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951 :軍板より出張:04/12/24 22:45:10 ID:PpNoDW+f
戊辰戦争の折、父親の実家近辺は『奥羽越列藩同盟』に端を発する『秋田戦争』に於いて、
秋田久保田藩士と岩手南部藩士が激戦を繰り広げた場所でした。
それ故か、父親は何度か彼等の幽霊に出会ったそうです。
話は戦前になります。
当時、田舎に住む子供達はどこも同じだったと思いますが、
自ら山へ入って、主に小型の獣を獲ってその皮を剥いでなめしたり、
仕掛け針で鰻や鯰を獲って小遣い稼ぎをしていました。
親父もそんな例に漏れず、よく山へ獲物を獲りに出かけたそうです。
さて、そんなある日の事。やはり親父は、仕掛けた罠に何か掛かってないかと山へ入ったそうです。
いつもの通い慣れた道を通って山の奥へ…が、その日は何かが違ってたと言います。
妙に体が軽い。気持ちも晴れ晴れとしている。
理由は分からないけど、これから良い事がありそうな予感でした。
そんな感じでテクテクと歩いてると、樹木の陰に何やらチラチラと見えるものがあります。
よく見ると、誰かが座って休んでいるようです。
親父は黙って脇を通過しようとしました…と、思わず足を止めてしまいました。
952 :軍板より出張:04/12/24 22:46:41 ID:PpNoDW+f
どう見ても、その人物は自分達とは違う格好をしていました。
以前、行列で家の中を歩いてた…、そうだ、あの戦士達と同じ姿じゃないか。
その兵士が今、目の前で道端にうずくまるようにしている。
その時、不意に兵士が顔を上げ、親父の顔をじっと見つめました。
年の頃は15、6歳でしょうか。とはいえ、意志の強そうな顔をしており、実に立派な戦士に見えたそうです。
と、彼はおもむろに立ち上がると、突然風のような速さで山を下り始めたそうです。
それを見た親父は思わず、「そっちは○○(親父が住んでいた村)に行く道だよ!」と呼びかけました。
すると彼は一瞬親父を振り返り、そのまま走り去ったとの事です。
その姿は、まるでこれから戦場へ臨むような、そんな印象だったと。
私はこの話を聞いた時、
「で、その人は敵(南部藩)だったの?味方(久保田藩)だったの?」と質問しましたが、
「どっちにしたって日本の為と思ってたんだ。敵も味方も無いだろう」と諌められました。