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27: 本当にあった怖い名無し:2007/05/26(土) 13:39:52 ID:PY1sFi0o0
ギャグ風味というか、アヤ編まではどんな殺人事件が展開されても
犯人がとち狂いすぎてて笑えたんだが、これはなんか後味が悪かった。
女子高生の桂木と、謎を主食とする魔界生物のネウロが事件を解決していく話で、
「一(ひとりめ)」というタイトルの回で世界的に有名な歌手・アヤが一人目の依頼人として現れる。
アヤは全ての歌が日本語の歌詞なのに、世界中に熱狂的なファンがいて、
ライブの時は感動のあまり失神する人が多数出るほどでCDの売上げ枚数は一億を越す。
彼女の依頼は、マネージャーと友人が突然首吊り自殺をしてしまった
理由を調べて欲しいというものだった。
桂木はアヤの歌を綺麗だとは思うが、失神するほどすごい物だとまでは思えなかった。
アヤの歌はある特定の人々に向けてのもので、桂木はそうではないから脳を揺らせないらしい。
曲のリズムやトーンやアヤの声、それらは全て、誰といてもどんな状況にいても
「自分は世界でひとりきり」と思わざるを得ない人々の脳をダイレクトに揺さぶるよう計算されていた。
そして、そんな歌を歌えるアヤ自身も「ひとりきり」なのだという。
やがて熱狂的なアヤファンの男が二人を殺した犯人として逮捕された。
男は「アヤを愛してるしアヤも俺を愛してる」と叫ぶが、
連行されていく男を見ながらアヤはつぶやく。
「愛してるいるなんて…あなたがいても私は歌えるのに」
28: 本当にあった怖い名無し:2007/05/26(土) 13:41:27 ID:PY1sFi0o0
解決編のタイトルは「一(ひとりきり)」
ネウロは物的証拠の面でアヤが二人を殺した犯人だと見ぬいた。
桂木も独自に調べて、アヤが二人を殺した理由を解釈していた。
マネージャーが死ぬ前の全世界ライブでアヤの歌の評判は芳しくなかった。
でもマネージャーが死んだ後の最終日は今までで一番評判が良かった。
そして友人が死んだ次の日にアヤは収録していたCDを破棄し、新しくつくりなおした。
そのCDは今までで最も良い売上げ記録を残した。
アヤはより良い歌を歌うために二人を殺したのだった。
アヤはふと気付いた頃には心の中が「ひとりきり」の闇に閉ざされていた。
生い立ちなどにあるのかもしれないがそれはどうでもよく、
アヤはただ同種の人々に向けて歌うことだけを考えていた。
はじめてアヤの歌を理解してプロデュースしてくれたマネージャー、
そして生まれてはじめてできた、なによりもアヤを優先し守ってくれる友人。
歌手として活躍し、二人と接しながら、気付けばアヤは「ひとりきり」ではなくなっていた。
澄んだ闇だけだった心の中に光が差していた。
アヤの歌は最早「ひとりきり」の観客の脳には響かず、アヤ自身の脳をも揺らしはしなかった。
このままでは歌えなくなる。だからアヤは二人を殺す事を決意した。
二人とも大切で大好きだからこそ殺さなければアヤはもう歌えない。
こうするしかなかったとはいえ、大切な人を殺した罪悪感を抱いていたアヤは
自殺に見せかけた工作をしながらも、誰かに見ぬいてもらい罪を償いたいと
最後の賭けとして桂木に調査を依頼したのだった。
完全に「ひとりきり」になったアヤの歌はより凄味を増し、
「ひとりきり」ではない桂木が聞いても脳が揺らぐような感覚がするほどだった。