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会社にとんでもない女がいた話

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3 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 09:55:07.85 ID:3e8lTqdb0

たんたんと書いていきます。

当時、私は精密機械を設計・製造する会社で営業事務をしていた。

会社は大きくなく、社員数も少なかったが、
一応、設計部とか営業部とかに分かれてた。

製造する工場だけが別の場所にあったけど、
一つの部屋で、机の島だけが分かれていて設計部も営業部も
皆仲が良く、ワンマンな社長がちょっと苦手だったけど楽しい会社だった。

4 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 09:58:37.82 ID:3e8lTqdb0

設計部は男性3人、女性1人と4人の設計士さんがいた。

営業部は男性3人、営業事務が私を含め2人。
あとは経理や総務をしてくれるベテラン事務員さんが1人。

ストレスのスの字も感じない職場だった。
が、その楽しい日々が一人の女のせいでメチャクチャになった。

5 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:02:33.04 ID:ttbNPJJH0
見てるよ

6 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:05:45.68 ID:haObkxWU0
ふむふむ

7 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:07:26.86 ID:3e8lTqdb0

ありがとうございます。

まずはメチャクチャ女スペック

当時35歳 社長の知り合いの娘。
見た目は山田邦子とかアントニオ猪木とかそんな感じ。
顎が特徴。しかもちょっとデブ。
『アントン』と呼ばせてもらいます。

ベテランさんスペック
当時35歳 見た目は小林聡美。
面白くて頭が良くて、誰からも好かれてた。

重要人物じゃないけど、私スペック
当時 24歳
周りからは井上晴美を小さくした感じって言われてた。

8 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:08:29.91 ID:3e8lTqdb0

アントンは最初の登場からして凄かった。

営業事務は私ともう一人ユリさんって人とでやってたんだけど、
ユリさんが結婚して退職する事になってた。

ちなみにユリさんは私より一つ年上の25歳。蛯原友里似の美人さん。
ユリさんの後釜として来たのが、アントンだった。

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9 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:09:07.68 ID:3e8lTqdb0

その日の業務が始まる前に、社長から皆に紹介された。

社「今日からここで頑張ってもらうアントンさん。
  営業部に入ってもらう。宜しくな。」

皆「よろしくお願いします」

ア「私、設計がしたいです。」

社「え?」

ア「設計部がいいです。」

社「いやいやいやいや・・・う~ん・・・じゃ、設計部・・・にしようか」

ア「今日から設計部に入りますアントンです。父は会社経営してます。
  昔はここの社長の面倒みてました。
  宜しくお願いしまっす!ハイ!以上!」

社「(苦笑い)」

皆「・・・宜しくお願いします・・・」

みたいな感じだった。
皆、「???」って感じだったけど、仕事が出来る人なら問題ないと
アントンのおかしな発言はスルーしていた。

10 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:10:09.33 ID:3e8lTqdb0

業務開始直後、とんでもない事が発覚した。

自分から設計がしたいと設計部を希望しといて、CADが使えない。
もちろん、設計なんか今までやった事もない。専門知識もない。

でもアントンは「教えてもらったらすぐ出来る。覚えるのは早い方やから。」て自信満々。
社長が見て見ぬ振りしてた。

ユリさんが「社長の知り合いの娘って・・・何の知り合いなんだろうね。」って言ってた。
私は本能的にアントンとは関っちゃいけないと思った。

11 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:10:51.34 ID:ttbNPJJH0
面白くなりそうだ

12 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:11:34.89 ID:3e8lTqdb0

もちろん設計出来るわけもなく、雑用する事になったらしい。
アントンは、設計さんにコピーを頼まれた。

が、何故かアントンは不機嫌。
どうもコピーをとるという業務が気に食わなかったらしい。

設計さんから受け取った書類を、私の所へ持ってきた。
「これ、コピーしてきて」と。

13 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:12:07.51 ID:3e8lTqdb0

私は営業部。アントンは設計部。

ちょうど私は、急ぎの見積書を作っていた最中だったし、
一瞬「ん?」と思ったけど、コピーの使い方が解らないんだろうと思い、
私はアントンをコピーの所まで連れて行き
「このままセットして、ボタン押すだけです」と説明しながらやっていた。

が、アントンは自分の席に戻っていた。

14 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:13:10.95 ID:QY+/3zKWI
wktkしてきた

