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32: 夢喰見聞1:2007/03/19(月) 21:12:36 ID:3bamXLvr0
夢喰見聞ってタイトルで結構マイナーだが悪夢をベースにした
大体の話が後味悪い漫画。その中から二話。
既出だったらスマソ。
人間の姿をし、悪夢を食べて生きている「漠」が主役。
彼は女主人が経営する喫茶店に住み着き、
毎夜悪夢の解決を彼に求める人が訪れる。
漠は人の悪夢の中に夢主と共に入ることができる。
そうして夢主の悪夢をとりあえず解決し、お礼にその悪夢を食べさせて貰う、という話し。
その晩も漠を求めて人が来た。その人は爵位を持つ華族のご令嬢らしい。
だが彼女の家は現在財政難であり、父が満州で行っている鉱山探索も成果が挙がらないという。
そこで、彼女の家の物は彼女を金持ちの息子と策略結婚をさせようとしている。
しかし、彼女には愛し合っている恋人がいた。
その恋人は、身分が低いため、彼女の家は彼等を引き離そうとする。
そうされてはたまらない、と彼等は駆け落ちを決行するのだが、
途中で彼女の家の者に捕まってしまう。
そして彼女は屋敷に連れもどされ、彼とは引き離されてしまった。
33: 夢喰見聞2:2007/03/19(月) 21:13:33 ID:3bamXLvr0
そんな彼女が見る悪夢とは、その駆け落ちの日に彼が来ない、という夢。
まあそのあと主役が色々とし、彼とは夢の中で会うことができた。
彼女が彼を抱き締め、今まで有り難う。と彼女がお礼を言うと彼は消えて行く。
現実世界の彼が、死んだからだ。
彼は駆け落ちに失敗したあと彼女の家の者に暴行され、結果死んだ。
夢から覚めた彼女は、
「彼と最後のお別れができてよかった。私はもう平気。
私は家を救うために私は策略結婚に応じる」と、喫茶店の女主人に告げる。
女主人は心の中で、
―――彼女のお父様が鉱山探索に失敗しなければ二人は幸せに――……
と思い、いたたまれなくなる。彼女も顔を伏せる。
バンッという音とともに、喫茶店に彼女の家の者が入ってきた。
「お嬢様吉報です!
満州での鉱山探索が成功し「金」が出ました!!」
終
34:夢喰見聞3:2007/03/19(月) 21:15:45 ID:3bamXLvr0
また違う晩の話し。
喫茶店に訪れた10歳程の男の子は、影が小声で話しをする悪夢を見る、と言った
。
主役はそれを聞き、夢の中で縄と包丁を使い、影を切っていく。
「そうなのかい」「仕方ないねえ」「でもそれがあの一家のためなら……」
そう言う影たちの会話を、男の子は聞いたことがある気がした。
ひとつづつ影を切っていくと、ひとつ変わった影を見つける。
子供が数人の子供に追われ、いじめられているような影だ。
それを見、過去の自分の体験から追われている男の子は自分だと気付く。
男の子は主役に語り出す。
「ある時から僕の周りの人が僕を見る目が変わった。
そしてしきりにヒソヒソと夢の中と同じ会話をしはじめた。
そのある時というのは、両親によその家にもらってもらう、と言われた時からだ。
両親は、大きな屋敷でかわいがってもらえ。と泣きながら言った。
僕は二人の僕を思う気持ちが痛いほどわかり、
二人の分までその家で幸せになろう。と心に決めたのだ。
けど僕の友達はそんな僕を羨んで態度を変えた。
友達は僕を取り囲み、「絶対行かせない!行ったらどうなるか
わかってるのか!」と口々に言う。
僕は、そんな周囲の声に悩まされたからこんな悪夢を見たんだ!」
男の子は次々に影を切っていく。
自分の影だけを残し、泣きながら「両親の分まで幸せに生きる」と言い、夢から覚める。
35:夢喰見聞4:2007/03/19(月) 21:17:41 ID:3bamXLvr0
主役から一部始終を聞いた喫茶店の居候は、
「友達なのに羨ましいからって急に態度を変えるなんて俺には信じがたいよ」と言う。
一方男の子は、大きな屋敷へともらわれにいった。
予想以上に大きな屋敷に入り、「本当にこの家の子供になるのかぁ!」と
ドキドキしながら言う男の子。
それを聞いた屋敷の女使用人。
「はあ?なに言ってんだい。いいかい?お前は口減らしのために家から追い出されてここに「奉公」に来たんだよ」
「お前の部屋だ、早く支度を済ませなっ!」
そう言いながら、男の子を三畳ほどの部屋にぶち込む。
「今日からみっちり働いてもらうからね!!」
牢屋のような部屋で愕然とする男の子。
頭の中には友達に言われた言葉がよぎる。
――絶対行かせない!行ったらどうなるかわかってるのか!??
絶対ひどい目に――――……
終