論からいうと「一般的に作品が「コケる」リスクが大きいこともあり、原作料は安くしておきたい」というのが理由だそうです。やっぱり酌量の余地はなさそうです。(^^;)
以下、記事からの引用です。
「テルマエ・ロマエ」の原作使用料が安すぎた経緯
ヤマザキマリさん作の漫画「テルマエ・ロマエ」が映画化され、興行収入の割にヤマザキさんに支払われる原作使用料が低額だったという騒動について、ヤマザキさんの代理人を務める弁護士がコメントを発表した。
書籍の二次利用について出版社が独自の権利を主張しつつある中、出版業界は作者の権利がないがしろにされていると言ってもいい状況に陥っていることが、今回の騒動で明らかになった。
「金額が不満なのではなく、十分な説明なかったことに疑問」
発端は2013年2月23日放送の番組「ジョブチューン ~アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」(TBS系)に出演したヤマザキさんが、「映画『テルマエ・ロマエ』の興行収入が58億円だったのに原作使用料として支払われたのが100万円だった」と明かしたことだった。ヤマザキさんは他にも「権利を出版社に売ってしまう形になるので、100万円で何やってもいいよっていう状況に」「知らないうちに出版社から『あんたの所に後で100万円くらい入るけどあれが原作使用料だから』って」「丸1日かかる番宣もノーギャラ」といった内情を暴露し、インターネット上で「そんなに安いのか」と驚きが広がった。映画の製作にフジテレビが関わっていることから、フジテレビへの批判の声も高まっていた。
騒動を受け、ヤマザキさんの契約交渉や契約管理などの代理人を務めている四宮隆史弁護士がコメントを発表した。
フジテレビと直接の契約関係にあるのはヤマザキさんではなく出版社(エンターブレイン)で、フジテレビが原作使用料を低額に抑えたなどの事実はない、とした上で、ヤマザキさんは100万円という金額に不満を抱いているわけではなく、金額設定について出版社から十分な説明を受けていないことに疑問を抱いていると説明。作者の知らないところで第三者同士が作品の価値を決め、十分な説明もなく結論だけ知らされることで「作品をリスペクトする気持ちがないのではないか?」という不信感につながっていくとしている。
さらに四宮氏は、最近の紙媒体の事業の低迷などにより、出版社が書籍の電子化や二次利用について独自の権利を主張し始め、それを守るために作者に十分な説明をせず、作者は自分の作品がどんな条件で売られているか知ることも出来ないという問題点を指摘している。
イタリア人の夫から「ノーギャラおかしい」指摘される
今回の問題について、四宮氏からさらに詳しく話を聞くことができた。
四宮氏は映画公開の約4か月後、12年8月頃からヤマザキさんの代理人を務めるようになった。それまで契約交渉や契約管理は全てヤマザキさん1人で行っていたが、手が回らなくなり、専門家に依頼することになったという。
ヤマザキさんの夫はイタリア人の文学研究者で、現在2人は米シカゴに住んでいる。映画化にともなってヤマザキさんが多忙になり、家族と過ごす時間が減ったことで家族の中で問題になったことがあった。「それでいくらもらっているのか」と聞かれ、原作使用料の額や番宣はノーギャラという話になり、「それはおかしいだろう」となったそうだ。
四宮氏が代理人になってからは、出版社と定期的に協議し、製作が決まっている映画「テルマエ・ロマエ」の続編の原作使用料の取り決めや、1作目の原作使用料も含めた過去の契約の見直しについて話し合っているという。
ちなみに、テレビドラマ・映画「海猿」シリーズの原作者である佐藤秀峰さんも、11年9月、ツイッターで原作使用料の問題点を指摘していた。
「一般論としてですが、マンガを原作に映像作品が作られた場合、原作者である漫画家に支払われる原作使用料の相場は以下の通りです。1時間テレビドラマであれば、20~30万円、映画であれば100~200万円。1クールドラマをやれば200~300万円です」
「視聴率や興行収入に応じて、成功報酬が支払われる例は少なく、1回原作使用料を受け取ってお終いというのがほとんどです」
「出版社は『例え原作使用料が安くても、映像化が宣伝になり、単行本の売り上げが伸びるので、損を飲んで得を獲れ』的なことを、漫画家に対して言います」佐藤さんは現在、「ブラックジャックによろしく」など自身の作品の著作権を100%所有し、全話無料公開、商用・非商用を問わず2次利用完全自由という画期的な試みを行っている。
一方、映画製作者サイドからすると。一般的に作品が「コケる」リスクが大きいこともあり、原作料は安くしておきたいというのが本音。出版社は映画化が宣伝になり、原作の売れ行きに貢献することから、値切られても応じざるを得ないのだという。
参照元記事:https://www.j-cast.com/2013/03/05168308.html?p=all
これはテルマエ・ロマエが映画化してヒットした時にヤマザキマリさんが自分のところに入ったのは100万円とツイしたので、どれだけ映画関係者たちが原作者から暴利を貪っているか世に知られて騒ぎになったものの、世の常であっという間に過去の話題として忘れられ、知る人も殆ど居なくなりましたよね...
アニメ化、ドラマ化、映画化、実写化、やるならしっかり原作者や漫画家に報酬を払ってあげて欲しい。
映画化しようがヒットしようが漫画家は100万しか貰えない、宣伝は無料奉仕、だったら家で原稿描いてる方がいいって言ってた漫画家さんの言葉が忘れられない。
あとなんでも実写化はやめて!マジで!
舞台化も映画化もおおいに歓迎するけど原作者様の権利が守られ金銭的にきちんと還元されますように。テルマエ・ロマエの作者に100万しか支払われなかった勝手にグッズが作られてた話は何時だっけ?
※グッズは無許可で作られ、その分は作者へ還元されないそうです。鬼○グッズとかだいたいそうだと思います。
まとめ
というわけでアニメ業界の惨状でした。映画製作やアニメ制作にお金が膨大にかかるのはわかりますが、クリエイターが生活できない状態では技術や人材の海外流出が起こります。またアニメ業界に関わらず日本はこういったブラック事例が多すぎるので、どうすれば良いものかと思います。