16 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:13:32.46 ID:3e8lTqdb0

とりあえず、コピーした書類をアントンの所で持っていくと
「ちゃんと出来た?じゃ、次これFAXしてきて」と次の書類を渡された。

アントンのPCを見るとエクセルの表があり、
下に小さい窓でヤフー知恵袋が開かれていた。
勤務一日目からこの態度。すごい人だと思った。

さすがに設計さんが、「アントンさん、あんたに頼んだんやから。」と助け舟を出してくれた。

17 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:14:36.04 ID:3e8lTqdb0

するとアントンは舌打ちをし「バン!」と
机を叩いて立ち上がりFAXを送りにいった。
今までそんな人が居なかったので、皆凍りついた。

ベテランさんだけがニヤニヤしてた。

アントンはFAXを終えて自分の席に戻ってくるなり、
書類を机に投げ喫煙室へ消えた。

18 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:15:25.80 ID:3e8lTqdb0

とりあえず、その日はユリさんのお祝いと
アントンの歓迎会を兼ねた飲み会があった。

皆の時間や予算的に、歓送迎会的な感じだった。主役は2人。
場所は、皆がよく行く居酒屋さん。
小さいながらも大将も面白いし、料理も安くて美味しい良い店だった。

が、店に入るなりアントンが
「は?何よこの店。私こんな店始めてやわ。狭いなぁ。」
と言い出した。

21 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:16:01.35 ID:3e8lTqdb0

当然、大将も聞いていたので社長が
「あ、アントンさんは社長令嬢やからなぁ。ここ、メッチャ旨いねんで」
と一応のフォロー。
皆も口々にフォローにならないフォローでその場を誤魔化した。

22 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:16:37.15 ID:3e8lTqdb0

そんなこんなで席につき、
とりあえずビールで乾杯しようという事になった。

皆のグラスにビールが注ぎ終わって、
社長が乾杯の音頭をとろうとしたが、
しかし、やはり相手はアントン。
そう簡単には乾杯させてくれない。

「私、ワインしか飲めません。」

23 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:17:16.51 ID:3e8lTqdb0

しょうがないので、ワインを注文。
きたワインを見るなり「これはどこのワイン?」とか言い出した。

アントンと一緒に上座に座ってるユリさんは、ずっとテーブル見てた。

私は、アントンと離れて座って良かったと思った。

24 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:18:08.98 ID:3e8lTqdb0

そして皆のビールの泡もなくなった頃、やっと乾杯が出来た。

皆がユリさんの結婚相手について色々質問してた。
笑顔で答えていくユリさんが凄く綺麗だった。
ユリさんは美人だし優しいし、旦那さんは幸せだろうなって思った。

ちなみにユリさんの結婚相手は歯医者さん。

26 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:19:58.17 ID:2GqM5NoR0
ちょっとユリさんと結婚してくる

25 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:18:52.18 ID:3e8lTqdb0

アントンが明らかに不機嫌になってきた。

営業さんがもう1人の主役アントンを気遣って、話かけた。

普段でもメチャクチャなアントンがお酒が入ってまともになるわけもない。

それからは、アントン1人が主役。

27 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:20:24.05 ID:3e8lTqdb0

離れて座って安心していた私だが、アントンの言動には興味があった。
アントンは声がデカイのでよく聞こえた。

とりあえず、私とベテランさんと友近似の設計さんはアントンチェックを開始した。
アントンは、誰に言うでもなく自分についてたんたんと語っていた。

どこの会社にいっても部下から慕われる。

いずれは親の会社の経営に携わらなければならないので苦痛。

どこで働いても、自分の能力を活かしきれない。

とりあえず私はお金持ち。お金に困ったことがない。

有名俳優や歌手にプロポーズされた事がある。

今は、3人からプロポーズされている。などなど。

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28 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:21:13.80 ID:3e8lTqdb0

友近さんはひいてた。
でも私とベテランさんは興味津々。

たった10分くらいの話で
私達3人を満足させてくれるアントンって
ほんとうに凄い人だと思った。

29 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:22:24.56 ID:3e8lTqdb0

アントンは自分のことを話し終わると、注文した料理の話に移った。

この味付けは何か一味足りない。

このワインはなんでこんなに不味いのか。

この料理なら私は3分で作れる。

素材が悪い。もっと新鮮な物じゃなきゃだめだ。などなど。

これは大将の耳には入っていなかったので良かったが、ちょっとハラハラした。
でもベテランさんは「やっぱりアイツおもろいwww」って大爆笑だった。

それから私達は大好きなスルメの天ぷらを食べながら
今後の楽しい日々を想像して盛り上がっていた。

30 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:23:13.65 ID:3e8lTqdb0

アントンはとにかく食う。飲む。
胃下垂だから大丈夫なんだって言ってた。デブなのに。

歓迎会ももうすぐお開きだという頃に、
不味いと言っていたワインを2本半飲み、
ワインしか飲めないといってたくせにビールも数本飲み、
料理を食い散らかしたアントンがやっと大人しくなった。

皆ちょっと疲れてた。
それから30分程してその日は解散した。

31 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:24:01.57 ID:3e8lTqdb0

次の日、アントンは休んだ。

理由は

「二 日 酔 い」。

やっぱりアントンは関っちゃいけない人だと思った。

33 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:25:03.82 ID:cqb5KCeX0
なんかドンマイ

