ホラー

【洒落怖】石じじいシリーズまとめ その4

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北海道で石探し

200: 名無し百物語 2022/12/25(日) 23:05:34.52ID:IBxITWJp
石じじいの話です。

これは、じじいが戦後すぐに北海道に石探しに行った時の話です。
北海道の北部のオホーツク海沿岸では「人魚」が網にかかることがあったそうです。
漁師たちは、それをけっして陸に持ち帰らず、船上で叩き殺していました。
そのときに「人魚」は、女性のような悲鳴をあげたそうです。
「人魚」は、別に女というわけでもなく、形が人に似ているというだけなのです。
それほど大きなものではなく(大人の半分くらいの身長)凶暴でもなかったようです。
それは港まで持ち帰るまでに、すぐに死んでしまい、死ぬとすぐに腐敗して異臭を放ったそうです。
それを食べたという話は無く、漁民もあまり触れたがらない存在でした。
「魚人」と呼んでいた人もいたようです。
それが見られるのは、かなり限られた海域で、たまにしか遭遇しなかったそうです。
以前、流氷に乗ってやってくる「人」の話がありましたが、これも似たような話ですね。
実際、流氷に乗って樺太や遠くカムチャツカからやってくる生き物だ、という人もいたらしいのです。
網にかかった「人魚」が腕輪や首輪をつけていた、ということもあったようで、それらが民家に保管されていたり神社や寺に奉納してあったそうです。
同じような「装飾品」は、オホーツク海沿岸に分布する続縄文時代の住居跡から出土することがあったということを、じじいは何度目かの北海道への石探し遠征のときに地元の郷土史家から聞いたそうです。

透視する能力

201: 名無し百物語 2022/12/25(日) 23:19:05.02ID:IBxITWJp
石じじいの話です。

石の中を透視する能力がもった人がいたそうです。
男性でした。
彼は、岩石の中を透視することができましたが、他のものを透視することはできませんでした。
その人は、普通の人と別段異なったところはなく、強いて言えば、瞳の色が若干薄かったそうです。
すべての種類の岩石を透視できたわけではなく、御影石のようなマグマが固まった硬い石は透視できませんでした。
これは、化石を探すのに好都合だということで、じじいは、彼のところに石を持っていって化石の有無を調べてもらいました。
完璧に有無を言い当てたそうです。
その人は、現地に出向いていって野外で岩石を見ても中を透視できたそうですが、家でじっくりと見るよりも的中する確率は低かったとか。
どんな大きな岩石でも透視できたようですが、それがどのように見えるのか?と彼にたずねても、彼の答えは要領を得なかったようです。
長さが一分にも満たない小さなものも見つけることができました。
神社に祀られている「御神体」と言われている石も透視したこともあったとか。
彼は、その岩石を透視しながら、笑っていたそうです。
彼は、非常に長生きをしました。
この話を聞いた時には、まだ存命だとじじいが話していた記憶しています。

ゲドウ

202: 名無し百物語 2022/12/25(日) 23:28:04.81ID:IBxITWJp
石じじいの話です。

短い話を一つ。
ある地方には、「ゲドウ」と呼ばれる「這い回る」モノがいたそうです。
夜、家のまわりを這い回るようなずるずるという音がする。
雨戸の隙間から見てみると、黒い人のようなものが這い回っていた。
朝、見てみると、確かに何かがはったような跡が地面に残っていたそうです。
以前お話した、「台風のときに訪ねてくるモノ」のような存在ですね。

動物の骨の装飾品

203: 名無し百物語 2022/12/31(土) 21:33:00.79ID:QodBkPoN
石じじいの話です。

じじいが朝鮮に住んでいたときに満州を旅した時の話のようです。
満州の北部、ロシア(当時ソ連)との国境に近い森林の中に住んでいる人々(少数民族?)には、尖った大きな犬歯=牙が生えている女性たちがいたそうです。
最初、彼女たちにあったときには非常に驚いたのですが、よく見ると、それは「装飾品」でした。
その装飾牙は、たいてい動物の骨でできていました。しかし、なかには、その女性の親族や夫の骨から作ったものもあったそうです。
現地の案内人によると、昔は、他の人々(民族?)の集落を訪れるときも、その牙をつけていたのですが人々が怖がるので最近はつけなくなったと。
旅をしているときや森の中で、大きな牙を持った女性にあうと怖いな!とじじいは思ったそうです。
「でもな、たまに、ほんとうの牙をもった女に会うことがあるんだ。そんなときは、現地の人間は、普通の女が飾りとしてつけているんだと思うだろう。そうして油断していると、いきなり襲ってくるんだ。手を噛みちぎられたも者もいるし、殺された者もいる。殺された死体には食われたあとがあるんだ。尻の穴が食いちぎられていて、そこから内臓が引き出されて食われている。おまえも尻、気をつけろよ!」と案内人。
以前お話した、マハチンの一種かもしれません。

