後味の悪い話

【後味の悪い話】ナポレオン狂

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298: 本当にあった怖い名無し:2007/06/02(土) 09:24:08 ID:1QyvO/qL0

阿刀田高志の「ナポレオン狂」。
主人公の知人にナポレオンに関する熱狂的なコレクターがおり、
ちょっとでもナポレオンに関わる物は金に糸目をつけずに買い漁る、まさに「ナポレオン狂」。
そしてナポレオン狂が最近手に入れたと言う凄い物を見せてもらった。

それはあの有名な帽子。
ナポレオン狂は「これは実際にナポレオンがかぶっていたんだよ」とうっとり。
そんな時、主人公の下にある男性が訪れる。
どこか田舎のおっさんなんだが、妙にバタ臭い顔。

その男はお土産のカワハギを主人公に渡し、
「私ナポレオンの生まれ変わりなんですよねぇ」と言い、
「どこかでみた事がある」と思ってた主人公は「そうだ、ナポレオンに似てるんだ!」と気がつく。

そして最初は信じなかった主人公も、
ナポレオンが投獄されていた時の記憶もあるんだよぅと語る素朴な男に興味を持ち、
「きっと喜ぶだろう」と思い、軽い気持ちで「ナポレオン狂」に引き合わせた。
しばらく経ってナポレオン狂に会いに行く主人公。
男の土産のカワハギが大変おいしくて、カワハギを食べていた時にふと思い出したのだ。

例の生まれ変わりの男と会った感想を聞きたかった事もあった。
「ああ、あの男か。あれはとんでもない山師だよ。顔は確かに似てるがインチキだ。
とっとと追い返して、今頃は故郷に戻っただろう。」
「そうか、それは残念だ。所で例の帽子をまた見せてもらっていいかい?」
ナポレオン狂はためらった後、帽子を主人公に見せた。

その帽子からは何かかいだ事のある特徴的な臭いがする。
館を辞去した後、その帽子のにおいの正体に気がついた。
それはある実験施設でかいだ防腐剤の臭い。
主人公はあの男がナポレオンの帽子をかぶった所を想像し、
「もう二度とあの男には会えないだろう」と思う。

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