後味の悪い話

【後味の悪い話】アンデルセン童話集「あの女はろくでなし」

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933: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/09/10(水) 17:30:10.73 ID:6lMl6EKG0.net
アンデルセン童話集より「あの女はろくでなし」

(1/2)
「ろくでなし」と言われた女性の生涯
彼女は若い頃、町長の弟と真剣な仲となり、彼と結婚の約束をした
すると先代町長夫人が彼女を呼び、それはそれは優しく話した
「あの子は、お前の見た目に夢中になっているだけなのです
 わたくしは貧しい人を尊敬していますのよ
 けれども教養が違います、その違いがお前達2人を不幸にするでしょう
 ところで、お前に心を寄せる、お前にぴったりな職人がいるのだけど…」
彼も彼女も、夫人には逆らえなかった
彼女は悩み苦しんだ末に身を引いて、職人との結婚を選んだ
町長の弟は外国へと去った

職人の夫は誠実で裕福だったが、思わぬ事故から財産を失った
貧しい中で赤ん坊を授かったが、優しい夫は重い病に倒れてしまった
彼女の懸命な看病もむなしく、夫は亡くなり、つかの間の幸せは消えた
未亡人となった彼女は、息子を育てるため、身を粉にして様々な仕事で働いた
着るものもろくになかったが、せめて息子の服は清潔にし、丁寧に繕った
息子は、身なりは貧しくとも、礼儀正しく素直な子に育った

彼女は洗濯女となり、寒い季節にも冷たい川の水に浸かって働いていた
まだ小さい息子が届けてくれる、小瓶に半分ほどの酒で、ようよう体を温めた
それを世間は「あの女は酒飲みのろくでなしだ」と陰口を叩く
町長は彼女の息子を哀れみ、声をかけた
「坊やはいい子だが、いずれ母親のように、大酒飲みのろくでなしになるだろう
 お前はかわいそうなやつだ…下々の連中ときたら、なんと嘆かわしいことか」
町長の言葉を知って、彼女は震えを抑えられなかった
「私のことはいいけれど、子供に向かって、ろくでなしになると言うなんて…」

934: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/09/10(水) 17:31:53.99 ID:6lMl6EKG0.net
(2/2)
町長の弟が亡くなった
彼は亡くなるまで、独身を貫いていた
働き詰めで体を悪くしていた彼女は、訃報にショックを受け、川の中に倒れてしまう
近所の親切なおばさんが肩を貸し、自宅に連れて行く途中、町長の屋敷に助けを求めた
町長は窓から見下ろし「ろくでなしが飲み過ぎたんだ」と言うだけだった
弟が亡くなったというのに、町長は屋敷で豪華なパーティを続けていた
おばさんが彼女を看病し、食べ物を持って来たが、もう食べる力もなかった
それでも彼女は少しよくなった気がして、生活のため洗濯の仕事をしに出かけた
そして再び倒れ、帰らぬ人となった
町長はこう言った
「とうとう酒で死んだな!だがろくでなしが死んで、かえって良かった
 坊やはいい子だから、これからは私が面倒見て立派に育ててやろう」

息子は母の墓前で泣いた
「優しかったお母さん…僕のお母さんは本当にろくでなしだったの!?」
おばさんが慰めた
「神様はそうおっしゃらないよ、世間には勝手に言わしておきな!」

936: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/09/10(水) 18:21:29.72 ID:vp7dRJ/e0.net
ちなみに更に胸糞な要素としてその話、実際のアンデルセン自身と母親がモデルらしい

僅かな食べ物はほとんどアンデルセンに与えて、自分は酒で寒さを誤魔化して体調を崩しながら働き
アンデルセンが都会に出て成功しはじめた頃、酒毒が祟って亡くなったそうな

942: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/09/10(水) 19:22:05.68 ID:6lMl6EKG0.net
>>936
本人の実話ベースだったのか…
作中にも「暖かい食事よりもお金がかからない」という描写ががあったな
おばさんが温めたビールにバターと砂糖を溶かして持って行くと、それは飲むんだけど、
焼きじゃがとハムをもらって来ると、匂い嗅いだだけで、息子とおばさんにあげちゃうんだよね
食べる力もなかったんだろうけど、どんなに弱ってても息子に食べさせたかったんだな…

アンデルセンも苦労人だからか、救いのないような話は割とあるよね
童話集として刊行されてるが、子供向けだけでなく、大人向けのメルヘンも多い

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