犬が生る樹木

204: 名無し百物語 2022/12/31(土) 21:39:47.89ID:QodBkPoN
石じじいの話です。

非常に短い話です。ノートにあった、じじいから聞いた話の断片です。

あるところに、「犬が生る樹木」があったそうです。犬が生ったら鳴き声がするのでわかるのだと。
その「犬」を切りとって持ち帰ると、それは数日で死ぬ。
死んだら、それを食べるのだそうです。

よくわからない話です。日本の話なのか?朝鮮・満州で見聞した話なのか?あるいは、ロシア人などの外国人から聞いた話なのか?

人の足跡

205: 名無し百物語 2022/12/31(土) 21:54:51.56ID:QodBkPoN
石じじいの話です。

米国には、恐竜の足跡と人の足跡がともに同じ地層に化石として残っている場所があるそうです。これは、キリスト教原理主義者たちによるインチキだとか。

じじいによると、ある山の中に「人の足跡」がたくさんついている岩石があったそうです。
それを知る地元の人によると、足跡をつけたものは、修行僧、仙人、盗賊たちなど、との言い伝えがあったとか。

大昔には、たくさんの足跡が見られたそうですが、じじいが見た時には、だいぶ風化して壊れてしまって、ほとんど残っていませんでした。
残っていたものを見ると、それは裸足の足跡で、指が異常に長かったそうです。
大小のものがあり、一方向に集団で歩いたような感じだったと。
ただ、じじいには、人間の足跡とは思えなかったそうです。

昔は、他にも別の種類の動物の足跡と思われるものもあったのですが、壊れて失われてしまったということでした。
また、道具(?)のようなものが一緒に岩石中に残っていることもあったそうです。
足跡が残っていた岩石は、人類が出現する以前の時代の化石が発見される、非常に硬い堆積岩(?)だったので、いっそう不思議だったそうです。

シャーマンの儀式

体験した怖い話 作り話を語り合うスレ
https://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/kaidan/1574819183/

206: 名無し百物語 2023/01/14(土) 13:16:14.12ID:RWLVWJzh
石じじいの話です。

これも、じじいが満蒙を旅したときの話でしょう。
蒙古人は、ラマ教(チベット仏教)を信仰していましたが、それが伝来する以前の土着宗教であるシャマニズムも根強く残っていたそうです。
シャーマンの儀式の手順は以下のとおり。不完全な記述ですが。
シャーマンは、病気を治療しに行くと、白い牝馬の皮の上に座って、灯火を消して部屋を暗くする。

婦人服をまとって長時間喫煙する。すると、激しく咳をするようになって体が反り返る。
そのうち、頭を垂れて目を閉じる。そうして、冷い水を口に含んで四方に吐き散らす。
白馬の毛の一掴みを火に投じて、胸に太鼓をかけて、顔を南に向けて太鼓と鈴を鳴らし始める。

ある程度時間がたつと、急に黙って、
「われ大なる牡牛。吼えよ。われ萬人にまさりて天龍を蒙れる人。力ある主よ。われに語りたまへ。われと伴なる者ども。耳かたむけよ。」と唱える。
そうして、口寄せが始まる。
招霊した霊魂が突如として現れる場合があって、その時には、シャーマンの体が吹き飛ばされることがあるそうです。
それがうつ伏せに倒れると吉凶、仰向けに倒れると凶兆だとか。
もし、そのような儀式で病が治らなかったり、事態が改善しないと(たとえば、家畜の病気が治らないとか、干ばつがおさまらないとか)、シャーマンは、「神を怠慢だとして懲罰する」のだそうです。
神様もなかなか楽ではありません。

