54 :本当にあった怖い名無し:2007/10/15(月) 00:23:56 ID:J07MpFw30
何だ…あれは?
遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。
しかも周りには田んぼがあるだけ。
近くに人がいるわけでもない。
僕は一瞬奇妙に感じたが、ひとまずこう解釈した。
『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かったから、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。
風がピタリと止んだのだ。
しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。
兄は『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、気になってしょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。
兄は、少々ワクワクした様子で、『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、はりきって双眼鏡を覗いた。
すると、急に兄の顔に変化が生じた。
『…くそったれっ!ヴェトコンだ!!』
そういうなり兄はタコツボに据付けられたM60機関銃(アメリカが誇る世界最高の挽き肉器だ)に飛びつくなり肩に構え、引き金を引き絞った。
ものすごい銃声が鳴り響き、7.62mmの鉛のシャワーがくねくねに浴びせられる。悲鳴も上げられないで血煙と化した。
そこらの田んぼのかげからヴェトコンどもがイナゴみたいに飛び出してきた。
僕は手元にあったM16ライフルのスライドを無造作に引っ張ると単発でヴェトコンどもに5.56mm弾を叩き込む。
『撃て!撃て!!ぶっ殺せ!!』
近くにいた軍曹が叫んだ。
他のタコツボからも銃撃が始まった。
ここはヴェトナム、フエの街。1968年、旧正月(テト)攻勢はこうして始まった。
僕の戦争は始まったばかりだ。
【笑える洒落怖】クネクネを見た兄 ヴェトコンVER