32 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:24:49.49 ID:3e8lTqdb0

とりあえず、アントンは使えない人だった。
でも『出来る女』を演じるのが好きだった。

35歳だから、それなりに事務仕事は出来るだろうと考えていたけど、

両面&縮小&拡大コピーが出来ない。エクセル・ワードもぼちぼち。

電話応対&敬語が変。

34 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:25:49.57 ID:3e8lTqdb0

そのくせ、全てにおいてオーバーアクション。

一度にコピーを撮ればいいのに数回に分けてバタバタ走り回る。

電話を取れば耳と肩に受話器を挟んで、
何故か自分のスケジュール帳 みたいなやつにメモ。

皆アントンには急ぎの仕事や重要な仕事は廻さないようにしてた。

35 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:26:33.42 ID:3e8lTqdb0

だけど、アントンは常に忙しそう。

電話をとっても早口で乱暴。PCのキーボードはガンガンドスドス。

引き出しを閉めるのはバーンバーン。

いつもアントンの周りでは色んな音がしていた。

39 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:27:57.04 ID:3e8lTqdb0

そんなある日、アントンがとうとう

や ら か し た。

42 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:28:53.97 ID:ttbNPJJH0
なにやらかしたか?
ワクワク

43 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:30:18.57 ID:aZo155W90
社長が一番悪いだろ

45 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:31:08.78 ID:3e8lTqdb0

>>43
私もそう思います。

41 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:28:32.79 ID:3e8lTqdb0

いつものように設計の出来ないアントンはFAXを送るよう指示されてた。
不貞腐れながらもFAXを送り、また喫煙室へ消えていった。

最近では、アントンの行動にも皆慣れてきて普通の光景だった。

しばらく経つと、FAXを送ったA社から電話がかかってきた。

44 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:30:25.52 ID:3e8lTqdb0

「電話番号にFAX送ってない?何回もコール鳴るから取り消してよ」と 苦情の電話。

そこへアントン登場。

設計さんが「電話番号にFAXしてるらしいからやり直して」と書類を渡すと、
「間違ってません。」と一言。

苦情の電話がきた事を話しても「間違ってません」とまだ引かない。

とりあえずもう一回送るようにと言われ、舌打ちをしながらFAXを送りにいった。

さすがに今度は喫煙室へは行かなかった。

47 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:31:59.52 ID:3e8lTqdb0

ドスンという音と共に椅子に座ると、ガンガンドスドス始めた。

設計さんもちょっとイラッとしてたし、周りも凍りついて
ガンガンドスドスだけが響いていた。

ベテランさんは私と目が合うとアントニオ猪木の顔真似をしてきた。

49 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:33:55.00 ID:3e8lTqdb0

ガンガンドスドスの中、また設計部の電話が鳴った。

アントンは電話も取らず、ガンガンドスドスを続けていた。

仕方なしに友近さんが電話をとると、どうやらA社かららしい。
ひたすら謝っている。

そして、電話を保留してアントンに
「また番号間違えた?早く取り消して」と言うと
アントンはいきなりA社からの電話に出て

「何なん?私は間違えてないし!は?じゃ、番号言ってみなさい!
 ・・・え?最後が6?・・・そんなん電話とFAX似たような番号にするから
悪いんやろ!・・・は?とりあえず送るからもう電話せんといて!
私が怒られるんやから!」ガチャン!

慌てて社長がA社に謝罪の電話をしてた。
バカ社長、目を覚ませと思った。

52 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:36:20.67 ID:yxx/DfcN0
>>49
普通なら即クビだなwwww

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51 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:36:09.24 ID:3e8lTqdb0

アントンは「今日はもう仕事出来る感じじゃないので帰ります」と 帰っていった。

が、すぐ戻ってきて友近さんに

「あんたな、私より年下や。口の利き方も知らんのか!
 ちょっと設計できるからって調子のんな!」

と暴言を吐いて帰っていった。

ちなみに友近さんは27歳。
普通ならこの時点でクビ決定。

53 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:37:02.16 ID:3e8lTqdb0
皆、ムカついたりショック受けたり空気が凄く悪かった。

ベテランさんが皆に「嫌な事忘れる薬入れといたで」と
コーヒーを入れてあげてた。

やっぱりベテランさんは凄いと思った。

54 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:37:11.45 ID:ttbNPJJH0
アントンがいないだけ、
うちは幸せな環境だと思いはじめた

55 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:38:27.63 ID:3e8lTqdb0

次の日アントンは普通に出勤してきた。
昨日の事がなかったみたいに振舞ってた。

しかも、何があったのか凄くご機嫌さんだった。
友近さんにもお菓子とかあげてた。

普段から浮き沈みの激しい性格だったけど、ちょっと怖かった。
何でクビにならないのかもわからなくて、色んな意味で怖かった。

56 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:38:52.52 ID:aZo155W90
営業は>>1一人でやってんの?

