スポンサーリンク
913:本当にあった怖い名無し2021/11/26(金) 06:58:00.56ID:ekJhKu7S0
ゴトウユキコ 原克玄『フォビア』の笑顔恐怖症の話。
A子は笑顔恐怖症だった
切っ掛けは、五歳の誕生日。笑顔の両親と一緒にとても楽しい一日を過ごした。
その夜、興奮で寝付けなかったA子は、両親が仮面夫婦であるという事実を知ってしまう。
両親がA子の前で浮かべていた笑顔は偽りの笑顔だったのだ。
それ以来、A子は笑顔恐怖症となってしまったのである。
A子自身も上手く笑う事が出来ず、成人して就職しても仕事でミスをしてしまう。
ある日、A子の目には「他人の笑顔の裏側」が見えるようになった。
他人が笑顔を浮かべると、その顔の皮がベリベリと剥がれて捲れ、下から本当の感情を浮かべた素顔が現れるのだ。
両親の笑顔の裏側は、般若のような恐ろしい形相だった。
笑顔で褒めながら、内心では吐き気を催すような表情を浮かべている者。
笑顔でレジャーに誘いながら、本当は欲情していて下心の有る者。
そして何時も笑顔で成績も良く人気者のハンサムは、能面のように冷たく無表情な本心を隠していた。
A子は他人が怖くなり、メイプル超合金の安藤なつ似なデブでブスだが明るくて気さくに話せる同僚のB子に相談する。
B子は「エスパー能力じゃん」と驚きながらも、「きっと両親との関係に疲れているのだ」「一人暮らしを始めたらどうか」「A子の人生はA子の人生だ」とアドバイスして励ましてくれる。
A子は両親との決別を決意し、一人暮らしをしたいと母に告げた。
母は笑顔で承諾してくれたが、やがて笑顔のままブルブルと震え始め、25年間も隠してきた本心を吐露し始める。
母「お父さんはね、結婚する前から他に女がいるのよ。だけど、私は娘であるあなたのために耐え続け、仲の良い両親を演じ続けてきたのよ」
母「それなのに、あなたは私を捨てて独りにするの?返してよ・・・」
914:本当にあった怖い名無し2021/11/26(金) 07:01:00.63ID:ekJhKu7S0
ベリベリと剥がれていく母の笑顔。
母「 私 が 殺 し 続 け て き た 、 感 情 を ・ ・ ・ 」
母の素顔は、幾つもの小さな女体で構成されたグロテスクな般若面だった。
そのまま母は両手で顔を覆って泣き崩れた。
翌朝、A子が目覚めると、母はいつも通り普通に家事をしていた。いや、むしろ清々しそうで、裏表を感じさせない気持ちの良い笑顔を浮かべている。
そんな母の様子を見てA子は「母は色々と吹っ切れたのかもしれない」と安堵した。
しかし、リビングの床に、包丁で刺し殺された父の死体が転がっていた。
母「ああ、それ?なんか急に離婚してくれって言われたから、もういいかなーと思って、アハハ」
母「ほら、もういいから朝ゴハン食べなさい(^∇^)」
“その時の母の笑顔は捲れなかった。私は、それが一番悲しくて恐ろしかった”
父は死に、母は逮捕され、A子は神経衰弱で入院した。
B子が高級な御菓子を持って御見舞いに来て、自分でその御菓子を食べ始める。
A子は今の心境を語り、「これからどうやって生きていけばいいのかわからない」と行って泣いてしまう。
するとB子がA子の肩にポンと手を乗せ、「大丈夫、私が付いてるよ」と笑顔で励ましてくれる。
そんなB子の笑顔も、ペリペリと捲れ始める。なんとB子も偽りの笑顔を浮かべ、本心を隠していたのだ。
露になっていく親友の本性に、A子は涙目で「ぃゃ・・・やめて・・・」と青ざめて怯える。
現れたB子の素顔は、なんかこう、「心ここに有らず」と言うか、斜め上を見ていて「🤔」←こんな感じだった。
暫しポカーンとするA子。
A子「・・・・・・いや、それどんな感情?」
B子「ん?・・・あっ、お昼ゴハンなに食べようかなーと」
A子「この状況で思うかフツー!?」
おわり
915:本当にあった怖い名無し2021/11/26(金) 10:09:06.36ID:JkKPsbjo0
後味ええやん