【後味の悪い話】ホラー雑誌に載ってた話 - サンブログ

後味の悪い話

【後味の悪い話】ホラー雑誌に載ってた話

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847: 本当にあった怖い名無し:2008/11/29(土) 00:23:38 ID:ghcNqA0K0

たしか「ハロウィン」っていうホラー雑誌に載ってた読み切り漫画で
作家は「まつざきあけみ」

舞台は江戸時代の山奥の農村のような所。30人もいないような小さな集落。
主人公は村で一番大きな屋敷の娘で、みんなに「お嬢様」と呼ばれて大事にされている。
両親亡き後、村人みんなで育ててくれた。

主人公には少し年上の恋人がいる。というか、同年代はその恋人だけ。
みんなは優しいし生活に不自由はない。
でも彼女の不満は、この村から一度も外に出たことがないこと。
村は周囲をぐるっと山に囲まれていて「あの山を越えてはいけません」ときつく言われている。

ふと気付くと,村人達が怪我をしていることが多くなった。
誰も彼も包帯を巻いていて「ちょっと斧で…」とか「うっかり…」とか言っている。
ある日、恋人(イケメンだけど五助とか矢作みたいな名前w)まで腕を怪我して
包帯を巻くようになっていた。

どうしても村の外へ出たくなった主人公は恋人に打ち明けるが
屋敷に閉じ込められる勢いで妨害されてしまって、ついに深夜こっそり抜け出してしまう。
山を越えようとする主人公の眼下で,気付いた村人達が松明を持って彼女を探しに来るのが見える。
焦った彼女は足を踏み外し,転落。

気付いた時は屋敷に寝かされていて、命は助かったが、片足が動かなくなっていた。
「私にはもうおまえしかいないわ。おまえはどこへも行かないで!」
泣き濡れる主人公に「一生お側にいます」とひっそりと寄り添い慰める恋人。
そしてある日、主人公は恋人が顔の片側に布を巻いているのに気付く。
どうしたの?と聞くと「村で悪い皮膚病が流行っているんです」と。

848: 本当にあった怖い名無し:2008/11/29(土) 00:25:18 ID:ghcNqA0K0
寝付いた主人公を見届けてから、恋人の男が仲間の所に戻ってくる。
「もう隠しきれない…」
「わしらはともかく、お嬢様のお側にいるおまえがそれでは…」
お嬢様が自力で外に出歩けなくなったので、村人たちはもう布を巻いて隠すこともしていなかった。
そこにいるほとんどの者が,体の半分以上の皮膚が溶け崩れ、中の機械が見えてしまっている。

主人公の死んだ両親が宇宙船ごとこの惑星に墜落してから、なんとか村を作り上げ
今まで「お嬢様」を守り育ててきた。彼らは全てロボット。
惑星上にはこの村しか存在せず、山の向こうにはなにもない。荒野が広がるだけ。

死んだ「主人」の意向で、この世界で「ただ一人きりの人間」になる娘には
何も知らずに生きて、何も知らずに死んで欲しい、と。
だが最近になってロボットの人工皮膚がバクテリアの影響で腐り落ち始めた。
ロボットである彼らには、修復は出来ない。

「お嬢様の足が悪くなったのは幸いだった。外に行けなくなれば秘密は守られる」
「今度は目が見えなくなっていただくしかないだろう…」
「お嬢様のためだ」「仕方がない」

そんな会話がされていることも知らず、お嬢様は何も知らずに
お屋敷で恋人を思いながらすやすやと眠っている。

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