山の怖い話を書く雷鳥一号さんシリーズです。
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教える存在
∧∧∧山にまつわる怖い話Part4∧∧∧
412 :雷鳥一号:03/12/01 00:55
知り合いの話。
夏休みに家族で、山へキャンプに行ったのだそうだ。
夜、ふと目を覚ますと父親がいない。
テントから顔を出すと、父親と灰色の影がぼそぼそと話をしていた。
彼女は父親がいることに安心して、そのまま寝てしまったという。
山から帰ってくると、父親はいきなり身の回りの整理を始めた。
遺言を書き、財産分けまで済ませてしまい、家族はずいぶんと驚いたらしい。
整理が終わるとほぼ同時に、父親は逝去した。心臓麻痺だった。
親族から、まるで自分の死期を知っていたようだと言われたそうだ。
彼女は、そのキャンプ場には二度と近づかないと言っている。
413 :雷鳥一号:03/12/01 00:56
知り合いの話。
仲間と二人で、冬山でのロッククライミングに出かけた時のこと。
天候が急に崩れ、岩棚の途中で数日足止めを食らった。
これは危ないかなと弱気になっていると、同行した仲間がさらりとこう言った。
「大丈夫、俺の寿命はまだあるから、ここは生還できるはずさ」
どういうことかと問うてみた。
聞くと昔、彼は山で出会った何者かに、自分の寿命を教えてもらったのだという。
それの正体が何なのかは分からないが、彼自身は不思議と信じているのだと。
次の日には吹雪は止み、彼らは怪我も無く下山できた。
彼の寿命がいつなのかということまでは、さすがに聞けなかったそうだ。
414 :雷鳥一号:03/12/01 01:00
友人の話。
彼のお祖母さんは、かつて胃癌の手術を受けたことがある。
手術をしてからというもの、お祖母さんは元気を失くしてしまったのだという。
健康状態に問題は無いのだが、何をする気にもならなかった様子だった。
そんな時、お祖母さんの友人から「遊びにおいで」と誘いが来た。
出かけるのを渋る祖母を、家族皆で気分転換に行っておいでと送り出した。
数日後、帰ってきた祖母は見違えるように元気になっていた。
「私はまだ二十年は死ねないんだよ」
そう言って、色々な学習やボランティア活動に顔を出し始めたのだという。
お祖母さんの友人に、「どうやって励ましたのですか」と父が尋ねたところ、
「何もしていませんよ」と答えられた。
ただ、その友人の家は山中にあるのだが、
どうやら祖母は、そこで出会った誰かに「良いことを教えてもらった」と言っていたらしい。
少々不気味だが、「塞ぎこんでいるよりは元気な方が良い」と家族は言っている。
独りで山にこもる癖があった友人
∧∧∧山にまつわる怖い話Part4∧∧∧
468 :雷鳥一号:03/12/02 23:37
知り合いの話。
彼はムシャクシャした気分になると、独りで山にこもる癖があった。
その日も彼は一人野営をしていた。
仕事の上で同僚と衝突して、彼は短気を起こして口論になったのだ。
いつものように、独り言を呟き始める。
一種の儀式みたいなもので、こうすると冷静に自省できるのだという。
色々と同僚への文句を並べ立てていたが、自分の方にも悪いところがあったのは彼にも分かっていた。
不満をぶちまけた後で、『いや違う、そこは俺が悪かった』と思い直した時、
真向かいの林の中から、はっきりとした声が聞こえた。
「いや、違う。そこは俺が悪かったのだ」
彼自身の声と、まったく同じ声色だった。
その瞬間、悟ったのだという。
彼はそれまで、独り言をくり返していたつもりだったのだが、
実は彼と同じことを考えている何かと、延々と会話を続けていたのだ。
なぜその時まで気がつかなかったのかは分からないが、
気がついた途端、冷水を浴びせられたような気がしたそうだ。
それきり彼は黙り込み、林の中の声もそれ以上何も言ってこなかったらしい。
以来、彼は短気を起こさなくなった。
頭に血が上っても、あの時の声を思い出すと、自然と冷静になるのだそうだ。
469 :雷鳥一号:03/12/02 23:37
知り合いの話。
彼女は気が強く、山にも一人で出かけることが多かった。
紅葉狩りに行こうと、秋の谷へ出かけた時のことだ。
通る人とて無い細い道を歩いていると、木立の奥より物音がした。
覗いてみると、少し先の木陰で、大きな猿のような背中が樹の根元を掘っていた。
ここで襲われたら逃げられない!