58 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:40:53.59 ID:3e8lTqdb0

>>56
営業部は、営業さん3人です。
私は営業事務。
この時はまだユリさんがいたので、営業事務は2人でやってました。

57 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:39:20.05 ID:3e8lTqdb0

こんな感じのアントンだったので、アントンが席を外すたびに、
設計部からはアントンを外してくれと社長にお願いするようになった。

辞めさせるは無理だろうから、製造の工場で使ってはどうかという話もでた。
でも、ワンマン社長は、知り合いの人の娘さんという事もあり困っていた。

アントンはとりあえずデスクワークがしたいらしい。

59 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:41:31.10 ID:3e8lTqdb0

そこでワンマン社長が出した答え。

「よし!営業部で頑張ってもらうから」

その時の皆の反応をみて、アントンが居なくても凍りつくんだなぁって思った。

60 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:41:46.07 ID:/Y+nWcoY0
35歳ってわりとみんな大人だと思ってた・・・

62 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:42:34.59 ID:3e8lTqdb0

もちろん営業部は猛反対。
営業の方が電話・FAX・コピーや雑用が多いので絶対に無理だ。

しかもユリさんもまだ居るしベテランさんも手伝ってくれてるから、充分だと訴えた。

けどそこはワンマン社長。聞いてくれるわけもない。
ってことで、次の週からアントンは営業部で仕事をすることになった。

ユリさんが何故か「何か・・・ごめんね」って謝ってきた。
私はちょっとお腹が痛くなった。

63 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:44:30.67 ID:3e8lTqdb0

同じ部屋と言えども、部署が離れて喜んでいるのは友近さん。

友近さんは明日から週末まで、
製造の工場の方へ会議で行くことになっていた。

だから、今日でアントンとの仕事は終わり。

あんなウキウキした友近さんは久しぶりに見た。

そんな友近さんにベテランさんが猪木の顔真似しながらガッツポーズしてた。

顔真似がちょっと上手くなってた。

64 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:46:06.30 ID:3e8lTqdb0

ところが、次の日。

社長が営業部への異動を伝えるため、アントンを会議室によんだ。

しばらくしてバーンと会議室からアントンが飛び出してきた。

そして

「私はまだまだやり残した事があるんです!設計部も私が欠けると困ります!」
って、叫びだした。

皆が「え?何が?」って感じだった。

社長は悩んでた。

そして

「じゃ、これからも設計部で頑張ってもらおうかな」
って言った。

皆が「え?何で?」って感じだった。

65 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:47:14.01 ID:3e8lTqdb0

結局、アントンはもとの設計部で仕事を始めた。
週明けの友近さんの唖然とした顔を今でも忘れられない。

普段は引き締まった顔なのに、その朝は稲中に出てきそうなユルイ顔になっていた。

そんなこんなでユリさんも辞め、月日は流れ、
設計部の皆が諦めと絶望を感じ、
アントンの扱いにも慣れてきた頃、

営業部に新しい事務員さんが入ることになった。

67 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:47:39.41 ID:qERRUBxO0
慣れちゃうのかよw

66 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:47:29.06 ID:cERRRkBs0
何か、盛り上がってきたね。

69 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:48:57.52 ID:3e8lTqdb0

私は一緒に仕事をする人なので、良い人がいいなぁっと思ってた。

この人も重要人物なので、名前を付けます。

とりあえず今回も綺麗な人だった。

雰囲気的に滝川クリステルみたいな人。
なので、クリステルにします。

クリステルも35歳。
アントン、ベテランさんと同い年。

クリステルは、性格温厚で覚えが早くしかも仕事が丁寧だった。

70 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:49:50.30 ID:3e8lTqdb0

この才能の一つでもアントンにあげればいいのにって思った。

余談だけど、社長は「女は35歳から」って言ってた。
だから35歳がこんなに集まったのか、たまたまなのかは謎。

私1人お子様みたいでちょっと寂しかった。

71 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:50:36.23 ID:3e8lTqdb0

そんなクリステルはベテランさんとも気が合い、
ほかの人からのうけもよかった。

でも予想通り、アントンはクリステルを嫌ってた。

常に先輩面して、クリステルに雑用を押し付けてた。

クリステルはアントンに理不尽な事言われても常に温厚だった。

私もこんな人になりたいと思った。

常に『出来る女』を演じてたアントンは、自分の方が仕事が出来て
上の立場だと思っていた。

アントンのポジティブさも見習おうと思った。

72 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:51:40.10 ID:3e8lTqdb0

クリステルの歓迎会の日、設計部に問題発生。

設計の修正箇所を電話で聞いていたアントンの連絡ミスで、
大慌てで修正することになったらしい。

今更アントンを責めても逆切れされるのは分かっているので、
皆何も言わなかった。

なので、クリステルの歓迎会は営業部だけでやる事になった。

もちろんお店はいつもの居酒屋さん。

73 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:52:11.77 ID:3e8lTqdb0

アントンが居ないせいか、クリステルが良い人過ぎるせいか、

とても楽しい時間を過ごしていた。

何か昔に戻ったみたいで嬉しかった。

が、なぜかアントンが登場した。

76 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:54:18.69 ID:QY+/3zKWI
来たか…

