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354: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/23(火) 18:21:33.09 ID:foGqVzt50.net
田中啓文『怨臭の彼方に』
「世界一美しい」と呼ばれる大スターの薫は、密かに「永遠の美貌」を願っており、ついに「食べれば不老不死になれる果実」を手に入れる
ただし、その果実を食べれば代償として「死と同義の苦しみ」が訪れるらしい
薫が果実に齧り付いてみると、口の中に恐ろしい悪臭が広がった
それでも薫は「自分はスター!」と意を決し、一気に果実を完食した
薫に果実を渡したのは悪魔で、果実は聖書にも記されている「生命の木の実」だった
果実によって薫は不老不死には成れたが、副作用により身体から凄まじい悪臭を放つようになってしまう
それだけではなく、これから臭いはどんどん増していき、やがて他者の命を奪い、空気を汚染しするほどになるらしい
初めは楽観的に考えていた薫だったが、他人からから「臭い」と言われて避けられるようになり、地位も名誉も失う
やがて薫の自宅周囲でデモが発生し、参加者の中から死者まで出た
とうとう政府も事態を重く見て、避難勧告を出す
薫は自宅に引きこもってテレビばかり観て過ごした。不老不死なので空腹で死ぬことは無かった
テレビによると、薫の悪臭は隣の県まで届くようになったそうだ
政府はついに薫の自宅に大量の爆弾を投下し、徹底的に辺り一面を焼野原にした
それでも薫は死ななかった
今や薫の悪臭は地球規模の災害になると予測され、国際問題になっていた
そして世界は「悪臭の根源を宇宙に放棄する」という決断を下した
薫は捕えられ、ロケットに乗せられて宇宙へと捨てられた。ロケットが爆発し、薫は宇宙に放り出された
それでも薫は死ねなかった
それから長い長い年月が流れた。あれから何年、何百年、何万年たったのかわからない
薫の身体は今だに悪臭を放っていたが、この状態では、いくら臭くても意味がない
臭がってくれる相手がいてこその悪臭だ
それは美貌も同じだ。誰も見てくれないなら意味がない。薫はやっとそのことに気が付いた
いつしか、薫の身体の周りに星間物質が集まってきた。核融合反応が起こり、薫は星に、正確には星の卵になった
「本物のスターになるのもいいかな。これがほんとの、“臭いものにはスター”」
薫は一人で言って、一人で笑った。そして安らかな眠りについた
356: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/06/23(火) 18:38:25.36 ID:S6uiAmFP0.net
>>354
薫の本名が正造、グレイ似の宇宙人にもらって食った果実がドリアンで、「ドリアン・グレイの正造」って落ちだったよね うろ覚えだけど