後味の悪い話

【後味の悪い話】ある男子高校生の日記

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26:1/5:2006/06/15(木) 09:15:52 ID:uVVCwINYO
ちと探してたのが見つかったので

ちと早く起きたので書かせてもらいます

『ある男子高校生の日記』

高校にあがり、親元を離れ寮生活をすることになった野口という少年がいた
彼はバスケ部に入部した

中学の頃からやってたのと、寮で共に生活するバスケ部の人間と親しくなれるからという理由からだ

寮は二人部屋となっており、野口と同室の田辺もバスケ部員だったこともあり、すぐに親しくなった

高校生活も一学期が終わる頃には友達も増え、充実した日々を送っていた野口だが、田辺には一つ気になることがあった

それは、最近野口が付けている日記であった
心為しか、日記を付けている時の野口は笑顔だった

おそらく、つい最近出来た彼女のことを書いているんだ…
田辺は、そう知りつつ中身が見たい衝動に狩られるが、同部屋に同時刻の帰宅であることで叶わなかった

27:2/5:2006/06/15(木) 09:17:21 ID:uVVCwINYO
二学期が始まった頃、いつになく真剣な面持ちで、野口が田辺に話し掛けた

「実は、最近脱毛がひどくて困っている。ここを見てくれ」

そう言ってサッと髪をかきあげると、そこには直径2cmくらいの…いわゆる十円ハゲが顔を覗かせた

もちろん田辺は、それを笑うような奴ではない。
悲しげな表情になりながら話す野口を本気で心配した
野口はこれを治るまで隠したいので、どうか口外にしないで欲しいと口にした
田辺もそれを了承し、色々とフォローをすることを決めた

それから2ヵ月くらい過ぎた頃、野口のハゲは五百円玉以上の大きさになっていた
さすがにこうなると、周りの髪を集めて隠すという田辺発案の偽装工作(笑)も厳しくなってきた

そんなある日、バスケの練習をしていた野口に同い年の部員が言ってしまう

「野口…集中できないなら、いっそのこと丸めてしまえよ?」

周りはとっくに気付いていたのだ…

28:3/5:2006/06/15(木) 09:20:18 ID:uVVCwINYO
その夜、野口は田辺を問い詰めた

「あんなに言うなって言ってたのに!ひどいよ!」

もちろん田辺は口外していないので、必死で反論した
結局、互いに退かずに寝る時間となった
野口は今日も日記を付けていた

この日を境に、彼は田辺と一切口を聞かなくなったが他の友達とは巧く付き合っていた

結局自分で打ち明けたらしく、それをバカにする奴は一人もいなかったし、逆に同情しない奴もいなかった
その時、野口は田辺がこのことを周りにバラした張本人だと伝えた

翌日から田辺に対する周りの態度が一変したのは言うまでもない

もうすぐ一年目が終わるという頃には、野口の髪は綺麗に生え揃っていたが…
田辺に対するソレは、変わることはなかった

やがてバスケもやめてしまった田辺は、学校が終わると同じに帰宅する日々が続いた

ドアをあける…以前は二人で一緒に帰ってきた部屋
今は一人での帰宅……一人…ひとり…
田辺はふと日記のことを思い返した…
口を聞かなくなった今、野口の心情を知るのはこれだけ。
なにより前から気になっていたのだ
今この部屋にいるのは自分だけ…
田辺はゆっくりと日記帳を開いた

29:4/5:2006/06/15(木) 09:24:11 ID:uVVCwINYO
四月×日

今日から高校生活のはじまりだ。
同部屋の人と仲良くできるかな?
四月〇日

なんと田辺君もバスケ部だった
仲良くやっていけそうだ

四月はこれで終わっていた
どうやら日記を三日坊主ならぬ、二日坊主だったらしい
再開しだしたのが六月の末頃だったはず…
空白のページを六月までどんどん飛ばしていく
6月×日
最近、田辺がうざい。
今日も、俺が美紀と話してる時に入ってきやがって
6月〇日

なんでこんな奴と、同じ部屋かなぁまったく。
メールしてる時に話し掛けてくんなよ。うぜぇな

6月◇日

こいつマジ死んでくれないかな…なにか方法ないかなぁ

七月〇日
今日から作戦を開始する
ちょっとずつ抜いていこう
七月▲日
このペースでいくと二学期には間に合う
今から楽しみだ

30:5/5:2006/06/15(木) 09:26:31 ID:uVVCwINYO
八月★日

ついに実行した
なにあの顔、すごい顔してたな

信じられないと思いつつ、ページをめくる手を早める…その時

ガチャ

部屋のドアが開いた

野口…

こっちを見て、次第に笑顔になる野口…

そうそう、こんな顔だった
こんな顔して毎日日記付けてたんだよなぁ…

んで終わりです
長文失礼しました

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