74 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:53:34.50 ID:3e8lTqdb0

後で設計の人に聞いた話によると、アントンは自分が行かないと
始まらないと言い出したらしい。

クリステルの歓迎会なのに・・・。

皆がバタバタしてるのに、「部下の歓迎会には出る!」と言い張ってたらしい。
部下ってなに?部署違うし。

『出来る女』の妄想が設計部の部長くらいまで出世したようだ。
でも、皆アントンが居ないほうが仕事が捗るので行かせたらしい。

こっちはいい迷惑だった。

75 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:53:56.10 ID:ttbNPJJH0
組織を最適化するには
素材を磨くより
不良品を取り除くことがまず必要なのだとこれを読んで思ってます

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77 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:54:19.49 ID:3e8lTqdb0

アントンは、来るなり「やっぱりまたこの店かぁ」と言った。

帰ればいいのにと思った。

クリステルは大人の対応で、「お忙しい所ありがとうございます」って
言ってた。

ベテランさんは、ニヤニヤしながらスルメの天ぷら食べてた。

アントンはまた不味いと言いながらもまたワインをがぶ飲みしてた。

79 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:55:52.99 ID:3e8lTqdb0

しばらく経つと、アントンがご立腹。

今日はクリステルの歓迎会なので、皆がクリステルを主役にするのは
当たり前なのに、アントンはそれが気に入らなかったらしい。

いきなりクリステルにあれこれ質問しだした。

前はどんな仕事をしてたのか。
実家は何をしてるのか。
出身はどこか。
結婚はしてるのか。などなど。

80 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:57:10.93 ID:3e8lTqdb0

この質疑応答で、それまで不機嫌だったアントンが急に元気になった。

理由はクリステルが片親で育てられて、高校卒業後すぐ働き出した。

結婚はしているが、旦那さんは出張が多いということ。

その後のアントンは、今まで以上に本当に最低だった。

片親で育ったって事は貧乏だったんだろうとか、高卒でちゃんとした
知識はあるのかとか。

旦那は絶対ほかに女がいるとか、子供出来ないなら結婚してる意味ないから
離婚しろとか。

私は始めて人を殴りたいと思った。

81 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:58:00.58 ID:3e8lTqdb0

酔った勢いとはいえ、言っちゃいけない事がある。

こいつ本当に極悪人だと思った。

周りもいい加減にしろと止めていた。

そんな時でもクリステルは大人の対応をしていた。

私は何だか泣きそうになってきた。

ベテランさんはビールをピッチャーで注文してた。

84 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:58:40.57 ID:zMdXKEI70
今からアントン殴ってくる

83 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:58:34.78 ID:U1Mlsq8v0
ベテランさん良い味出すね~ww

86 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:59:07.98 ID:3e8lTqdb0

空気の悪いなか、アントンはそんな事全く気にせず、
自分の金持ち自慢や大学時代の事を話していた。

クリステルがトイレに立ったすきに、アントンが上座を占領してた。

アントンはずっとしゃべってた。うるさかった。

昔から、ブランド物のバッグしか持ったことがない。
クリステルが使っているようなバッグはスーパーの袋と一緒。
一回使ったら捨てるのが私の基本。

パリスヒルトンでもそんな事しない。ほんとバカだと思った。

88 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:59:54.18 ID:ttbNPJJH0
ベテランさん
ピッチャーのビールをアントンにあびせる。そういうのを希望

89 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 10:59:56.02 ID:3e8lTqdb0

気づけばアントンの側には私しかおらず、
皆はクリステルが席を立ったと同時にちょっとづつ席を移動してた。

ベテランさんはピッチャーを受け取りながら私に、
「飲み物来たぞー」と助け舟を出してくれた。

アントンから離れピッチャーを受け取ろうとした瞬間ベテランさんが

アントンの方へビールをぶちまけた。

90 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:00:24.17 ID:MlkTbHS10
>>88
さっそくきたなw

91 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:00:26.61 ID:qERRUBxO0
>>88は神