人を惑わす存在

207: 名無し百物語 2023/01/14(土) 13:27:28.53ID:RWLVWJzh
石じじいの話です。

これも満蒙の話でしょう。
砂漠でも草原でも、人を惑わす存在があるとのこと。
夜、野営中に、仲間の声によばれて、その方向にふらふらと行くと迷って野営地に帰れなくなる。
夜間に移動しているとき(夜は昼と違って気温が低く、星も見えて方向を知ることができるので移動には都合が良かったようです)、多くの人々が馬やラクダにのって行進している音が聞こえるので、その音を仲間だと勘違いしてついて行くと迷ってしまう。
近くで歌や号泣しているのが聞こえるので、そこへ行くと迷う。
兵隊と思われる一群が追撃してくる音と声がするので、それから逃げようとして慌てて走ると、崖からおちて死ぬ。それでほぼ全滅した商隊もあるとか。
野営中に周囲から楽器の音が聞こえだし、それが激烈になって虚空に満ちる。
太鼓や鐘の音が聞こえるときよくある。
これは、夜間に気温が低下したときに、砂丘が崩れて流れ下る砂が音を出すのだそうです。

ラクダに鈴をつけるのは、このようなことで迷わないようにするためだとか。
また、露営する際には、自分たちが進んでいく方向がわかるように印をつけておくのだそうです。
360度水平線だと、朝起きたときにどちらに進んでよいかわからなくなることがあるのです。

仙人

208: 名無し百物語 2023/01/14(土) 13:42:51.26ID:RWLVWJzh
石じじいの話です。

短い話を。
じじいが朝鮮にいた時の話です。
朝鮮の北部に「青春の泉」があったそうです。
山の中の湧き水を飲むと、若返るというものです。
その水を手ですくったときに手に少し刺激があり、その刺激の強さで、その水がどの程度その人に効くのかがわかるのだとか。
飲むと、いつまでも健康で若々しい。
しかし、その水は、器で飲んではいけない。
下手をすると死ぬことがあったそうです。

匂いをかぐだけで生きている人間がいたそうです。
これは道教(?)の修行で、これをマスターすると食べないでも生きていけるのだと。
まさに仙人です。
また、一日中まばたきもせずに太陽をみつめている人間もいたそうです。
これも修行の一つなのですが、眼が悪くなる。
あたりまえです。
しかし、身体の感覚が研ぎ澄まされて、遠くの物音が聞こえたり暗闇でもものが見えるようになるとか。
インドの苦行者のようですね。

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コハク

209: 名無し百物語 2023/01/16(月) 21:32:37.30ID:4Gu9Nufe
石じじいの話です。

じじいは、朝鮮にいるとき、何人かのロシア人とつき合いがありました。
その中のひとりから、バルト海の海岸から採集されたコハクをもらったそうです。
じじいにコハクをくれたロシア人(ラトビア出身でしたがロシア人だったと)によると、海岸を歩くと波打ち際にコハクが打ち上げられているのだとか。
コハクは植物の樹脂が岩石になったもので、中には昆虫などの太古の生物の化石が入っていることがあるのだと。
非常にまれに、「人造物」がはいっているコハクがあったそうです(?!)
たとえば、縫い針やチェーン(時計用?)など。大きなコハクには、指輪が含まれていたこともあったとか。
さらに、小さな、小さな人間の顔の一部や裸の腕や足の断片が認められたこともあったと。
「これは進化論を否定するものだ!神のご加護だ!」と、そのロシア人は熱弁していたそうです。
そのようなコハクを見せてくれることはなかったようですが、今考えるとフェイクくさいですね。
正月に、じじい箱からコハクを見つけたので、その由来についての記述を聞き書きノートの中に探しました。
おそらくこの話のものだと思われます。
モノは、孔をあけてネックレスにしてあります。もとからそうなっていたのか、じじいが加工したのかは不明。
光を通してみると、昆虫の化石が入っているようです(上の写真)。

このロシア人は、ロシア帝国のあちこちを歩いたようで、じじいの聞き書きノートに、その経験談と思われるものがいくつかあります。

猿を捕獲する方法

210: 名無し百物語 2023/01/23(月) 20:48:19.57ID:eSAlZogd
石じじいの話です。

じじいが石探しのために国内を旅したときの話です。
ある地方には、猿を捕獲する独特の方法があったそうです。
それは「猿真似」の習性を利用したものでした。
水を入れたたらいを猿の群れのいるところに持っていき、彼らの前で顔を洗うさまを見せます。それを長期間にわたって何度も見せます。
そして、ある時に、トリモチを入れたたらいを置いておく。
すると、真似をした猿は、トリモチに手や顔をとられてしまうので、かんたんに捕まえることができるのだそうです。
また、ズボンを履くところを何度も何度も見せておいて、内側にトリモチがついたズボンを置いておく。
すると、猿は真似をしてそのズボンを履くので、トリモチにくっついてしまい捕まってしまう。
浅はかな知識で身を滅ぼすこともあるということで、ネット時代には自戒しなければなりませんね。