強気な彼女も、その時ばかりは一人でいることに焦ったらしい。
すると、まるで彼女の心を読んだように声がかけられた。
「襲わんよ。わしはこれでも菜食主義者なんでな」
まさか口がきけるとは思わず呆然としていると、それは立ち上がって振り向いた。
大猿の身体に、初老の男性の顔がついていた。
立ちすくむ彼女を残し、それは悠然と歩き去ったという。
その手には、掘り出したばかりの長い山芋を持っていたそうだ。
470 :雷鳥一号:03/12/02 23:38
知り合いの話。
彼のお爺さんは炭焼きをしていたという。
ある寒い夜、窯の前で火の番をしていると、闇の中から声がかけられた。
「寒いから、そちらへ行っても良いか」
里の者だろうと思い「いいよ」と答えると、見慣れぬものが姿を現した。
それは大人ほどの大きさで、全身が黒い剛毛で覆われていた。
目鼻さえ見てとれぬ顔を見て、腰を抜かしかけたそうだ。
「ああ、やはりそうだ。お前も俺が醜いと思うのだな!」
それは哀しそうにそう叫ぶと、背を向けて山の中へ逃げていった。
お爺さんは終始口を開くことができなかったそうだ。
井戸の話
∧∧∧山にまつわる怖い話Part3∧∧∧
843 :雷鳥一号:03/11/25 01:30
知り合いの話。
彼の実家は、水道も引かれていない深山の寂村だった。
十年程前の正月に帰った時のこと。
その時、彼はお爺さんと一緒に焚き付けにする薪を集めていた。
ふと気がつくと、お爺さんが一心不乱に空を見つめていたそうだ。
きらきらと光る細長いものが、身をくねらせて飛んでいた。
金色に光り輝く竜だった。
竜は嬉しそうにくるくる回っていたが、やがて西方の空へ飛び去った。
それを見たお爺さんは哀しそうにこう言った。
竜神様が行ってしまわれた。この村ももう終わりだな。
それからしばらくして、その村の井戸は枯れたのだという。
村人も次々とよその土地へ出て行き、今はもう廃村となっている。
844 :雷鳥一号:03/11/25 01:32
知り合いの話。
彼の友人が、家を改築した時のこと。
改築してからというもの、友人は目を患ってしまい、終には目が見えなくなった。
彼の目が見えなくなると、次は彼の妻と息子の目が悪くなってしまった。
親族は藁にもすがる気持ちで、高名な霊能の先生を呼んだのだという。
先生は家に来た途端、「井戸を潰しているな」と口にした。
確かに改築の際、井戸を一つ潰して、その上に居間を建てていた。
「住む所を潰されて、井戸の竜神様が怒っている」
先生は続けて言った。
「竜神様は人間の目に祟るから、早く怒りを鎮めないと皆が盲になってしまう」と。
慌てて神主を呼び、祭事を執り行った。
妻君は両目とも回復したが、息子さんは結局片目が見えなくなったのだという。
「祟りって本当にあるのだよ」
彼はそう言ってこの話を教えてくれた。
845 :雷鳥一号:03/11/25 01:32
知り合いの話。
彼が家を建て直すことになった時。
井戸を一つ埋めることになったのだが、それに先立って、水神様を鎮める祭事をおこなったのだという。
米や旬の作物が、急ごしらえの棚に献上された。
神主が祝詞を唱えていると、いきなり井戸の水面が波打った。
そして金色に光る小さな竜が、井戸から姿を現したのだという。
竜は彼の家族の周りをくるくると回り、別の井戸へ姿を消したのだそうだ。
不思議なことに、竜が家族に触れた箇所には金粉が付着していた。
竜の姿が見えたのは彼と祖母だけで、後の家族は「急に身体に金粉が付いた」と言って驚いていたという。
それ以来、彼の家族は、水を使う際に感謝するようになったのだそうだ。
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人食い
22 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/10/29(月) 20:11:38.71 ID:3LceBR410
昔馴染みの話。
昔、仕事で東南アジアの山に籠もっていた時のことらしい。
不思議な足音に後をつけられたのだという。
背後からしつこく付いてくるのだが、音はすれども人の姿などどこにも見えない。
気持ち悪いと思いながらもどうすることも出来ず、放っておくことにした。
街に下りてから、現地の友人にこの話をしてみた。
「人食いにつけられたね」と、そう言われたのだという。
聞いてみると、かつてその山に棲んでいた部族は、人を食べる習慣を持っていたらしい。
人間を食べると、その強さが食べた者に移るという信仰を持っていたらしく、
そのため主に健康的な男性が餌食にされていたそうだ。
「日本から来た兵隊も、結構食べられたって話を聞いたよ。
でも終にはアメリカ兵まで食っちまったんで、報復で村落ごと焼き滅ぼされたんだと。
だから今現在、奴らはもう足音しか出せないっていう話さ。
実体が無いのだから、そう危なくもないだろう」
「その後も二回ほど足音につけられたけど、確かに別に害はなかったな。
気持ち悪いことに代わりはなかったけどね」
彼はそう言って苦笑した。
93 :本当にあった怖い名無し:2012/11/05(月) 00:21:45.30 ID:4ixlcD2mP
>>22
東南アジアの人食いというと高砂族とかかなあ?
