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不可解な体験、謎な話~enigma~ Part52
313 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 17:53:45 ID:NX8Hv8u50
私のじいちゃんは、私が小さかった頃によく山の話をしてくれた。
その頃はまだその話を信じていたけれど、年を重ねるごとにそれらの話は、
じいちゃんが私を楽しませる為にしてくれた、与太話だと思うようになっていた。
しかし、最近母ちゃんからある出来事を聞いたことで、
じいちゃんの話は本当かもしれないって感じてきたんだ。
ちょっと記憶が曖昧な部分があるんだけども、じいちゃんから聞いた話を投下するよ。
伝聞語尾は鬱陶しいから外すね。
じいちゃんが小学校に通っていた頃。
じいちゃんは山間部の小さな村に住んでいて、よく山に入っていた。
遊び……もあるけども、山に入る理由の大部分は、
茸や山菜を取ったりウサギを捕まえるといった、食料収集だったのだ。
じいちゃんって6人兄弟の末っ子なんだけども、
じいちゃんと、三男・五男のじいちゃんの兄ちゃんが、その仕事を割り当てられてたんだ。
で、最初の頃は3人で茸なんか取ってたんだけども、その内じいちゃんも慣れてきたからっていうんで、
3人バラバラに山に入るようになった。
ある日、じいちゃんは、ウサギを捕まえる罠を仕掛けに山に入っていった。
罠を仕掛けるポイントってあるんだけど、今日は違うポイントを発掘しようと、
いつもとは違う場所にやってきた。
道なんてない。樹木と雑草で覆われた荒れた所を、ずっと登って行った。
で、この辺りかなと思われる場所にやってきて、さぁ罠を仕掛けるぞと腰を屈めた時だった。
ガサガサ
じいちゃんの後方から物音がした。
ウサギだったらラッキーだけど、猪だったらどうしよう……と罠を仕掛けようとした手を止め、
おそるおそる後ろを振り返った。
草陰に隠れよくは見えない。
けれども、草陰に隠れるのならば、ウサギかウリボーだなと思い、すくっと立ち上がってみた。
しかし、そこにいたのは鶏だったのだ。
村で鶏を飼っている○○さん(名前忘れた)のとこのかな?と思ったのだが、
こんな山奥まで鶏を放すわけがない。
野鶏か!とも考えてみたが、
こんな山奥にいるというのに、汚れ一つ見当らない、とても綺麗な毛並みだったので、それも違うと考えた。
では、何故こんなところに鶏が?
しばらくボーっとその鶏を見つめていたじいちゃんだったが、ある所に気がついた。
314 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 17:55:31 ID:NX8Hv8u50
この鶏、鳴かないのだ。
首を振る動作、体の動き、見た目。
それらは全て鶏のそれだったのだが、鳴き声というのか、「コッコッ」っと小刻みに鳴くあの声がなかったのだ。
変な鶏だなぁ、でも捕まえたら母ちゃん喜ぶかなぁとぼんやり考えながら、その鶏に近づくじいちゃん。
鶏は動じず、雑草を啄ばんでいる。
よし、今だ!と鶏に手を伸ばしたじいちゃんだったが、何かに気がつき手を止めてしまった。
鶏の後方、5メートルほど先に家があったのだ。
鶏を見つけた時、この山を登ってきた時、そんな家など見当らなかった。
けれども、何故見落としたのか不思議に思うぐらい、とても大きな家。いや、屋敷だった。
こんな山奥に誰か住んでるのかぁ、知らなかったなぁ、
と、じいちゃんは鶏のことよりも、その家に興味が湧いてきた。
その屋敷は村の地主の家よりも大きく立派で、門もとても頑丈そうで重そうだった。
で、二階建てだった(なんか知らんがじいちゃんは二階建てだぞ!って強調して話してた)。
門は開いていて、中の様子が窺えた。
じいちゃんが門に近づいて中を覗いてみると、不思議な光景が広がっていた。
見たことも花々が参道横に咲き乱れ、塀の左右には小屋があり、その小屋に馬と牛が10頭ずついたのだ。
(繋がれていなかったらしい)
そして家の前には、先ほどの鶏と同じ鶏が5羽いた。
すげーなーと嘆息をするじいちゃん。
しかし、はたと気づいて体が硬直してしまった。
315 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 17:56:16 ID:NX8Hv8u50
牛も馬も鶏も鳴いていないし、こんなに動物がいて花も咲いているのに臭いもない。
おかしい、変だ、と思うより先に怖くなってしまったのだ。
そして、玄関の戸がゆっくりと開いていくのを見て、「ギャー!」とじいちゃんは悲鳴を上げて逃げ出した。
全力疾走。
その家と反対方向に走ったら山を登ることになるというのに、
じいちゃんはパニックになっていて、反対方向に走ってしまった。
けれども、屋敷と反対方向に走っていったのに、いつの間にか山のすそまで下りて来ていた。
やった!と思ったじいちゃんは、そのまま自分の家まで走っていった。
家に着いたじいちゃんは、母ちゃんの元まで走り寄り、興奮しながらあの屋敷のことを話した。