92 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:00:39.77 ID:3e8lTqdb0

ア「ウギャー!ちょっと!何してのよ!ウギャー!」

ベ「ごぉめぇーん。私酔ってるみたいやわぁ」

ビショビショになり喚くアントン。

急に酔っ払いになったベテランさん。

トイレから帰ってきて呆然とその光景を見詰めるクリステル。

私とほかの人はキョロキョロしてた。

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93 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:01:20.62 ID:3e8lTqdb0

ベテランさんが「ごめんごめん」と言いながら
トイレにあったタオルでアントンを拭いていた。

その後、お店にモップ借りて床とアントンの靴を拭いてた。
私たちも大将に布巾をかり、テーブルとか拭いた。

さすがのアントンもビショビショのままで居るわけにいかず、
プリプリしながら帰っていった。

94 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:02:06.35 ID:3e8lTqdb0

そのあと、ベテランさんは大将に

「ビショビショにしてごめんなさい。飲み物粗末にしてごめんなさい。」と
ひたすら謝っていた。

大将が笑顔で「気にせんでええよ」と言ってた。

ベテランさんはクリステルや私たちにも謝ってきた。

私は結構飲んでたせいか、何故か号泣してた。

アントン以外の人が良い人すぎて涙が止まらなかった。

大将にアイスを貰って、皆がタクシーに乗せてくれてお家に帰った。

95 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:02:46.84 ID:/Y+nWcoY0
急に酔っ払いになったベテランさんまじナイスwwwだがアントンのバカ親の力とか大丈夫なんだろか・・

96 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:02:47.09 ID:ttbNPJJH0
タオルで床
モップでアントン

こっちでいってほしかった

97 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:03:35.44 ID:3e8lTqdb0

さすがに次の日アントンは休まなかったけど、
ベテランさんにネチネチ昨日の事を言ってた。

ベテランさんは素直に謝ってた。
謝ってるベテランさん見て、ちょっと心苦しくなった。

この日のアントンはいつも以上に不機嫌だったけど、
営業さんが買ってきたケーキを食べたら機嫌良くなった。
人数分のケーキなのに、外出してた営業さんの分まで食べてた。

それから数日間アントンはちょくちょく問題を起こしたけど、 皆普通に過ごしてた。

皆大人だと思った。

98 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:04:01.85 ID:qERRUBxO0
俺、ベテランさんのような人を目指して生きるよ
でも俺ならモップでアントンだわ・・・

99 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:04:26.71 ID:MlkTbHS10
俺ならアントンにキレてるかもしんない

101 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:04:55.80 ID:3e8lTqdb0

クリステルは前の会社でやっていたとかで、営業事務はもちろん
経理や人事・総務などオールマイティな人だった。

ベテランさんと凄く気が合うらしく、2人は仲が良かった。
よく私と友近さんも誘ってくれて、4人で飲みに行ってた。

ベテランさんとクリステルは「ほんと私たち不良主婦だねぇ」って言ってた。

何回に一度は社交辞令でアントンも誘ったけど、「彼氏と会うから」と言って来なかった。

しかも皆に聞こえるくらい大きい声で言ってた。

ブスでデブで性格悪いうえに難聴かと思った。

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102 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:06:21.77 ID:3e8lTqdb0

ここまでで分かると思うけど、アントンには良い所がひとつもない。

如いて言うなら、親が金持ちって事だけ。

この金持ちっていうのも嘘かと思ってたけど、社長曰くこれは本当らしい。

そんなアントンにある朝一番「飲みに行こう」と誘われた。

しかも二人きり。

103 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:07:00.62 ID:MlkTbHS10
朝から二人とはまた重いな

104 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:07:20.17 ID:3e8lTqdb0

もちろん即答で「無理です。用事あります。」って行ったけど聞く耳持たず。

助けを求めようと周りを見るとベテランさんが口パクで「行って来い」って言った。

クリステルは何故か指でOKサインしてた。

友近さんはニヤニヤしながらPCの画面に向かってた。

105 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:08:39.74 ID:3e8lTqdb0

午前中は仕事が手につかなかった。

基本、女性陣はお弁当持ちだったので休憩室で食べてたんだけど、
金持ちアントンだけはいつも外食してた。

4人になった時、あのOKサインと「行って来い」の意味を聞いた。

すると、友近さんがとんでもない事を言い出した。

「アントンは営業に好きな人おんねんで」

全く意味が分からなかった。

107 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:09:21.94 ID:3e8lTqdb0

まず、アントンには彼氏がいるはず。
3人からプロポーズをされてるはず。

100歩譲ってそれが嘘だとしても、今までの醜態を見せてて
好きになるも何もないもんだ。バカかと思った。

しかも、なぜ私がアントンと2人で飲みに行かないといけないのか。

全く意味が分からなかった。

109 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:10:33.48 ID:3e8lTqdb0

話を詳しく聞いてみると、
アントンが好きなのは私の隣の席の営業さんだった。

これといって芸能人に似てる人がいないので、「営業男」ってよびます。
営業男は32歳、独身。まぁシュッとした感じの人。

どうしてそれが分かったのか聞くと、
皆が「見ればわかる」と言ってた。

大人だなぁって思った。

ベテランさんとクリステルは、アントンもきっと一人で寂しいはず。
自分達にはあまり話しかけてこないけど、
晴美(私です)は気に入られるようだから、
ちょっとでも歩み寄ってやろうじゃないかと、
他人任せだけど大人な考えを言ってきた。

