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376 :本当にあった怖い名無し:2021/08/14(土) 21:19:57.85 ID:VxiB/dnv0.net
小学校4年くらいの話。
僕らは5人グループで学校でも放課後も集まって遊んでいた。
僕らはいつも甘噛みのような喧嘩をしていた。
ケガさせない程度の軽い殴り合いをして、傷つかない程度の口喧嘩をした。
本当の喧嘩なら長引くが、甘噛みのような喧嘩なら1時間もたてば元通りに戻った。
それは僕たちの暗黙のルールだったと言える。
ある日、グループの中のN君ともう一人が口喧嘩をした。
口喧嘩が白熱してきたころ、その一人がN君に「お前んち、蛇いるくせに」と言った。
その場が凍り付いた。
N君を除くグループメンバーの中では、N君の家に蛇が居着いているというのは共通認識だった。
僕もN君ちの前で何度か、慌てたように縁の下や車の下に逃げ込んでいく大きな白蛇の胴体や尻尾を見ていた。
だがやんわりとその事をN君に聞いても、N君はいつも否定した。
蛇は飼ってないし、見たこともない、変なことを言うのはやめてくれ、と。
僕らから言わせてもらえば、時々しか行かない僕らが何度も見ているのに、
住んでいるN君が見たこともないはずないだろうという話なのだが、
本人がそう言うならと、釈然としないままタブーとしていたワードだった。
N君は真っ赤になって怒り出し、その後泣き出した。
結局、先生が介入してくるほど拗れてしまった。
完全なとばっちりだったが、僕を含む4人が彼に謝るという形で手打ちになった。
N君とはそれからも遊んだがしこりは残った。
377 :本当にあった怖い名無し:2021/08/14(土) 21:20:43.63 ID:VxiB/dnv0.net
N君とは中学まで一緒だったが高校では別だった。
高校の部活の後輩に、N君の家の近所の女の子が入ってきた。
当時N君の家の近所で何度か見かけていたので、あちらも覚えてくれていた。
流行りに疎い僕は彼女と話すときは大抵が地元の話をした。
彼女は極度の無口だったがなんとか相槌を返してくれていた。
ある日、僕はN君の家の蛇とそれが元で起こったトラブルのことを話した。
彼女は黙りこくってしまい、僕は余計なことを言ったことを後悔した。
しばらくの沈黙の後、
「あそこのお婆さんはもうしんだからですよ」
「?」
「だからあそこのお婆さん、もうしんだから大丈夫ですよ」
「あの、お婆さんのことじゃなくて蛇のことなんだけど…」
「だからあそこのお婆さん、もうしんだから蛇はいないんですよ」
だからもう蛇はいないらしい。