すると母ちゃんは青ざめた顔をして、外に出て行ってしまった。
母ちゃんの様子を見たじいちゃんは、さらに怖くなってしまい、とうとう泣き出してしまったが、
すぐに母ちゃんが戻ってきてのを見て、泣き止もうとした。
(母ちゃんはじいちゃんが泣いたら、めちゃくちゃ怒ったかららしい)
母ちゃんは、父ちゃんを連れて帰ってきたのだった。
父ちゃんはすごい剣幕でじいちゃんから話を聞き、じいちゃんの手を握った。
「お前が見た家は、サイ○○サマ(忘れた)なんだ。挨拶はしていないだろ。だから今から謝りに行くぞ」
じいちゃんの返事も聞かず、父ちゃんはじいちゃんを連れて山のすそにある神社に向かった。
「『挨拶しなくてすいません』って謝りなさい」
父ちゃんがそう言うもんだから、じいちゃんは黙ってそれに従った。
それからじいちゃんは、何度も父ちゃんや母ちゃんに「サイ○○サマってなんなの?」って聞いたのだが、
全く教えてくれなかったんだとさ。
ただ、「サイ○○サマに出会ったらきっちり挨拶しろ」って言われただけ。
その屋敷がサイ○○サマなのか、その屋敷に住むのがサイ○○サマなのかも、教えてくれなかったんだってさ。
じいちゃんはそれ以来、その屋敷をみた事はなかったという。
同じ体験をした人や、聞いた人っていないかな。
ちなみに東海地方の話。
316 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 18:06:50 ID:YXTWHUce0
サイ○○サマ>ここ一番重要なのに忘れんなよw
317 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 18:27:21 ID:ZhdC8nE+0
>>313
おじいちゃんはまだ生きていらっしゃるのかな?
もし生きていたら「サイ○○サマ」の正確な名前を確認して欲しいなあ。
あと、>>しかし、最近母ちゃんからある出来事を聞いたことで、
じいちゃんの話は本当かもしれないって感じてきたんだ。
の部分が非常に気になるので、もしも差し支えなかったら
「ある出来事」についても詳しく教えて下さい。
324 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 19:26:33 ID:NX8Hv8u50
>>316、317
じいちゃんは15年前に他界して、もう一度聞くことは出来ないんだ。
でも、さっき別件で母ちゃんに電話した時に聞いてみたよ。
母ちゃんは「サンユキサマ」って覚えてた。
でも私は「サイ~」って名前だと記憶してるんだよな。
あ、じいちゃんは母方のじいちゃんね。
で、ある出来事っていうのは、母ちゃんが家族旅行でじいちゃんの故郷に行った時のこと。
母ちゃんが結婚する前だから、昭和30~40年代だと思う。
じいちゃんは故郷に着いたといなや、山に向かったんだと。
黙々とじいちゃんは山に登っていくし、ばあちゃんと母ちゃんは仕方なくじいちゃんを追って登ったんだ。
かなり山の奥までやってきた時。
いきなりじいちゃんが立ち止まり、がくっと膝を落としたんだってさ。
どうしたんだと母ちゃんとばあちゃん。
じいちゃんが立ち止まったのは、拓けた所だったらしい。
で、じいちゃんいきなり号泣。
「すまんかった……すまんかった……わしは出来なんだ……」 って呟きながら。
その話を聞いて、私はじいちゃんが山男と出会った話を思い出したんだ。
それで、あれは与太話じゃなかったんだ、って思えてしまってな。
需要あれば山男の話も投下するよ。
335 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 21:59:01 ID:NX8Hv8u50
レスありがとう。
山男の話は覚えてるだけで4つあるんだけども、>>324の山男の話を投下するよ。
ある時、いつものように山に入ったじいちゃん。
その日は、ウサギの罠の様子を見ようと思っていた。
全部で5つ仕掛けたから、近いポイントから順に回っていくことにした。
1つ目のポイントは山に入ってすぐの所。罠にはかかってない様子。
2つ目・3つ目はそこから左へ行った所。それらもかかっていなかった。
今日は不調だな、と感じながら4つ目のポイントへ向かうじいちゃん。
4つ目のポイントは、3つ目のポイントから登った所だった。
そのポイントは絶好のポイントで、勝率も高かった為、じいちゃんは意気揚揚と罠を確認してみた。
しかし残念ながら、そこも不発。
どうしたもんかな、と罠の近くに腰をかけ、ぼんやりと罠を見つめていると、ある事に気が付いた。
罠は外されていたんだ。
ウサギは一度捕まり、そして誰かが罠を外している。(自力で脱出出来るもんじゃなかったらしい)
その事にじいちゃんは腹を立て、急いで5つ目のポイントへ向かった。
5つ目のポイントは、4つ目のポイントに近い所。
だからそこも外されている可能性があったからだ。
「くそう、横取りしやがって」と、誰だかわからない犯人を憎憎しく思い、登っていった。
そして5つ目のポイントの傍までやってきた時、
罠の辺りに、傍目からでも分かる大きな人が屈んでいるのを見つけた。
あいつだ!