112 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:12:35.02 ID:2GqM5NoR0
てっきりアントンが>>1の事を好きなのかと思った

116 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:13:56.46 ID:3e8lTqdb0

>>112
もしそうだったら、今頃生きてません。

113 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:13:23.98 ID:3e8lTqdb0

友近さんは、「本当にアントンに恋人が出来れば、心落ち着いて良い人になるはず」

という結論を出していたけど、どう考えても生贄になる営業男が可哀想だった。

どうしても営業男を生贄にするのかと聞くと、
「片思いでもいい。好きな人が側で仕事をしてるだけで落ち着くかもしれない」という。

とりあえずアントンの相談を受けて、適当に立ち回れ。もちろん力は貸すからと。

友近さん1人張り切っていた。

117 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:14:28.05 ID:3e8lTqdb0

35歳達は、「あんまりいらん事したらあかんで」って心配そうだった。

人の恋愛感情を弄ぶのは禁止とも言われた。

でも私は友近さん命令で生贄となった。

118 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:15:00.47 ID:3e8lTqdb0

しょうがないので、その日の帰りアントンと飲みに行った。

アントンは本当に金だけはあるらしく、結構高そうな店に連れて行ってくれた。
まずはビールとワインで乾杯。
料理を注文しようとメニューを見てみると、本当にお高い。

ふとアントンを見ると、キモイくらい目を細めて煙草に火を付けてた。

結局、スルメの天ぷらはなかったから適当に頼んだ。

119 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:15:42.08 ID:3e8lTqdb0

注文も済み店員さんが消え、二人きりになった時アントンが言い出した。

「晴美、あんたにちょっと相談があるねん」

キタ!と思ってアントンを見ると、遠い目をしていた。
クリステルがやると、絶対見惚れるくらいキレイな表情だと思った。

でも相手はアントン。バカにしか見えない。
しかも口から煙草の煙が出て微妙に鼻の穴に吸い込まれてた。

心の中で「ザキ」って呟いた。

120 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:16:22.86 ID:3e8lTqdb0

話が長かったので適当に端折って書くと、

営業男が好きだ。
今までの男は飽きたので振った。
お前は営業男と仲が良いんだから、なんとかしろ。

って事だった。

たったこれだけの内容を2時間に渡って話された。

121 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:17:31.54 ID:3e8lTqdb0

確かに席が隣なので、結構仲はいい。

でも、私と営業男の話の中で一番盛り上がるネタは
アントンのガンガンドスドスだったり、アントンのクリステルいじめだったりする。

営業男も本当に可哀想だなぁって思った。何の特徴もないけど良い人なのに。

早く帰りたかった私は「じゃ、協力しますよ」と言って話を終わらそうとしたけど、
アントンは営業男の良い所を延々と話続けた。

123 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:18:04.85 ID:3e8lTqdb0

やっと開放されて携帯を見ると、友近さんからメールが来てた。

「どうでしたか?帰ったら電話下さい」

どうでもいい情報だけど、友近さんはメールになると、標準語&敬語になる。
しょうがないので、電話して報告した。
友近さんは「あんたの今後にかかってるんやで。頑張ってや」って他人事だった。

とにかく大好きな皆のために頑張ろうと思った。

124 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:19:05.27 ID:3e8lTqdb0

次の日、アントンに昨日のお礼を言おうと探していると、

バーン!という音と共にドアが開いてご機嫌アントンが出社してきた。

私「昨日はありがとうございました。ご馳走様でした。」
ア「ええよええよ。」
(営業男出社)
ア「晴美は妹みたいに可愛いから、また飲みに行こうなぁ」

もちろん最後のは営業男に聞こえるくらいのデカイ声。

『出来る女』スキルに『年下に慕われる女』が加えられた。

126 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:19:41.95 ID:3e8lTqdb0

始業開始10分。アントンによばれた。

今日中に好きな人はいるか、どんなタイプが好きか聞いてくれという。

「好きな人はいるか」はまぁいいとして、
「どんなタイプが好きか」を聞いてどうするのかと思った。

今更どうあがいても、アントンはアントン。変われない。

でも昨日奢ってもらったので素直に「了解です」って返事した。

127 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:20:19.07 ID:3e8lTqdb0

席に戻るなり、営業男が「アントンの次のターゲットお前か?」って笑ってた。

知らぬが仏って言葉の意味がこれほど理解出来た瞬間はない。

営業男も外出し、アントンには帰りまでに聞いときますと報告した。

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128 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:21:06.49 ID:3e8lTqdb0

