ホラー

【洒落怖】ラフティングスポット

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69:本当にあった怖い名無し:2006/12/16(土) 23:52:25 ID:MS04YmUC0

忘れたくても忘れられない、私にとっては強烈な実体験です。

あの頃 私は疲れていた。肺に持病をもつ義父が亡くなって喪があけた直後
母が難病で入院し 徹夜の看病が数ヶ月続いていた。半年前から予約していた
旅行も諦めていたが、妹達は看病疲れの私に気分転換するようにと送り出してくれた。

四国の吉野川は 全国でも有数のラフティングスポット。初心者の私には決して
優しい場所ではないことは予想できたが、そこで起こったことは想像を絶する出来事だった。

8人乗りのボートは6艘。私は先頭のボートだった。激しい川の流れに翻弄されながらも
私達は大騒ぎしながら楽しんでいた。出発して2時間ほど過ぎた頃だったか、ガイドが

「あれ、何だろ?」

と つぶいた。ふと見ると黒くて丸いボールが浮き沈みしていた。
?? 私は何気なく身を乗り出してそれを確認すると・・・

うつ伏せの男性が流されてる!!!! 

一瞬で全員凍りついた。言葉も出ない。「彼」は白いポロシャツにベスト
チノパンに白いスニーカーの中年男性だった。ガイドは他のボートを停止させ
私達だけが「彼」を追いかけることになった。しかし 川の流れは激しく、
初心者ばかりの私達はなかなか「彼」に追いつけない。中には震えて泣き出す子
もいた。私は思わず叫んだ。

「しっかり漕いで!みんなで漕がなきゃ追いつけないよ。
今 救助すればまだ間に合うかもしれないじゃない!!」

77:ラフティング続き:2006/12/17(日) 00:58:55 ID:MgKtFa0v0
その瞬間、低い声が聞こえてきた。

「いやだ いやだ このまま流されるのは いやだ
 このまま海の藻屑になるのは いやだ
 帰りたい 家に帰りたい
 ここはいやだ 寒い 冷たい・・・」

水の中から「彼」を追いかける私達の映像が 頭の中にあざやかに見えた。
まるで自分自身が流されているかのように。不思議な感覚だった。
その時 あんなに追いつけなかった「彼」がす~と私のもとに流れてきた。
「つかまえた~!!」
私は彼のベストにオールを引っ掛けてガイドを呼んだ。そしてガイドと一緒に
「彼」を思いっきり引き上げた。が、
その時 彼のシャツがめくりあがってお腹が見えた!!
赤 青 紫の死斑がブワァ~とうきあがっていた。
手はグローブのようにふやけてろうそくのように真っ白で
腕から皮がベローンとたれさがっていた。
間に合うどころではない。警察に通報し ボートをつけやすい砂地をさがした。
「何か臭わないか?」誰かが言った。次の瞬間 猛烈な腐敗臭が襲ってきた!
おもわず顔を伏せると 足元が赤い??
えぇ!!!!!!後ろに乗せた「彼」を見ると 目 鼻 口 耳から
血が流れ出している~~~~~~!!!
このままじゃ血の海になる!!!みんな 死に物狂いでオールをかきまわして
必死で漕いだ。砂地にボートをつけるとみんな蜘蛛の子を散らすように逃げた。
後からきたボートのガイドと一緒に ガイド達は「彼」を砂地へおろした。
私は横たわった彼の元で どうか成仏できますようにと手をあわせた。

「やっと帰れる」

その時私の口から出た声は 男の低い声だった。

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