夜でも目の見える人

211: 名無し百物語 2023/02/12(日) 11:47:48.69ID:05Vbyuw4
石じじいの話です。

聞き取った話の断片をいくつか。

夜でも目の見える人がいたそうです。
別に目の色が変わっているとか、その形や大きさが普通と違っているとかということはありませんでした。
ただ、眉毛が非常に薄かったそうです。
彼が言うには、「子供の頃は、私の目の色は水色だった。年齢をかさねるごとに色が濃くなってきて、今は、ほら、榛色だ。」
昼間はまぶしくないのか?とじじいが尋ねると、「いや、まぶしくない。ただ、他人の肌の色が、時々、緑色に見えることがある。」
その緑色に見える人に、何か特徴はあるのか?とじじい。
「いや、まったくない、と思う。まあ、知りようがないね。」
それは遺伝か?とじじい。
「私の曾祖母が、おなじような力があったと聞いたことがある。他の家族、親戚にこのような目を持っている者はいない。」

じじいが、山歩きをしている時に、ある集落に行きあたりました。道を尋ねるために、ある農家の庭先で作業をしている男性に話しかけました。
彼は、七輪の上の鍋で、何かを煮ていました。
料理をしているのだな、とじじいは思いましたが、鍋の中を見てみると、きれいな着物を来た女の和人形をグラグラと煮ていたそうです。
じじいは、ぎょっとしましたが、それを見なかったようなフリをして、親切に道を教えてくれる男性に礼を言ってわかれたそうです。

ある人が死んだ後、その人が死ぬ直前に書いた文字が動くことがあったそうです。
筆で書かれた文字が、もぞもぞと動くのです。ほんの少しですが。
誰が見ても、いつ見ても、動いていたそうです。
一週間ほどすると、文字は動かなくなりました。
墨もすっかり乾いて、いくつかの文字の一部がぽろりと抜け落ちたそうです。

呪術の習得

212: 名無し百物語 2023/05/02(火) 21:39:14.32ID:niCC4oXA
石じじいの話です。

話を3つ。

「呪術」を学んで、それを習得した人がいたそうです。その人は、べつに怪しい拝み屋のような者ではなく、普通の人でした。
彼が、その術を使ってはじめて呪殺したのは「鳩」だったそうです。
彼が、その後、呪術をどのように使ったのかは、私の聞き取りノートにはありません。じじいは話してくれなかったのか、あるいは私が忘れてしまったのか。

夜中にじじいが歩いていると、雷がなり始めました。付近に灯りは無く真っ暗でしたが、雷が光った時にはまわりの風景が青白く見渡せました。
そうこうしているうちに強い雨が降ってきたのですが、稲妻が走った時に、じじいの前から一人の女性が歩いて来るのが見えました。
その女性は黒いこうもり傘をさして、灯りを持っていなかったので、近くに来るまで気がつきませんでした。
その女性は、じじいに駅への道を尋ねてきました。
ずいぶん距離があったのですが、じじいは、その道順を教えました。
教えている時に、稲妻が走りました。
その光で見た女性は裸足だったそうです。
「今から歩いていっても最終の汽車にはまにあわんで」
「いいのです。人と会うのですから。」

じじいが石探しのために山歩きをしている時に、ある集落に行き当たりました。そこの一軒の庭で、数人の子供が泣き騒いでいました。
彼らは、興奮して、まわりの大人たちに叫んでいました。
「鳥が人間の頭を咥えてきた!」
えっ?と思って、じじいはそこに近づきました。
そこには、肉片が落ちていて、血が少し地面についていました。
その肉片は、人間の耳たぶであり、また、眼球と毛髪だったそうです。
どう見てもつくりものではない。
皆それをこわごわと見ていました。
血は、すでに乾いて、肉片にはアリがたくさんたかっていたそうです。

