後味の悪い話

【後味の悪い話】呪われた姫君を救え

152 名前:本当にあった怖い名無し 投稿日:2007/09/13(木) 16:02:18
呪われた姫君を救え

ある国が魔女に襲われ、姫は石にされてしまった。
姫の婚約者である隣国の王子は救出に向かおうとするが、行く手を国王や国民達が阻む。
「お前はたった一人の跡継ぎ。大勢の国民をその肩に背負ってるんだぞ」
多くの者に命がけで諫められ、苦渋に満ちながらも隣国へ行くのを諦めた。
その代わり賞金を用意し傭兵を雇って隣国へ送り込んだ。
しかし誰一人戻らなかった。

やがて隣国の噂と姫の話は世界に広がり、多くの若者が腕試しに挑戦し散っていく。
そしてやってきた勇者は一撃の下に魔女を倒し、姫を救う。
求婚する勇者だが、姫は断る。「私には心に決めた人がいます」
勇者はそれでも諦めない。「知っています。でも王子は貴方を助けようともしなかった臆病者だ」
事実を知って姫はショックを受ける。それでも王子に会って確かめたいと、二人は王子の国へ向かった。
王子に会い姫は更にショックを受ける。
姫が石になってる間に長い時間が過ぎ、かつての王子はすでに年を取った王になっていた。
姫が涙ながらに問う。「なぜ私を救いに来てくれなかったのですか」
王(元王子)は何も言えない。
国を守らなくてはならなかったから、民を見捨てられなかったから、それは言い訳にしかならない。
姫をすくった勇者は王位を背負いながら魔女を打ち倒したのだから。
やがて姫は勇者と共に去っていく。

絶対の力で支配していた魔女が倒され、隣国は混沌を極める。
余波は王の国にも押し寄せ、やがて戦火は飛び火し王の国を襲った。
勇者はその後魔王を倒し、歴世に燦然たる名を残した。
しかし王は「ヒロインを救おうともせず、魔族に滅ぼされた臆病者」と記されるのであった。

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