■ 百 物 語 ■2006年冬
103 :影虎 ◆ufyC28b62o :2006/12/17(日) 00:11:39 ID:6hObzdE1O
五年前の夏、私は一人で百物語をしていた。
厳密に言うと、夏休みの自由レポートにして出す予定だった。
都市伝説含め、怖い話の移り変わりや流行を追ったら面白いと思ったのだ。
だから、本、ネット、友人達から…と、あちこちから怪奇談を集めていた。
三十話集まった日、ペットのハムスターが一匹死んだ。
泣きながら庭に埋めた。
四十話集まった日、またハムスターが死んだ。
また泣きながら庭に埋めた。
六十五話集まった頃から、誰もいない風呂場から女のすすり泣きが聞こえるようになった。
まだ、偶然だと思っていた。
ある日、弟が言った。
「あのさ…笑わないで聞いてくれよ。風呂場から女の声がしないか?」
私は一人百物語を止めた。
途端にぴたりと女のすすり泣きは止み、ハムスターは死ななくなった。
夏休みが明け、私は友人達に言われた。
「…あんた、顔が死人みたいな色だよ」