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ほんのりと怖い話スレ その74
734 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 22:44:09.44 ID:GwmNJWh70
俺の実家近くには遊水地があって、そこにポツンと鳥居と祠?がある。
んで子供の時、立ち入り禁止だったその遊水地によく入り込んで、虫取りしたり、クルミとか取って遊んでいた。
ある日の夏の夕方、遊んでいた友人と別れた後、
遊水地に帽子を忘れた俺は、ちょっとうす暗くなった遊水地に戻った。
鳥居の根元に忘れてた帽子を拾って、帰ろうとした矢先、ズボっとスネのあたりまで足が沈んだ。
この遊水地は、一見そうは見えない地面が沼になっていたりして、
子供の間で「深いところは底なしだ」とか噂になっていたもんだから、俺は怖くなってすぐ引き抜こうとした。
735 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 22:48:04.68 ID:GwmNJWh70
経験ある人は分かるだろうけど、沼ってのは、
引き抜こうと踏ん張ると、もう片方もハマったりして状況が悪化する。
この時の俺もそうだった。
日も落ちてきて、辺りはすぐ茜色になった。
その時の俺はもうパニック。靴は沼の中で脱げるし・・・。
「どうして、どうして」と涙目になりながら、俺は沼と格闘し続けていた。
736 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 22:59:56.38 ID:GwmNJWh70
そしたら後ろから、「何してんの?」って声を掛けられた。
俺は動かない下半身をねじって振りかえり、その声の主を見たんだ。
年齢はその時の俺より年上の12歳位?で、男子みたいな短いさっぱりとした髪型で、
怪訝な顔をして俺を見ていた。
俺は助かった!と思って、足が抜けない旨を一生懸命伝えた。
足が抜けないって事だけじゃなく、
友達と遊んでいた事、帽子を忘れた事も、なんだか分からないけど伝えた。
739 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 23:14:50.57 ID:GwmNJWh70
するとその子は、「ああ、そうか」って言って手を差し伸べてくれた。
俺は下半身をねじったまま手を掴んで、そのまま引き上げてもらった。
もう辺りは真っ暗に近かった。
俺は「ありがとう!」と元気よくお礼を言うと。
その子は黙って頷いて、俺の後ろ、遊水地から道路に出るフェンスの方を指差した。
すると、フェンスに向かって、俺の母が走ってくるのが見えた。
俺は安心してか、泣きながらフェンスに向かって走って行った。
母も遊水地で良く遊んでいる事は知っており、この時間まで帰ってこない俺を心配して走ってきたらしい。
741 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 23:19:50.90 ID:GwmNJWh70
ひとしきり母に抱き締められながら頭をはたかれた後、俺は助けてくれた子の事を思い出して振りかえったが、
もうそこには誰もいなかった・・・というか真っ暗で何も見えなかった。
でも普通に、もう帰ったんだろうと思って、そのまま母と手を繋いで帰った。
晩御飯はポークソテーだった。パインがのったヤツ。
で次の日、通学路が遊水地の脇道を通るので、何気なしに遊水地を見たんだ。
そしたら、祠の横にある椿の木陰に、昨日の子らしき人影が見えた。
742 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 23:22:20.11 ID:GwmNJWh70
俺は「昨日はありがとう!」と大声で叫んで、手を振った。
その子もこちらう向いて、同じように手を振った。
そしたら、昨日も一緒に遊んだ友達が、後ろから「何してんの?」って俺のランドセルを引っ張った。
少しの間、友達と拳闘ごっこをした後、遊水地の方に目をやると、もうそこには誰もいなかった。
743 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 23:28:37.55 ID:GwmNJWh70
その後、その子を見かける事は無くなった。
でも、ずっとその事は記憶にあって、
オカルト好きになってからは、山の神様的なアレが助けてくれたんだ、という思い出になっいた。
そしてある日、あの時の感謝を込めて、祠にお供え物を持って行った。
期待をしたんだけど、その子は出て来なかった。
でも、お供えをして岐路に着く途中、振りかえるとお供え物が消えていた。
俺はなんとなく満足して、家に帰った。
今でも実家に帰る途中になんとなく目がいって、その子を探している。