後味の悪い話

【後味の悪い話】アメリカ番組「Xファクター」

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239:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/05/26(月) 23:16:07.60 ID:rD6UMxWC0.net
Xファクターと言うアメリカの番組の1エピソード。
まずは前説。

Xファクターはいわゆる「スター誕生」系の人気オーディション番組。
アメリカ各地でオーディションを開催し、明日のスターを夢見る老若男女が自慢の一芸を披露する。
ジャッジは4人の固定審査員が全員yesと言えば通過、次のステージへ進める。
視聴率の低下を抑える工夫として、有名人を起用すると共に、
挑戦者の人柄や生い立ちなどのバックボーンにクローズアップする演出が年々色濃くなってきている。

審査員の一人はブリトニー・スピアーズ
16歳で歌手デビューし数々のヒットを飛ばし、記録を樹立してきた。
絶頂期辺りから奇行が目立ち始め、突発的な結婚から続く出産離婚、ドラッグ、
リハビリなどの話題でゴシップを賑わわせ、芸能活動は低迷。
ここ数年はリハビリを終え精力的に仕事をこなしており、人気も上々。
前説終わり。

ある日のオーディションに一人の男が登場する。
その男を見て目を見開くブリトニーをカメラはしっかりと映していた。
男の名はドン・フィリップ。ドンはステージに立つと笑顔で言った。
「久しぶり、会いたかったよ。ブリトニー」
「?」状態の審査員たちにブリトニーとドンが説明する。
ドンは10年ほど前にブリトニーとデュエット曲を歌ったこともある歌手だったが、その後低迷。
もう一度返り咲くきっかけが欲しいとXファクターに挑戦したと言う。
彼にとってブリトニーとのデュエットは大切な思い出であり、
ブリトニーのカムバックを見て自分もそれに続きたい、というような気持ちがあった。
なんとか笑顔を作り相槌を打つブリトニーにドンは気さくに話しかけ、
軽い爆弾発言などもあったりしたが本題の歌を披露してもらうことに。

240:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/05/26(月) 23:20:32.04 ID:rD6UMxWC0.net
歌いだした第一声を聞いて、観客たちは応援の意味もこめて声援を送るが、審査員たちの表情は苦いものだった。
ブリトニーに至っては歌うドンを直視できず、横を向いたり、視線をさまよわせたり。
声は「ハスキーボイス」と言うにはかすれすぎており、
テクニックもまた凡庸で、勝ち残れるクオリティではなかった。
審査員長的な一人が曲を途中で止めさせた。
ドンは表情を歪めながらジャッジを待つ。
4人中3人のジャッジは"No"。
最後のジャッジはブリトニー。
ドンはすがるようにブリトニーの名を呼んだが、ブリトニーの表情は暗いままだった。
ブリトニーが"No"と告げると、まるで撃たれたように顔を歪めるドン。

そのまま肩を落とし舞台袖に下がったドンはその場で泣き崩れて動けなくなってしまった。
「ブリトニーの目を見た? 僕は彼女を悲しませてしまったんだ…」
「僕はブリトニーを傷つけた。ごめん、ごめんよ、ブリトニー」
震える声でそう繰り返す。
スタッフに連れられて控え室に向かうも、また途中で泣き崩れて立ち上がることが出来なかった。

本選前のオーディションで落ちていてもいい実力なのに、
あえて本選に出してドラマチックにしようとする演出が嫌らしい。
オーディション中から舞台袖まで、ドンの空元気っぽい今にも崩れそうな表情は、痛々しいと共にどこか病的な感じもし、
ブリトニーへの親しみと言うか、執着心と言うようなものも相俟ってなんとも言えない異様さがあった。

文章が下手なので空気感が伝わらないのが悔しいんだけど、
映像で見てみると、それぞれのなんとも言えない微妙すぎる表情や、審査員やドンの間に漂う空気がとにかく重い。
可哀想、と言うよりただただ痛々しくて後味が物凄く悪かった。
ようつべにもあがっていたりするので、是非映像を見てモヤモヤしていただきたいです。

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