15: ◆ZKpyatydtM 2015/10/19(月)18:05:13 ID:NDI
アメリカ南部の町で、一人の警官が辺りを巡回していた。
一通り見回ってそろそろ帰ろうとしたとき、前を歩いてくる男に気がついた。
ひっきりなしに首を動かし、くぐもった声でブツブツ何か呟いている。
あきらかに挙動不審である。
ヤク中でなきゃいいが…そう思いながら警官は、職務質問をしようと男に声をかける。
男が立ち止まったのを確認し、近寄ろうとしたそのときだ。
男はニヤニヤした笑いを浮かべ、上着の内ポケットに手を突っ込んだではないか。
「殺られる!」
警官は咄嗟に拳銃を抜くと、ためらいなく男に向けて発砲した。
銃弾を胸に受けた男は、ドサッとその場に倒れ、やがて動かなくなった。
「危ないところだった…やっぱり危険人物だったか」
警官は胸を撫で下ろし、死体のポケットの中の改めることにした。
しかし、予想に反し、ポケットから出てきたのは
ピストルや凶器ではなく、ボロボロになった一冊の古いメモ帳だった。
警官はいぶかしげにそれを手にとり、最初のページをめくった。
「この子は生まれつき重い病気で、口がきけないのです。
もしも困っていたら助けてあげてください。
そして、この子が指差すページのメッセージを読んであげてください。
『こんにちは』『僕の代わりに電話をかけてください』『どうもありがとう』 ……」