後味の悪い話

【後味の悪い話】手塚治虫「鳥人大系」

428:本当にあった怖い名無し:2006/08/13(日) 18:04:12 ID:m1PZkE+30
手塚治虫の短編連作集「鳥人大系」
このマンガそのものはおもしろくて大好きだけど、個々のエピソードに後味悪いのが多い。
全体的に諷刺とかブラックジョークを利かせているから当然だけど。
おおまかな内容は、鳥類の知能が進化して地球の支配者になっていき、
人類は退化して彼らの奴隷になりやがて滅びてしまう世界でのいろいろな出来事。

個人的には↓のエピソードが忘れられない。

・まだ鳥がすっかり支配者になる前。
目の見えない老人が1羽のリズという名の鳥をかわいがっていた。
リズも老人が好きで、その美しいさえずりで彼の心を慰めていた。
ところが現実は、あたり一帯の人間はすでに鳥たちによって殲滅されていて、リズも仲間に、なぜ人間をかくまうのか、さっさと始末しろと責められる。
やむなく鳴き声で老人を誘導し、崖から転落させるリズ。
そしてリズの頼みで仲間たちが一斉にさえずる。
その声を聞きながら、自分は幸せ者だと死んでいく老人。

・鳥類が外見もかなり進化して、人間のように文明生活を送っている時代。
モッズ警部はある日妻が秘密クラブに所属していることを知る。
いまでは食肉部族の鳥もそうではない鳥も共存しているが、このクラブは食肉の本能を忘れられない者たちが、
非合法で入手した卵を孵して雛を殺して食べたり、雛鳥のキャンプを襲って子供たちを捕食するのが目的のもの。
妻のことで脅され、警部も雛鳥を口にすることを強要されるが、しだいに本能に負けていき、キャンプ襲撃に加わったりする。
結局最後には妻の裏切りにあって殺され、その肉はなんと総理大臣が食べている。

・唐突にいろいろな種族の宇宙人たちの会議の場面。
かつて、あまりにも愚かな地球の支配種族にあきれた宇宙人たちが、鳥の知能を進化させる物質を含んだ餌を投下した。
それによって今や鳥類が地球の支配種族にとってかわったが、その行為の愚かしさは前の人類と何ら変わることがない。
よって、こんどはゴキブリを進化させ、次の支配種とすべきである、とゴキブリにそっくりな宇宙人が主張するところでEND

このマンガが最初から「ゴキブリ大系」じゃなくてよかったけど。

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