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905:1:2006/03/19(日) 05:20:58 ID:VXUQFYvo0
こないだ友達に借りて読んだ、ホラーアンソロの中の一話。
確か天使のレシートとかいう話。
主人公は科学者になって宇宙の謎を解きたいという夢を持つ中学生。でも数学が苦手なのが悩み。
ある日の帰り道川原に行くと、偶然よく行くコンビニの店員、天使という苗字の女性と出会う。
天使(そのまま「てんし」と読むらしい)は美人で接客態度も良く、主人公は密かに彼女に憧れていた。
彼女も店によく来る彼の事を覚えており、川原に座り込んで二人で会話。
近寄りがたそうだと思っていた天使の趣味が、コンビニで売っているから揚げを放り投げて
カラスを餌付けする事だとか、そんな下らない話をして二人の仲は急接近。
「なんか悩みとかありそうな顔だね」と言われ、科学者を目指したい、でも数学が嫌いですと話始める主人公。
話すうちにだんだん熱くなってきて、自分の理想の宇宙の様子を語りだす。
しかし、天使が突然激怒。
物凄い剣幕で、宇宙はそんなものじゃない。ふざけるなとわめきたてる。
あまりのギャップに驚く主人公。しかし天使の怒りは収まらない。
「この世界は神によって作られている。神はゲームのプログラマーのような存在。人間は所詮雑魚キャラ。
この際だから言うけど、実は私は本当に天使。神にある使命を下されてここにいるの」
そうまくし立てる天使を、この人は頭がおかしいんじゃないかと感じる主人公。
しかし、一通り話し終えて落ち着いた天使はやっぱり自分の理想の女性。
最後に名前を教えてと言われ、自分の名前を告げる。
しかしその名前を聞いて青ざめる天使。
「あなた、妹いる?」と聞かれ、はいと答える主人公。
天使はなぜか主人公の妹の名前を知っていた。
焦った表情で走り去る天使。
906:2:2006/03/19(日) 05:21:36 ID:VXUQFYvo0
ここからは天使視点の話。
家に帰り、頭を抱える天使。
さっき主人公に言った事は全て本当で、彼女の使命とは主人公の妹を植物状態にする事だった。
その理由は、主人公が科学者になる事を防ぐため。
このまま成長すると、主人公は地球環境を守るある物質を開発する。
しかしその物質は宇宙全体からすると有害、つまり神にとって邪魔でしかない存在。
だからそうならないよう、妹を植物状態に落としいれ、主人公の夢を医者へと変える。
そのために地上に派遣されたのが彼女だったのだ。
彼女は妹の事しか頭になかったため、主人公自体はノーマーク。
たまたまバイト先で出会い、密かに弟のように思える存在となっていた。
私はあの子の人生を狂わすのか。あの子の妹を酷い目に遭わせるのか。
そう考え、急に自分の使命が恐ろしくなる天使。
「私にはそんな事できない。そうなれば用無しだ。消せばいい!」と神に向かって叫ぶが、反応は何もない。
自暴自棄になる天使。
907:3:2006/03/19(日) 05:22:09 ID:VXUQFYvo0
再び主人公視点。
天使のいるコンビニに行く主人公。しかし彼女の姿はない。
店長らしき人に尋ねると、彼女は自殺したという。
何だかんだいって彼女を好きだった主人公は落ち込むが、更に彼女には虚言癖や妄想癖があったらしい
などと聞かされる。
ショックを受けつつ、以前彼女と食べたからあげを買って川原へ向かう主人公。
やっぱり彼女は本物の天使なんかじゃなかった。ちっぽけな人間だから自殺したんだ。
それでも、心のどこかで彼女は本当に天使だったんじゃないかと信じたい。
そんな事を考えつつ、からあげを頬張る主人公。
ふと思いつき、からあげを天高く投げてみた。
すると、天使が餌付けしていたカラスが見事にそれをキャッチした。
嬉しくなりもう一度投げようとしたところ、自宅の窓から妹が顔を出しているのが見えた。
「今から面白い事するから見てろよ!」と、再びからあげを投げる。カラスはまた見事にキャッチ。
自慢げな主人公と、窓から乗り出して拍手する妹。
すると、カラスは家の方へ一直線に飛んでいった。
妹とカラスが重なり悲鳴が聞こえる。
次に見えたものは、飛び去るカラスと窓から逆さまに落ちる妹の姿だった。
途中まで読んで、ちょっとおかしいお姉さんの話かと思ってたら…
彼女が本当に天使だったのか、それとも偶然だったのかって考えても後味悪いけど、
自殺まで想定した上で神は彼女に使命を下してたのかと思うと更に嫌な感じだ