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127: 本当にあった怖い名無し:2010/11/15(月) 01:31:10 ID:pAvtZL3T0
昔読んだ短編漫画。うろ覚え。読んだの凄い前だから台詞もほぼ覚えてない
ちょっとファンタジーっぽい世界が舞台。ある「女王」に支配された大きな都市があった
女王は天から凄まじい威力の炎(波動砲みたいな)を落とす能力があり、
都市に住む人々は常に女王に焼かれる恐怖に怯えながら暮らしていた
女王を倒そうとした者達はことごとく焼かれ、やがて女王に逆らおうとする者はいなくなった
都市に住む一人の少女は「頭が悪い」という理由で、街外れの丘に暮らす男の所に使いに出された
男は顔の半分が複数の目で覆われ、片腕と片足は奇妙な義手だった。
風貌や性格から人々から忌み嫌われて虐げられていた
少女は男に対して偏見を持たずに純粋に接し、
男も少女を馬鹿扱いせず対等に接することでお互いに打ち解けた
少女はその後も頻繁に男の暮らす丘を訪れ、二人で話をした。男はいつも機械いじりをしていた
ある日、都市に勇者の様な格好をした複数の男女が訪れる
女王に支配された都市を見たその一行は、人々を集めると「我々が女王を倒す」と宣言した
一行は剣や魔術の高い技術を持っており、それを目の当たりにした人々は
「彼等なら女王を倒せる」と歓喜した
しかし、そこへ男が現れ「たとえ剣で女王を殺したとしても、天の炎は確実に街に落ちる」と言った
少女が止めるのも聞かず男は一行に食って掛かり続け、やがて怒った人々から袋叩きにされてしまう
男の制止も空しく、勇者一行は女王の城へ乗り込んで行ってしまう
少女が男を丘へと連れて帰ると、男はまた機械いじりを始めた
少女が男に何故一行にあんなことを言ったのかと問うと、男はある昔話を始めた
つづく
128: 本当にあった怖い名無し:2010/11/15(月) 01:32:26 ID:pAvtZL3T0
つづき
昔、ある若者が女王に抗おうとしていた。
若者は「女王の炎は空にある何かから撃ち出されている」と主張していた
しかし、仲間達は「空に何があるのだ」と若者の主張を取り合わず、
やがて孤立した若者は女王の部下に暗殺されかけて重症を負う
若者はなんとか一命をとりとめ、名を捨てて世捨て人のように暮らすようになった
男はずっとある装置を造っていた。
それは、天から落ちてくる炎を防ぎ、空に浮かぶ兵器を破壊するための装置だった
女王の城では、勇者一行が女王に剣を突き立てていた
女王は既に何度も天から炎を落としていたが、都市を破壊することが出来なかった
女王は誰かが炎を防いでいるのだと悟り、死に際に最後の報復として空の兵器を落下させた
男は既に何度も天の炎が都市に落ちるのを防いでいたが、反動で男と装置はボロボロになっていた
やがて、空から巨大な兵器が落ちてくるのが見えた
少女は「街の人達は皆あなたに酷いことをした。あなたが犠牲になる必要はない。一緒に逃げよう」と泣きながら言った
男は「誰かから誉められたいわけじゃない。
僕はただ、やり遂げたことを自分に誇りたいだけだ」と言い、装置の引き金を握った
少女も何かを決意したような顔になり、ボロボロになった男の義手に手を重ね、共に引き金を引いた
その後、都市の広場では勇者一行が街を救った英雄として人々から称えられていた
だが、一行のリーダー格の男は、人々の中に一人だけ浮かない顔をした少女がいるのを目にした
少女は傷だらけでボロボロの格好で、両腕には千切れた奇妙な義手が抱きかかえられていた
一行の内の一人がリーダーに「我々は英雄ですね」と嬉しそうに耳打ちすると、
リーダーは「いや、意外と違うのかもしれんな」と呟いた
しかしリーダーの呟きは誰にも聞こえなかった
おわり
147: 本当にあった怖い名無し:2010/11/15(月) 17:28:15 ID:a+qKr8g00
>>128
そこで終わりだと本当に救いない。
それ、うしおととらとかの藤田和日郎の短編集の1つだな。
義手・義足の男は「蟲目」、目の片方を蟲の目みたいな
義眼にしてるからそう言われてる、で、
女の方はからくりサーカスのヒロインと同じ名前だったと思う。
話自体は>>128の通りだが、途中の会話で
装置を作っている丘を花一杯にしたいと語っており、
ラスト何十年か後にその丘は「花の丘」と呼ばれた、
とあるので、蟲目と少女がその後丘一面
を花で一杯にした事で夢を叶えているという示唆がちゃんとあるよ。