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ママ、起きて

215: 名無し百物語 2023/05/24(水) 22:41:52.87ID:DHqwMrbQ
石じじいの話です。

家に関連した話をひとつ。

じじいは、石探しのために山に行く時に街を歩いていました。
その日は、春先の眠くなるような陽気でした。
ある古い家の横をとおりがかったとき、「ママ、ママ、起きて!」という子供の声が何度もしてきたそうです。
家の外でも聞こえるような大きな声でした。
昔でしたから、自分の母親を「ママ」と呼ぶ家庭は非常にまれでした。まずそれを奇異に感じたそうです。
しかし、国鉄の駅のある町なので、そういう「モダンな」家庭もあるかもしれん、と納得して、ちょっとその家の玄関を覗いて通り過ぎました。
路地に面したその家の玄関の戸は開いていましたが、中は暗かったそうです。
眠っている母親を子供が起こしているんだろうか?
その路地のむこうから男性が歩いてきました。彼はじじいに、低い声で話しかけてきました。
「この家の中から、子供の声が聞こえましたかな?」
「はあ、聞こえましたい。お母さんを呼ぶ声でしたが。」
「ママ、ママ、いうとりましたろう?」
「はい。」
「あの家には、もう、だれも住んどらんのですわ。母親は、去年死んでしもうて。ひとり子供がおったですが、父親がおらんかったんで、遠い親戚に引きとられておらんようになったんです。」
では、母親を呼ぶ、あの子供の声は?
「子供がおらんようになってから、ときどき、あがいな声が家の中から聞こえるんですらい。ここらへんの人はみんな聞いとります。」
幽霊だろうか?
「あやしいけん、家の中をしらべてみたんですが、だれもおらんし、人が入ったあともないんです。」
さっき見たら玄関が開いていたのだが。
「おお、たまに開いとることがあるんよ。だれかしのびこむんかもしれんが、盗るものは何もないんやが。でも、人が入ったあとはないんで。それやったら、玄関しめとらんといけない。あんたも気にしなさんなや。」
そう言って、その男性は、その家のほうへ歩いていきました。
子供の時に母親に死なれたじじいは、母の死の時を思い出して、複雑な気持ちになったそうです。

呼ぶと答える部屋

216: 名無し百物語 2023/05/24(水) 22:51:18.11ID:DHqwMrbQ
石じじいの話です。

不思議な家について、聞き取った話の断片をいくつか。

名前を呼ぶと答える部屋があったそうです。
冬に、ふすまを締め切ったその部屋の外で死んだ人の名前を呼ぶと、
「はーい」と声がかえってくる。
不思議に思ってすぐに襖を開けて見るとだれもいない。
その現象は、冬に限っておきるのです。
死んだ人なら、その家系のだれの名前でも呼べばこたえたそうです。
死んだ人が女性なら、高い声で。男性なら、低い声で。
ただ、その声が、その呼ばれた人の声と確実に同じであったかというとそうでもない。
その声が確実に女性のものか男性のものかも判別できない場合もあったそうです。

ある家では、ステンレスでできた電球の傘に「幽霊」の姿がうつることがあったそうです。
電球を消灯しようとしてスイッチを切る時に、その傘に見知らぬ人が通り過ぎるのがうつる。
振り返ると、そのような人は部屋にはいない。

雛壇とふすまとの間の暗闇に、少女の顔が浮かびでる家があったそうです。
桃の節句に、座敷に壁に接して雛壇を置くと、壁との間にできる暗闇に小さな女の子の顔が浮かびでます。
家人には、その少女の顔に見覚えはないのです。
まあ、それだけの話で、雛壇を片付けると出なくなるのです。
ある年の節句に、雛壇をふすまに接して置きました。
それでも、ふすまとの間の暗闇に少女の顔が出たそうです。
出ている時に、すぐにその後ろのふすまを開けました。
すると、

ある家の台所で料理をしていると、その料理が話しかけてきたそうです。
台所で、大根か里芋かを切っていると、その野菜から「死ね、死ね」と声が聞こえてきました。
他の野菜を切っても、同じ内容が聞こえてくるのですが、声が変わっていました。
野菜によって声が変わるという。
しゃべる野菜を鍋で煮ると、とても美味しい野菜だったそうです。
これは、調理している人の精神の問題なのではないでしょうか?