日本人はクセがなくて美味しかったと言っていたのは
確かポリネシアの少数民族とか南洋の話だっけ(ウロ覚え
日本でも故人の遺骨を食べる習慣のある地域があったみたいだけど、
ヨモツヘグイの源流が実は遺体の共食儀礼だったりして…なんてね。
94 :本当にあった怖い名無し:2012/11/05(月) 16:16:24.27 ID:sr4wLksh0
>>93
高砂族は首狩りの習慣はあったが、人は食わないよ
96 :本当にあった怖い名無し:2012/11/05(月) 20:33:33.36 ID:Pcu8/mQy0
>>93
俺の同僚、フィリピンでやっぱり人食いの話を聞いたとか言っていたなあ。
パプワニューギニアやインドネシアとかが有名だと思っていたけど、
フィリピンと聞いて驚いた憶えがある。
100 :本当にあった怖い名無し:2012/11/05(月) 22:45:43.62 ID:4ixlcD2mP
>>94
そうか、勘違いしてたみたいでスマソ。
>>96
ほほ~フィリピンでもそういう話があったとは初耳です。
同僚さんは他に何か興味深い話をしていませんでしたか?
119 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2012/11/06(火) 18:23:36.93 ID:uttupCTX0
どーも、雷鳥です。
>>100
ええと、>>22の話は、フィリピンでのことらしいです。
「日本人は一番美味かった、だから俺は日本人が大好きだ!」
みたいなことを、酒場で一緒になったお爺ちゃんに言われて、
笑いながら肩を叩かれ、ついでに奢ってもらったんだそうです。
昔馴染みは、「・・・えー・・・」ってなことしか言えなかったそうですが。
アメリカ軍に滅ぼされた山村も結構な数があるらしくて。
それがすべて食人集落だったとは思いませんが。
その時のお爺ちゃんが言うには、フィリピンの山岳民族は、米兵にも負けないほどの屈強な戦士揃いだったらしいです。
一人一殺の精神で、銃弾をぶち込まれても山刀を持って駆け寄り、切り捨ててから死んでいたんだとか。
「日本の侍にも引けを取らんだろ!」と胸を張っていたそうで。
それがため、アメリカ軍の装備銃が大口径の物に更新されて、結局は負けてしまったんだそうですが。
・・・これはこれで凄い話かと思います(汗)・・・。
134 :本当にあった怖い名無し:2012/11/07(水) 20:28:15.08 ID:pU9ne/100
>>119
フィリピンのスールー族は戦闘前に恐怖心と痛覚を消す為に、阿片を吸ってから米軍と戦ったみたいだよ。
だからそんな狂戦士を一発で倒す為に開発されたのがM1911ピストル(通称コルトガバメント)。
ベトナム戦争でもM16ライフルの弾が十数発命中しても突撃してきたベトコンがいたそうだけど、
それも阿片のせいなのかもしれん。
胡蝶の夢
∧∧∧山にまつわる怖い話Part11∧∧∧
930 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/08/24 22:44 ID:z32NM/t0
後輩の話。
学生時代、仲間二人で入山している時に遭難したのだという。
季節は秋の終わりで、小雨が降り続いていた。
道を見失い、雨に打たれ続けた彼らは、疲労困憊だったそうだ。
歩けなくなり繁みの中で休んでいると、仲間が船を漕ぎ始めた。
無理もないな。そう思っているうち、眠っている仲間の口元が蠢きだした。
と、いきなり口がパッカリと開き、一匹の蝶が這い出してくる。
唖然として見ていると、蝶はどこかへ飛んでいってしまった。
彼はどうしてか、仲間を揺り起こすことができなかったという。
どれくらい経ったのだろう。
膝を抱え途方に暮れていると、先の蝶が戻ってきた。
仲間の顔に留まるとその口をこじ開けて、もぞもぞと口腔内に姿を消す。
次の瞬間「あーぁっ」と大欠伸をし、仲間が目覚めた。
おもむろに立ち上がると、驚くことを言い出した。
「こっちの方に標識がある筈だ。辿って行けばルートに戻れると思う」
931 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/08/24 22:44 ID:z32NM/t0
何も聞かず、彼は黙って仲間に従った。
笹薮を強引に抜けると、枝に結ばれたリボンが見つかった。
正規の登山ルートへの印だ。
それを頼りに、やがて見覚えのある場所に出ることができたという。
無事に下山できると、彼は仲間に質問の雨を降らせた。
「なぜわかった?どうしてわかった?」
仲間は困ったような顔をして、次のように述べた。
「夢を見たんだ。正規のルートへの道を見つける夢を。
なぜかわからないけど、夢の通りにすれば助かると思ったんだよ」
あの時、あの蝶を握り潰していたら・・・あいつはどうなっていただろう。
そう考える自分が少し怖かったと、後輩は言う。
※続きは随時更新します。