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∧∧∧山にまつわる怖い話Part11∧∧∧
祭囃子と歯
340 :オマージュ:04/08/06 11:11 ID:7Dl9gjIc
老人の話
夜テントの中で横になっていると、どこからか祭囃子が聞こえる。
不思議に思ったが、風の加減で遠くのものが聞こえることもあるんだろうと考え、そのまま寝てしまった。
翌日、目が覚めて下山すると、町が大騒ぎになっている。駐在さんに呼び止められていろいろ事細かに聞かれた。
どうやら、町に住む若い女性が行方不明らしい。
「誘拐だ」「家出だ」という声が聞こえたが、神隠しだと誰かが言った。
そういえば、祭囃子に狐のような鳴き声が合いの手にはいっていたな、と思い出したが、
誰にも喋らず、汽車に乗ってその町を出た。
341 :オマージュ:04/08/06 11:12 ID:7Dl9gjIc
その老人の話
汽車でうたたねをしていると、「もし・・・」と声をかけられた。
見ると、あでやかな着物姿の女性が、恥ずかしそうに口元を袖で押さえて立っている。
「これを、私の家族にお渡ししていただけますか?」
そういって、赤い錦の小袋を差し出した。
彼は寝ぼけてたせいもあって、ついその袋を受け取ってしまった。
ふと女の顔を見ると、妙に目が吊り上っている。
気味が悪くなり、「困る、なぜ俺が」と袋を返そうとしたが、女はひょいと身をかわす。
「お願いいたします」
「いや、困る」
「お願いいたします」
押し問答をしていると、ふいに女の姿がかき消えた。
外を見ると、汽車は鉄橋を渡っていた。
川は渡れないのだな、となんとなく思った。
袋を開けると、人の歯がいくつもじゃらじゃらと出てきた。
びっくりした彼は捨てようと思ったが、それも気味が悪い。
処分に困った彼は、その町の駐在所あてに郵便で送ってしまったという。
342 :オマージュ:04/08/06 11:13 ID:7Dl9gjIc
さらに老人の話
数年後、その山にまた登る機会があったので、ついでに町に寄り、当時のことをそれとなく聞いてみた。
見覚えのある駐在さんが頭をふりふり言った。
「覚えてますよ。嫌な事件でした。犯人から、被害者の歯が送られてきましてね・・・残酷でしょう」
彼は内心冷や汗が出た。どうやら自分が殺人犯にされているらしい。
そそくさと退散しようとしたとき、駐在さんが奇妙なことを言った。
「でも、家族にそれを見せたら、なんだか妙に納得されましてね。
町の人も急に捜査に協力してくれなくなりましたし・・・
なんだか町中が嫌な雰囲気でしたよ」
送られてきた歯には、上下の犬歯だけが欠けていたという。