ある家の庭に面した座敷から庭を見ていると、真っ赤な彼岸花が咲いていました。
その彼岸花は、夜になっても、それだけが真っ赤に明るく見えていました。
その彼岸花を折り取って家の中に持ち込むと、そのようなことはなかったそうです。

線路のわきに人がいる

217:名無し百物語 2023/05/24(水) 22:58:50.73ID:DHqwMrbQ
石じじいの話です。

以前、線路を走る少年の幻影の話をしました。同じような鉄道の話を2つ。

何回も汽車に轢かれる人がいたそうです。
田んぼで作業をしていると、その中を貫いて走っている線路のわきに人がいる。男性だったそうです。
その男性は、汽車が来るととびこむのです。
おおあわてで現場に駆けつけると死体はない。
汽車も何もなかったように通り過ぎる。
国鉄に飛び込みがあった旨を伝えても、運転士はそのようなものを見ていないということでした。
気のせいかと思ったのですが、それから何度も同じ人物が同じ場所で汽車に飛び込むようになったそうです。
国鉄に何回も報告しても、そのような事実は無いという返答。
それでも、その飛び込みは目撃される。
農作業をする人たちは、それを恐れて近くでの農作業中は線路の方を見ないようにしたそうです。
じじいが、私を8000円の自動車に乗せてくれて踏切を通る時に、「ほうれ、あそこに出るんよ。」と教えてくれました。怖かった。
高校生になって汽車通学をするようになって、そこは毎日朝夕、通る場所になりました。
そこを通るたびに、その話を思い出したものです。
じじい、余計なことを!

ある鉄道轢死事故に遭遇したとき、その現場で幼い子供が群衆に混じって見物していました。子供にこんなものを見せるとは、親は何をしているんだ!と、じじいは立腹しました。
その幼い子供は、にやにやと笑いながら大人たちの隙間から死体をのぞいていたそうです。
「かわいそうにのう。目の前で父親に死なれて、ちいさい子は頭がおかしゅうなったゆうで。」

古い西洋人形

220: 名無し百物語 2023/06/01(木) 21:26:00.45ID:CfgDFhL/
石じじいの話です。

男の子が、家で古い西洋人形を見つけました。
どこから見つけてきたのかはメモにありません。
それは古いものでした。
その子は、弟が見ている前で、その人形を「解剖」し始めました。
服を脱がせて、胸をドライバーで刺してこじ開けました。わらくずのようなものが出ました。
腹まで裂いてもわらくずが出る。
手足をボキボキと折りちぎりました。手足はボール紙でできていて中に細い木の芯が入っていました。
最後に、彼はカナヅチで人形の頭を叩き割りました。
頭部の半分が長い金髪の髪の毛ごと欠け落ちました。
頭の中は空洞でしたが内側にローマ字が書いてあったそうです。
顔の部分もカナヅチの釘抜きの部分で叩くと、ぼこっと陥没して青い眼球がこぼれ落ちました。
眼球はガラスできちんと作られていたのです。
そのショックで可動式の首の関節がもげて、頭がぽろっととれてしまいました。
人形をばらばらにして満足した男の子は、人形の残骸を庭に穴を掘って埋めました。
数日後、その男の子は汽車に轢かれて、その人形と同じ状態になったそうです。

村の住職から聞いた話

221: 名無し百物語 2023/06/01(木) 21:40:42.26ID:CfgDFhL/
石じじいの話です。

これは石じじいから聞いた話ではなく、彼の死後ずいぶんたってから、村の住職から聞いた話です。
石じじいや私の家が檀家であった寺の先代の住職は、なかなかおもしろい人でした。
理知的というか合理的というか。
先祖の供養などを強調せず、ましてや水子の供養なども否定していました。
寺の役目は葬儀と法事だけだ、と常々言っていました。
彼が、このような話をしてくれました。
「のう、家のお寺のお墓知っとろう?一番上のお墓が、KKさんのとこよ。」
この寺の墓は、寺の裏山の斜面にありました。
「じゃが、あそこで、お墓は終わりやないんで。あそこから山の上に登る小さな道があろう。」
一番上の墓の横には小さな小道があり、そこからさらに上に登れました。墓全体は林の中にありましたが、そこからは、もう完全に森です。
「そこを、草をかき分けて登ると、もう一つお墓があるんじゃ。その墓が妙なもんでの。おまえ、行ったことあるか?」
私は行ったことがありませんでした。
「そこにはの、草に埋もれてしもうて、だれもお参りせんお墓があるんよ。古いもんなんやろうの。」
[つづく]

