話題・雑談

【文学】冒頭の一文が忘れられない小説、集まる

「読書をしよう!」ということで、冒頭の一文が忘れられない小説をまとめました。太宰治『葉』、星新一『天使考』、『推し、燃ゆ』など、一行目から読者を物語の世界へ引き込む名作をご紹介。青空文庫で無料で読める作品も掲載しています。

太宰治『葉』(新潮社)

 死のうと思っていた。
 ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。
 夏まで生きていようと思った。

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新潮社
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『天使考』星新一(「ようこそ地球さん」より)

天国はずっと独占事業だったので、天使たちは、しだいに役人臭をおびてきた。
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新潮社
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『代替』舞城王太郎(『短編七芒星』より)

 ろくでもない人間がいる。お前である
 くだらないことに執着して他人に迷惑をかける人間がいる。これもお前である。
 何を触っても誰と関わっても、腐敗と不幸をもたらす人間がいる。まさしくお前である。
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『星の王子様』の前書き サン=テグジュペリ

子どものみなさん、ゆるしてください。ぼくはこの本をひとりのおとなのひとにささげます。
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新潮社
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『涼宮ハルヒの消失』谷川流(KADOKAWA)

地球をアイスピックでつついたとしたら、
ちょうど良い感じにカチ割れるんじゃないかというくらいに
冷え切った朝だった。
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『私が大好きな小説家を殺すまで』斜線堂有紀(KADOKAWA)

 憧れの相手が見る影もなく落ちぶれてしまったのを見て、
「頼むから死んでくれ」と思うのが敬愛で
「それでも生きてくれ」と願うのが執着だと思っていた

『推し、燃ゆ』宇佐見りん(河出書房新社)

 推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。
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『イン・ザ・メガチャーチ』朝井リョウ

 人生とは、これまでやってきたことが還(かえ)ってくるものだと思っていた。
 勉強も仕事も、過去の自分が頑張ってくれたそのぶん、成績や給料といった形でその後の自分に還元されてきた。
ただ、これからは違うのかもしれない。
今後還ってくるのは、これまでやってこなかったことのほうなのかもしれない。
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『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦(KADOKAWA)

 ぼくはたいへん頭が良く、
しかも努力をおこたらずに勉強するのである。
だから、将来はきっとえらい人間になるだろう。
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『四畳半神話大系』森見登美彦(KADOKAWA)

 大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言しておこう。
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『サラバ!』西加奈子(小学館)

 僕はこの世界に、左足から登場した。

『重力ピエロ』伊坂 幸太郎

 春が二階から落ちて来た。
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『阿修羅ガール』舞城王太郎(新潮社)

 減るもんじゃねーだろとか言われたので
とりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。
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『ピエロ伝道者』坂口安吾

空にある星を1つ欲しいと思いませんか? 思わない?
そんなら、君と話をしない。

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『キッチン』吉本ばなな(ベネッセコーポレーション)

 私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う。
どこのでも、どんなのでも、それが台所であれば食事を作る場所であれば私はつらくない。
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『ゲームの王国』小川哲(早川書房)

 この諺から「輝いてるときこそ、足元の落とし穴に気をつけなければならない」という教訓を引き出した国語教師は残念ながら二流だった。
 正しい解釈は
「足元の穴に落ちたくなければ、そもそも輝いてはいけない」
ということだ。
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『こころ』夏目漱石

 私はその人を常に先生と呼んでいた。

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『草枕』夏目漱石

 山道を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。
 情に棹させば流される。
 意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。

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『刺青』谷崎潤一郎

 それはまだ人々が「愚(おろか)」という貴い徳を持っていて、
世の中が今のように激しく軋み合わない時分であった。

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『希望の国のエクソダス』村上龍

 この国には何もかも揃っている。
 だが、希望だけがない。

『蟹工船』小林多喜二

 おい地獄さ行ぐんだで!

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トルストイ『アンナ・カレーニナ』(新潮社)

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。
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『老人と海』アーネスト・ヘミングウェイ

 彼は老いていた。
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『悲しみよ こんにちは』フランソワーズ・サガン

 ものうさと甘さとがつきまとって離れないこの見知らぬ感情に、
悲しみという重々しい、りっぱな名をつけようか、私は迷う
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『列』中村文則(講談社)

 その列は長く、いつまでも動かなかった。
先が見えず、最後尾も見えなかった。
何かに対し律儀さも見せるように、奇妙なほどまっすぐだった。
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『ユージニア』恩田陸

 新しい季節は、いつだって雨が連れてくる。
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『蹴りたい背中』綿矢りさ(河出書房新社)

 さびしさは鳴る。
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『カラフル』森絵都

 死んだはずのぼくの魂が、ゆるゆるとどこか暗いところへ流されていると、いきなり見ず知らずの天使が行く手をさえぎって、
『おめでとうございます、抽選にあたりました!』と、まさに天使の笑顔をつくった。
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『春と修羅』宮沢賢治

 わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です

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『桜の樹の下には』梶井基次郎

 桜の樹の下には屍体が埋まっている!

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『駈込み訴え』太宰治

 申し上げます。申し上げます。旦那さま。あの人は、ひどい。酷い。はい。厭な奴です。悪い人です。ああ。我慢ならない。生かして置けねえ。

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『告白』湊かなえ

 牛乳を飲み終わった人から、紙パックを自分の番号のケースに戻して席に着くように。
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『彼女たちは楽園で遊ぶ』町田そのこ(中央公論新社)

 スピババアがいなくなった。
と思ったらスピジジイが現れた。
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