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643: 本当にあった怖い名無し:2007/09/05(水) 14:52:47 ID:Kw+JHg6N0
かなり前に読んだのでうろ覚えですが・・・
レイ・ブラッドベリ「昼さがりの死」
主人公は「君」。
君は血友病。
ほんの少しのケガが命取りになるため、常に血液凝固薬の錠剤を持ち歩いている。
君は最近、命を狙われている。
麻薬を常用する恋人を救うため、密売組織を告発したからだ。
郵便に仕込まれたカミソリ。
ヤスリで鋭く尖らせた車の取っ手。
レストランのフォーク。
それらが次々と君に血を流させる。
でも君は「薬さえあれば自分は不死身」と己に言い聞かせている。
ある日、君は恋人に海に誘われる。
車で人気のない道をかなり走った穴場の浜辺で2人きり。
恋人が君の背中にサンオイルを塗ってくれる。
しばらくして恋人が言う「背中の感覚ってかなり鈍いの、知ってる?」
「そんなことない」と否定する君の背中を、恋人はくすぐる。
縦に3本、長いライン。君はそれを正確に当て、恋人は笑いながら降参する。
太陽に暖められていつの間にかまどろむ君。
(続きます)
644: 本当にあった怖い名無し:2007/09/05(水) 14:54:56 ID:Kw+JHg6N0
(続き)
君は目を覚ます。恋人の姿はない。
背中や首筋や、周りの砂がぐっしょりと汗で濡れている。
汗?
君は自分の背中を見、手で触る。
掌には真っ赤な血が、べっとりと。
背中には深い傷跡がざっくりと走っている。3本。
車のエンジンの音。
恋人が、君の車に乗って走り去ってゆく。
君は全てを悟る。
あのサンオイルには麻薬が。背中の感覚を麻痺させて、そして・・・
彼女は君の背中をくすぐった。素敵な鋭いフジツボの貝殻で。
薬。
君は傍らのカバンに飛びつく。その中に薬はない。抜け目ない彼女が持ち去った。
君は、砂浜からあがる長い階段を見つめる。
炎天下。助けを求める人もいない。何マイルも行かないと街には帰れない。
眼前に果てしなく長く聳え立つ階段。
背中の傷からだらだらと流れ出し、失われてゆく君の命。
君は呟く。「絶好のお散歩日和じゃないか」・・・
645: 本当にあった怖い名無し:2007/09/05(水) 14:57:33 ID:Nfclyh3e0
内容も良かったが文章のまとめ方に感心した。
原文もこんな感じなのかな?