声を上げずに、近くに佇んでいる樹木の影に隠れるじいちゃん。
そしてそっと様子を窺った。
その大きな人は、罠の辺りにじっと屈んだまま動かない。
と、ガサガサと物音が立ったと思ったら、すくっと立ち上がった。
やはり罠を外していたのは、そいつだったようだ。
336 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 21:59:58 ID:NX8Hv8u50
しかしそれよりも、その大きな人に目が行ってしまい、じいちゃんは怒鳴りつけることも出来なかった。
じいちゃん曰く、「ジャイアント馬場よりでかいぞ!あいつの倍はある!でっかいぞー!」ってぐらいでかい人。
そんな大男、じいちゃんは今まで見たことがなかった。
じり…っと後退りしたじいちゃんの足が、辺りに生えていた雑草に触れ、ガサリと音を立ててしまった。
大男は物音に気づき、「誰かおるのか」と聞いてきた。
じいちゃんは逃げたいのに怖くて動けなかった。
大男は続けて、「罠を仕掛けたのは、お前か」と聞いてきた。
そしてそのまま振り返り、じいちゃんの姿を捉えてハハハと笑い声を上げた。
「取って喰ったりせん。茶と柿があるぞ。こっちに来んか」
そんなことを言われても、体が言う事を聞かないから行くことは出来ない。
じっとしているじいちゃんを見て、大男はそれに気づいたのか、
「体が動かんか」と尋ねながら近づいてきた。
ひぃっと息を飲むじいちゃん。
大男は樹木を挟んでじいちゃんの隣に腰を下ろし、干し柿をじいちゃんに手渡した。
食べ物を貰うということで警戒心がほぐれたのか、じいちゃんは腰が砕けるように尻餅をついた。
そして、大男の外見をまじまじと見てみる。
真っ黒に日焼けした肌、ぼさぼさに伸びきった髪、背中には薪が積まれ、獣臭が鼻をついた。
「お前があの罠を作ったのか」
干し柿を食べているとそう尋ねられ、「うん」と思わず返事をしてしまった。
「そうかそうか。あの罠は上出来だ。お前は器用だ」
そこで罠を外した犯人だということを思い出し、じいちゃんは小さく聞いてみた。
「なんで罠を外したの?」
すると大男は、竹筒に入った茶(水かもしれない)を飲み、こう答えた。
「罠にかかっとったウサギは、まだ小さかったからな。小さいのは見逃してやってくれんか」
「わしはいつも見逃しとる!」
「おお、そうだったか。お前は麓の村の子供か」
「そうだ」
「ふむ……お前の村はよく出来た村だ」
「どういうこと?」
「お前の村は、生き物を無闇に殺したりせん。
木もそうだ。切り方も、切る木の選び方もちゃんとしとる」
じいちゃんはさっぱりわからなかったけれども、自分の村を誉められているのはなんとなくわかったので、
なんだか嬉しくなった。
337 :本当にあった怖い名無し:2009/04/29(水) 22:00:41 ID:NX8Hv8u50
しばらく、2人で山について話をしていた。
(どんな内容だったかは、じいちゃんが手振り身振りで話してくれたけども、さっぱり忘れた)
もうどれぐらい時間が過ぎたのかはわからないが、「さて」と、大男がいきなり立ち上がった。
「もう戻らんといかんからな、お前も気をつけて下りるんだ」
「家はどこ?」
「お前には来れん所だ」
薪を背負い直す大男は、最後にこうじいちゃんに言い残した。
「くれぐれも山を乱さんようにしてくれ。わしらが生きていけんようなるからな」
「わしは乱してない!」
じいちゃんの声にハハハと笑いながら、大男は山の奥へと消えていった。
>>324の話に戻るが。
じいちゃん、その約束が守れなかったって思って、号泣したんではないかと思ってな。
まぁ真偽は不明。ただ、私はじいちゃんを信じてるよ。