222: 名無し百物語 2023/06/01(木) 21:41:13.75ID:CfgDFhL/
>>221
[つづき]
その墓は、以下のようなものだったそうです。
そこの墓石は真っ赤な砂岩でできていました。正六面体に近く、鋭い角はみなきちんと残っていました。
風化して角がまるまっていたり、欠け落ちたりしていませんでした。
どこの檀家のものでもない。
その墓石の4つの側面にも上面にも、細かい文字がびっしりと彫られていました。
しかし、その文字がまったく読めない。
文字は、掘りたてのようにはっきりとしている。もちろん、枯れ葉のかけらや砂がたまってはいるのですが。
この地方では砂岩の地層が山にたくさん露出しており、それを切り出して石垣や墓石に使っていました。
そのような墓石は、すぐに風化してほろぼろになってしまいます。
50年前のものでも、もう石の表面が剥げ落ちてぼろぼろになっていました。
びっしりと彫られた文は、その読めない文字の配列から行が横方向に書かれていたのだろうと推察されました。
しかし、一文字も読めない。
住職は、大学でチベット語を習ったことがあったそうですが、それではない。梵字でもない。漢字でもない。もちろんローマ字でもない。
学校の図書館でしらべてもわからない。キリル文字でもアラビア文字でもない。
インドや東南アジアの文字も調べたが同じものはない。
アムハラ語の文字でもない。
亀甲文字や象形文字さえも調べたそうですが似てない。
強いて言えば、楔形文字に似ていたそうです。
[つづく]

223: 名無し百物語 2023/06/01(木) 21:41:44.45ID:CfgDFhL/
>>222
[つづき]
「どがいな石でできとるんやろう思うてな。XXさん、石じじいの本名、にみてもろうたんよ。」
じじいが言うには、それは、おそらく赤色砂岩というもので、イギリスや欧州大陸地域で見られるかなり古い岩石だろう。
その石は、それほど硬い石ではないので、日本のような湿気の多いところで長年雨にさらされたら、ぼろぼろになるだろう、と。
「石に彫られとる文字が読めんけん、過去帳でしらべることもできんかったんよ。」
どうしようもないので、そのまま放置することにしたそうです。
もし、墓の敷地の拡張が必要になったら改葬しようと。
しかし、村はどんどん過疎化してしまい、墓の敷地が拡張されることはありませんでした。
今では限界集落です。
じじいが、その石に興味を持って、一部をハンマーで欠き取ろうとしていたので、住職はいさめました。
「わしらが読めんような字が書いてある墓石割ったら、がいなバチがあたるかもしれんぞ!」
住職は一応記録に残しておこうと思い、文字が彫られている5面の拓本をとりました。
その拓本は、今でも寺に残されているかもしれません。住職は代がわりしていますが。
この話を聞いた後、私はそこへ行ってみました。
[つづく]

224:名無し百物語 2023/06/01(木) 21:42:11.59ID:CfgDFhL/
>>223
[つづき]
ありました。草木に埋もれて。
しかし、その墓石の角が大きく割れて欠けていました。
その断面もとてもフレッシュでしたが、面のあちこちに緑色の斑点がポツポツとありました。
墓石の前には、花が入っていない白い陶器の花立が置いてありました。
花立は置かれてから随分年月がたっているように見えました。
じじいが叩き割ったのだろうか?と疑いましたね。
そうかもしれません。
墓石は今でもきれいなままであそこにあるのでしょう。
撤去する必要もありませんからね。
今度、両親の墓参りの時に確認してみたいと思います。
この話は高校生の時に聞き取ったので、かなり詳しく記録されていました。
当時の筆記内容を記憶で補完しました。

225: 名無し百物語 2023/06/02(金) 23:19:07.21ID:soihsF8v
石じじいの話です。

スイカの中に肉が詰まっていることがあったそうです。
孵化に失敗した桃太郎だったのでしょうか?

ノートの端に書きとめてあった意味不明な話です。

図工がとても得意な小学生

226: 名無し百物語 2023/06/03(土) 21:34:12.08ID:YRrdetbS
石じじいの話です。

図工がとても得意な小学生がいました。
その男の子は、絵もうまいし粘土細工なども上手でした。
リアルな作品も抽象的な絵もよく描け、デザインのセンスもあったそうです。
ある夏休みの図工の宿題で、彼は犬の石膏像を作ってきました。
柴犬のような犬のリアルな頭でした。人に愛嬌をふりまているようで、とてもかわいく見えたそうです。
そのできに同級生たちも先生も驚きました。
その作品は金賞をもらって教室に飾られました。
その後、みんなにも見てもらおうと図工教室に展示されました。
みんな、おどろき、またよろこんだそうです。
その作品は長く展示され、ついには、その作者である男の子が卒業しても学校に残されました。
それから、ずいぶん時間がたって、
10年以上もたっていたということです。
その由来も忘れられてホコリをかぶっていた、その石膏像を、美術クラブの女の子が見つけて、それに着色したそうです。
彼女は、絵がとても上手だったので、犬の像は非常にリアルに着色されました。
それはそれで作品として立派なものだったということです。
これは、なおさらカワイイと皆がよろこびました。
そのうち、ある生徒がよく見ようとして、高い棚に置いてあったその像を手にとろうとしました。
しかし、誤って落としてしまいます。

