後味の悪い話

【後味の悪い話】笑顔の仮面

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429:本当にあった怖い名無し:2007/03/08(木) 16:06:57 ID:067tOVrZ0
多分少女漫画

中学生ぐらいの主人公は、両親亡き後引き取られた家で虐待を受けていた。
とうとう我慢できなくなり、養父を殺して家を出てあてもなく電車に乗りこむ。
相席には同世代の幸せそうに微笑む少女がいた。その笑顔に魅せられる主人公。
話してみたところ、少女は両親を事故で亡くして施設で育ったのだという。

しかし最近、両親の知人で親切なおじさんに引き取られる事が決まり、
そんな親切な人がいるという事が嬉しくて笑っていたのだった。
ここ数年笑顔など忘れていた主人公は、少女に激しい嫉妬を抱く。
同じような境遇なのに、自分も引き取られる相手さえ違えばこんな風に笑えていたはずなのに……
突然、大きな衝撃が走る。気づくと電車は横倒しになっていた。事故に遭ったようだった。

周りに居た乗客のほとんどの人が死んでいた。相席だった少女も。
そこに謎の男が現れて、主人公にガラスの仮面を渡した。
「その少女が得られるはずだった幸せが欲しいとあなたは思ったでしょう」と男は言う。
その仮面をつければ望む姿になれるという。
ただし、その仮面は笑顔にとても弱く、笑ったその瞬間に
ひび割れて崩れてしまうので注意するようにと言い、男は消えていった。

疑いつつも仮面をつけると、主人公の容姿は一変、少女そのものとなった。
少女の荷物を漁り、少女が行くはずだったおじさんの家もつきとめ、
新たな人生を歩むために主人公は晴れ晴れとした気分で向かい出した。

おじさんは見るからに優しそうな紳氏で、笑顔で主人公に接してくる。
少女がまだ幼く、両親が生きていた頃は何度か会った事があるのだが、
覚えているかとおじさんは聞いてくる。もちろん主人公はそんな事は知らない。
「そんなもの覚えてないわ」主人公は挨拶もろくにせずにそっけない態度を取る。
おじさんに弟子入りしてる(?)青年は主人公の無礼を非難するが、おじさんは笑顔でそんな青年を諌めた。

430:本当にあった怖い名無し:2007/03/08(木) 16:09:50 ID:067tOVrZ0
かなりのお金持ちな様子のおじさんの家でぬくぬくとした日々を堪能した後に、
金の在り処がわかるようになったら金を奪って家を出て一人で生きようと主人公は夢想する。
おじさんは養護施設を運営していたりと、恵まれない子供のために財産を惜しげもなく使う篤志家。
主人公はそれを聞いても偽善くさいと思うだけだった。ツンツンする主人公におじさんは
「ご両親がなくなってから辛いことがあったのかもしれないけど、
 そんなに気をはらなくていい 小さい頃のように笑ってごらん」と言うが、
そのいつも笑顔だったという少女は自分とは違うと内心主人公は思うだけだった。

そんな日々を重ね、主人公は段々おじさんに心を開いていく。
もう金を奪って家を出ようなどとは思わなくなっていた。
でも笑顔は見せない。笑った瞬間におじさんと離れなくてはいけないから。
ある日、おじさんが突然の発作で倒れた。弟子が医者を呼びに行く間、主人公はおじさんに付き添う。
主人公は周りにいつも冷たい態度を取りながらどこかいつも悲しそうだとおじさんは言う。

「私はかつて君の笑顔に救われた 最期に笑ってほしい」
以前から死を予感していたらしいおじさんは主人公に過去を語る。
かつて借金を負ったおじさんは友人の家に泊まりこんだ。
目的は友人たちが寝静まった頃に、友人を殺して金を奪う事だった。
真夜中にナイフを取り出して震えるおじさんに、起きてきた友人の子供が語りかけた。

「おじさんどうして泣いてるの」笑顔でそう言ってくる子供。
その言葉にはじめておじさんは自分が泣いている事に気づき、
そして荒んだ心を笑顔によって癒された。その子供が君だとおじさんは言う。
それから借金を返して真っ当に生き、こうして真っ当に死のうとしている。
なんの悔いもなく死んでいけるのは君のおかげだ、君は私の良心の恩人だと
おじさんは泣き、覚えていないかもしれないがあの時の笑顔を見せてくれと主人公に再度頼む。

あなたを助けたのは私じゃないのに、と主人公は思う。
そして、このままおじさんが死ねば自分は財産を受け継げるのだと。
ここで笑って元の顔に戻っても警察の手にかかるだけ…逡巡する主人公

やがて弟子が部屋に戻ってくると、そこには事切れたおじさんと、
泣きながら微笑む元の顔に戻った主人公がいた。

432:本当にあった怖い名無し:2007/03/08(木) 16:18:21 ID:3aLnB6lB0
>>430
え…めっちゃ良い話ですやん

転載元:http://hobby9.2ch.net/test/read.cgi/occult/1172561642/

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