昼休み、「アントン恋する乙女大作戦(通称AKO)」の報告会をした。

友近さんが、「よく食べる人がタイプって事にしろ」って言った。
アントンの良い所を金持ち以外で探したらそれだったらしい。

するとベテランさんとクリステルが「でも、アントン騙してちょっと可哀想」とか言い出した。
ベテランさんはまだしも、クリステルはアントンにすごく意地悪されてたのにどこまでも優しい人だ。

129 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:21:44.57 ID:3e8lTqdb0

でも友近さん曰く、私たちから仕掛けたわけじゃない。

アントンから晴美に勝手に相談してきただけだし、どちらにせよアントンは振られる。
その期間を延ばしてるだけという事だった。

私も賛成した。

私が頑張ればアントンも幸せ、皆幸せ、万歳だという事。

とりあえず、続けようということになった。

131 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:22:15.93 ID:3e8lTqdb0

15時頃、営業男が帰ってきた。

私は見積もりを作るよう頼まれた。ちょっと溶けたミルキーを貰った。

ミルキーを食べようとすると、アントンに呼ばれた。

アントン第一声「ミルキーちょうだい」。

もちろん渡した。

これ以上アントンに呼ばれたくなかったので、AKO会議で決まった事を報告した。

「営業男は良く食べる人がタイプらしいです」

アントンがニンマリした。キモかった。

132 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:22:59.73 ID:3e8lTqdb0

次の日からアントンは営業男が事務所にいる日は、私たちと食べるようになった。

もちろんどっかで買ってきたお弁当やパン。

ベテランさんが「ほんとよく食べるなぁ」というと

「うん。私食べるの好きやねん」ってキモイ笑顔にデカイ声で答えてた。

133 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:23:29.90 ID:3e8lTqdb0

アントンは結局、ベテランさん達にも営業男の事を相談してた。
クリステルをあれだけいじめといて、よく相談出来るなと思った。

しかも、アントンは私にとんでもないミッションを言ってきた。

その日のアントンの食べた量を営業男にそれとなく報告しろという。

134 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:24:01.99 ID:QY+/3zKWI
晴美頑張るわぁ

135 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:24:06.09 ID:3e8lTqdb0

誰もアントンの食べた量なんか聞きたくない。
ましてや、本当は何の関わりもない営業男に聞かせるのは酷すぎる。

しょうがないので、適当に「了解しました」と返事した。

すると、何故か営業男から突然

「最近、アントンと一緒に食ってんの?アイツ何食べてんの?」
と聞いてきた。

137 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:24:54.89 ID:3e8lTqdb0

いきなりの展開にビックリしたが、これ幸いとアントンのミッション通り
アントンの昼食摂取量を報告した。

もちろん本当に大食いだったので、営業男も驚いてた。

「マジで?アイツ何になるつもりやねんwww食いすぎやろwww」

こんな反応アントンに報告出来ないので、唯一のAKOメンバー友近さんの指示を仰ぐことにした。

138 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:25:27.46 ID:3e8lTqdb0

友近さんを給湯室に呼んだ。

これまでの経緯を話すと、「ちょっと嬉しそうな顔してたって言ってたら?」と
危険な事をいう。

それでアントンが本気になったらどうするのかと聞くと、

「アントンはあぁ見えても、ほんまに好きな相手には奥手やから大丈夫や」との事。

心配しながらも、アントンに報告した。

139 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:25:58.66 ID:3e8lTqdb0

アントンは「ムヒョッ」ってキモイ笑い方した。

「ム」の時にいつも以上に顎が出てた。

でも、本当に営業男を好きになった頃から、アントンは暴れなくなった。

恋の力って凄いって思った。

142 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:27:54.66 ID:2GqM5NoR0
アントン手のひらの上で踊らされてる。。。

144 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:28:43.35 ID:MlkTbHS10
ここまでで女は怖いって改めてわかった

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140 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:27:12.63 ID:3e8lTqdb0

AKOのおかげもあり、平穏な日々を過ごしていった。

ベテランさんとクリステルには、いい加減にしろと言われていたけど
AKOは解散しなかった。

最初は嫌だったが、アントンミッションを友近さんが答えを出してくれ、
私はそれを実行するだけだので、結構楽だった。

が、事件は起きた。

143 :名も無き被検体774号+ :2012/09/08(土) 11:28:43.08 ID:2GqM5NoR0
と思ったら事件ですか

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