227: 名無し百物語 2023/06/03(土) 21:35:00.58ID:YRrdetbS
>>226
石膏像はバラバラに割れました。
割れた断面を見てみると、石膏の中に骨のようなものがあります。
そこにいた子たちは怖くなって、壊したことを先生に言いました。
クラブの先生は、それを理科の先生に見せて調べてもらいました。
理科の先生が調べたところ、それは犬の頭骨だったそうです。
骨に石膏を塗りつけて固めて、表面を削って形を整えて毛並みなども表現していました。
両方の眼窩には、きれいなビー玉が詰めてあったそうです。
作者の男の子についての情報は残っていましたが、かなり前のことなので今さらどうこう言うこともない。
その理科の先生は、石じじいの科学知識の顧問のような人物でした。
彼がじじいに言うには:
「あれは、中に犬の骨が入っとったけど、まわりは石膏で固めて、それを削って形を作っとったんで。骨は石膏像の芯みたいなもんよ。」
「考えてみんさい。鼻や頬の形や、まぶた、耳の形は骨には残っとらんので。それをあの子は、きれいに削り出して、ほんものみたいに写実的に作ったんぞ。これはなかなかできん。」
「あの子には才能があったんよ。骨なんか中に入れんでも同じようなええもんができたろうのう。」
「もしかしたら、その犬は、あの子にとって大事なもんやったんかもしれん。飼うとった犬やったかもしれん。生きとった時の姿をようおぼえておったんかのう・・・。」

愛するものとの、そのような別れかたもあったのかもしれません。

北海道で石探ししたとき

228: 名無し百物語 2023/06/15(木) 19:48:17.79ID:CYUxJZO+
石じじいの話です。

じじいが北海道へ石探しに行った時、札幌でバラックのような宿泊所に泊まりました。
そのころの札幌は冬季オリンピック開催の前で、小さな、しかしエキゾチックな地方都市だったそうです。
駅の北口にある宿泊所の主人である女性から聞いた話です。

その女性は、戦後に内地から移住してきた人でした。
家族(夫と子供二人)と横浜に住んでいましたが、終戦まぎわに横浜の大空襲にあいました。
夜ではなく昼間に大編隊が襲来したのでおどろいたそうです。
港、つまり海側が最初に爆撃されるだろうと考えたのですが、予想とはちがい山側から爆撃が開始されました。
短時間に焼夷弾が落ちてくるので消火活動の余裕がない。
しかし、「逃げないで火災を消せ」という命令だったので消火活動をこころみたのですが、まったく無力だったそうです。

229: 名無し百物語 2023/06/15(木) 19:49:23.33ID:CYUxJZO+
これはいかん、というので家族で海側に避難を開始しました。
それまで空襲のなかった横浜の街は燃えあとの空き地がなく、家がたてこんでいて通りには多くの人間がひしめきあっていました。
その混雑で、彼女は家族と離ればなれになってしまいました。
このまま海側にいくのは難しいので、他の人々といっしょに近くの丘に避難しました。
丘の上からは、市街にいくつかの炎の竜巻が立ちのぼっているのが見えたそうです。
炎はどんどん丘にも迫ってきました。
これはいかん、というので、さらに山側に逃げました。
爆撃は1時間ほどで終わりました。投下された爆弾はほとんど焼夷弾だったそうです。
家屋がどんどん燃えるので酸欠で呼吸が苦しくなり、それで動けなくなり道端に座り込む人も多かったそうです。
その人たちは焼け死にました。
最初に避難した丘にも火勢が伸長して、そこに残った人々も多くが焼け死んでいたそうです。
家も家族も焼かれてしまって天涯孤独の彼女は、終戦後北海道に渡り宿屋をはじめました。
彼女は醍醐寺真言宗に帰依しており、口寄せのようなこともしていたそうです。

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