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【洒落怖】事故の日の事

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448:本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 18:22:33 ID:WBDFoLwM0

今から4~5年前の話。体験談。

当時はもう別れていたが、Rという元カノがいた。別れてからもちょこちょこ
連絡はとったりする仲だった。なのでたまに他愛もない理由で電話がかかってくる
事もあった。だがその夜かかってきた電話はちょっと違っていた。
電話の向こうのRは怯えた感じで、今すぐ家に来て欲しいという。Rはその頃アパートを
友人と共同で借りており、丁度その時間帯は一人だったらしい。別れてから家に招かれる
事はそれまで一度も無かったし、まぁ行ってやっか、って感じで菓子を買ってから
Rのアパートへ向かった。

電話では何故俺を呼ぶのか理由を聞かなかった。ただすぐ来てくれと怯えた口調で言われた
だけだった。まさかドッキリか?などと思いつつも到着してみれば本気でRは震えていた。
どうしたのか尋ねると、ドアを誰かが蹴るのだという。そのアパートの造りはまず玄関から
入ってすぐ突き当たるため、左に進んで六畳程の部屋に到達する。その六畳の部屋に入る前に
もう一度ドアを通るのだが、そのドアを誰かが蹴るという事らしい。当然ドアを閉めていても
誰かが侵入してくれば玄関のドアの音、六畳部屋までの通路を歩く音で気付く。だがどんなに
静かにしていても何の気配も音も無しにドアが蹴られるというのだ。
俺はハッキリ言って霊感ゼロである。それまで幽霊も見た事無いし、不可思議な体験をした事も
無い。なのでかなり余裕を持って「部屋の気圧かなんかがアレで蹴られたような音が響くだけ
じゃね?」と訳の判らん結論を下し、買ってきた菓子をつまんでいた。

449:本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 18:24:21 ID:WBDFoLwM0
それから十分経ったか経たないか、その時突然音が響いた。ドンッという鈍い音がドアから
聴こえたのだ。テレビもつけていなかったため、空耳ではなかった。全然別の所を見ていた俺は
身体をビクつかせて慄いた。Rも眉間に皺を寄せてまた震え始めている。咄嗟に俺はドアを開けて
玄関から続く通路を見た。誰もいない。玄関のドアは完全に閉まっていて、誰かが開けた形跡も
無ければ出ていった形跡も無い。ちょっと怖くなる俺。とりあえず玄関の鍵が開いていたのに
気付き、ちゃんと鍵を閉める。これでもう大丈夫、と無理矢理自分とRを納得させてまた部屋に
戻った。

が、そのすぐ後にさっきよりも遥かに大きなドンッ!という音がドアから発せられた。丁度俺は
その時ドアを凝視していた。確実にドアを蹴った時のようにドアが振動したのが判った。
「誰だ、オイッ!」と、俺はドアを開ける。でもまた誰もいない。ドアは確実に鍵を閉めた。
入って来る者などいる訳が無い。この時点で俺は人間の悪戯説を完全に否定せざるを得なかった。

部屋ではRが泣いている。震えも止まらないようなので俺が隣に行って慰めてやろうと思った。
だが情けない事に俺もちょっと震えていた。その時インターホンが鳴った。かなりビビッたが、
同時に人が来たという事で多少安心する俺とR。開けてみればRの友人だった。俺だけじゃなく、
その友人にも来てくれとRが頼んでいたらしい。

450:本当にあった怖い名無し:2005/10/27(木) 18:25:06 ID:WBDFoLwM0
だがその友人は興奮気味に俺達にすぐそばで起きた事故について話し出した。アパートから少し
歩くと大きな国道に出る。そこでバイクと車の衝突事故があったという。蒼ざめながら見に行って
みると、すでにバイクの運転手は救急車で運ばれた後だったが、フロントタイヤが拉げたバイクを
見て相当な勢いで衝突した事を感じ取る事が出来た。これを見るに当たり、俺とRは本気で血の気が引いた。

もしかしたらあのバイクの運転手はそのまま死んだかもしれない。その運転手があのドアを
叩いたのかもしれない。その時の俺達はそうとしか考えられなかった。
俺はその後家に帰ったが、友人がRの家に泊まっていったようで、その日は眠る事無く過ごしたらしい。
程無くしてRはそのアパートから引っ越したという連絡を受け、今に至る。
あれから電話で話す事はあってもあの事故の日の事が話題に上る事はない。

あの頃はあれでもうアパートの心霊体験は片付いたと思っていた。事故った運転手の魂か何かが
偶然にもあのアパートのドアを叩き、俺達に何かを知らせたのかと思い、忘れ去っていた。だが
あれから時間が経ってよくよく考えてみれば、事故が起きたと思われる時間以前からRはドアを蹴る
音を聴いている。あの強烈にデカイ音は上に書いたように考えて辻褄を強引に合わせていたが、その
辺りは今もって理解出来ない。
これは俺の唯一の心霊体験である、と確信している。俺は今でもあのアパートの近くを通るのは避けて
いる。

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