後味の悪い話

【後味の悪い話】PCゲーム蝶の毒

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626: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/28(火) 13:42:35.94 ID:+JxYeUye0
PCゲーム蝶の毒 華の鎖「後悔」その1

大正時代、百合子という華族の娘がいた。
貧乏家族で破産寸前の百合子家。そんな百合子の前に突然、成り上がりで巨万の富を得た
貿易商の斯波という男が現れる。
斯波はすべての借財を片付ける代わりに百合子に嫁になれと強引に迫る。
お金と引き換えに買われるようだし、華族を軽蔑するような発言をする斯波に反発を覚え
拒絶する百合子。

しかし何度すげなくされても斯波は百合子に告白する。
「ずっとあなたを探していたんだ」
「ようやくここまでのぼりつめた」
意味深な発言をする斯波だが、百合子は成金が華族という名誉欲しさに求婚したのだろうと
信じられないでいた。

627: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/28(火) 13:47:18.50 ID:+JxYeUye0
「後悔」その2

斯波の強引な球根が続き迷う百合子の下に、叔母から飯田という男との見合い話がもちあげられる。
迷いながらもお見合いをし、斯波に妨害されかけて恐怖する百合子。
斯波は強引過ぎる、あの劇場が怖いしなぜそこまで自分を愛するのかわからないと思い
穏やかで平和な家庭が築けそうな飯田との結婚を決意する。

結婚が決まると百合子家に怒鳴り込んできた斯波。
しかし百合子の兄は「一時の運や幸福で将棋の金になりあがっても所詮歩は歩」
と見下したように言う。
斯波は「ならば金が金であるうちにその力見せてやらなきゃな・・・」
と言い残し去ってゆく。

百合子の嫌な予感は的中した。
まず飯田が敬遠破綻し、百合子の家よりも経済危機に陥った。百合子家の借用書も悪徳業者に渡り
さらに生活は苦しくなり結婚どころではなくなる。
とうとう兄は身投げ自殺をしてしまう。

628: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/28(火) 13:51:06.40 ID:+JxYeUye0
「後悔」その3

すべて斯波のしわざだと思った百合子は許さない、と復習を決意して
自分の前に再び現れた斯波との結婚を決意する。
人が変わったように喜び優しくなる斯波。意外なことに結婚後も優しく百合子を愛する。
百合子も表面上は優しく接するが、自分の庭師から手に入れた毒薬を毎晩酒に混入して
斯波に飲ませていた。

三ヶ月たつと斯波の体は明らかに変調をきたすが斯波は医師の診察を拒む。
仕事も今までどおり続け、百合子を抱き続けながら日に日に弱っていく斯波。
半年後、ついに末期になった斯波。
彼は百合子の名をうわごとのように呼び「しあわせだった、ありがとう、ありがとう」
と言い残し息絶える。

629: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/28(火) 13:56:36.20 ID:+JxYeUye0
「後悔」その4

復習を終えたがむなしい気持ちで百合子は斯波の部屋にいると、一冊の日記を見つける。
それを見てみると

「やっと彼女に再会できた。あの頃のまま変わらずまっすぐで嬉しくなった」
「何も昔のことはいわずに、彼女を救う。それが俺の使命なんだ」
「すぐにでも思いをつげたい。しかしあのときのハンカチをまだ持っていたなんて女々しい男と思われてしまう。
もどかしいが、伝えられない」
「悪夢だ。彼女は飯田と結婚しようとしている。所詮卑しい生まれの自分は彼女と結婚するなどかなわないのか」
「おかしい。飯田を商売で打ち負かしてやろうとはおもっていたが、
飯田が破産してしまった。彼女の家の状況もどんどん悪くなる」
「信じられない。とうとう彼女が俺と結婚してくれた。
彼女の中に黒い怨念が渦巻いているのは知っている。何かを混入しているのも知っている。」」
「しかし、それがどうした。俺はどうなろうと構わない。
彼女が俺の妻となった。夜毎、俺の腕の中で微笑んでいる。幸せだ、幸せだ」
「短くともいい。
一瞬一瞬のこの天国を味わえれば、それだけで俺は幸福の絶頂に飛べる。
愛している、愛している。幸せだ、俺は幸せ者だ」
とつづられていた。

最後のページには薄汚れたハンカチがはさまっていた

「」

630: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2011/06/28(火) 14:00:07.07 ID:+JxYeUye0
「後悔」その5

百合子はそのハンカチをみて思い出した。
幼い日、避暑地で出会った汚らしい痣だらけの少年をレストランの給仕からかくまってやった。
仕事を失敗すると親分に殴られるし着物以外は何ももらえないといっていた。

そんな少年の境遇をかわいそうに思い、百合子は気まぐれに自分のハンカチを少年に渡したのだ。
あの少年は斯波で、自分と再会し、また対等になれるように
盗み集団から足をあらいここまでのし上がってきたのだ。

「いやあああああ!」
百合子は泣きながら叫んだが、斯波はどこにもいなかった。

※飯田や百合子家を陥れた黒幕は毒薬を渡した庭師。
百合子家に深い恨みを持っていた。

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