後味の悪い話

【後味の悪い話】星新一のSS

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609:本当にあった怖い名無し:2006/06/25(日) 21:15:02 ID:zYmRvcyt0
星新一のショートショートから。(内容うろおぼえ)

A氏には殺してやりたいくらい憎い奴がいる。でも、殺した後で警察に
捕まるのは嫌だ。
なんとなく酒場でそんな愚痴をこぼしたら、ある紳士に話しかけられる。
なんでも紳士は、ホテルを経営しているらしい。
「それではウチのホテルにお泊まりください。そうすれば、従業員全員で
あなたのアリバイを証言してあげましょう。数の力は絶大ですよ。」
なるほど。彼のホテルに宿泊し、夜の間にでも部屋を抜け出し、あいつを
殺害してから戻ってくればいいわけだ。
決定的な証拠さえ残さなければ、あとはホテルの従業員全員が有利な証言を
してくれるだろう。
警察は疑うかもしれないが、数の力は絶大だ。

610:本当にあった怖い名無し:2006/06/25(日) 21:15:42 ID:zYmRvcyt0
男は支度を整えるとホテルに宿泊し、夜の間に憎い相手を殺害。
証拠も残さずに無事に帰って来ることができた。
チェックアウトも終えて自宅に戻り、くつろいでいるとすぐに警察がやってきた。
「昨夜あなたはどこにいましたか?」
「ホテル○○の部屋に泊まっていましたよ」
「部屋から一歩も外には出ませんでしたか?」
「ええ、その通りです。」
「なるほど、従業員たちも確かにそう証言している。」
「そうでしょう」
男はホッと胸をなでおろしたが、次の言葉を聞いて真っ青になった。
「ではあなたを殺人容疑で逮捕します。あなたがチェックアウトした直後に、
ホテルのベッドの下から死体が発見されたのです。」

なんということだ。見事にはめられてしまったらしい。
しかし、何を言い訳しても無駄だろう。なにしろ、数の力は絶大なのだから…

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