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398 :本当にあった怖い名無し:2018/07/27(金) 03:27:52.69 ID:KK8p85GN0.net
この季節になると思い出す、私の唯一不思議な体験。
幽霊とか怖いとかって感じでもないんだけどね……
もう十何年も前、長野県M本市から近い某ヶ原高原での話。
当時の叔母はハイキングや本格的な山登りが趣味の人で、
私はその日も近隣の山を登り、某ヶ原へと抜けるコースを付き合わされていた。
入山して歩くこと数時間。
美しい景色や見たことのない鳥、私の天敵である山蛭・・・・・・
一々大騒ぎする私を連れて叔母は順調に山道を進んでいたが、
途中で山道をすれ違った夫婦から「この先は霧が酷い」と助言を受け、私たちは近くの沢で休憩を兼ねて食事をとることにした。
399 :本当にあった怖い名無し:2018/07/27(金) 03:29:23.98 ID:KK8p85GN0.net
水辺は涼しく、座るにも丁度良い大きさの岩も転がっており、一度座るとなかなか歩き出すことができない・・・・・・
食事を広げて他愛の無い話を叔母としていると、噂の霧が山頂の方から下りてきた。
あっという間に周りは霧に飲まれ、
まるで雲の中のようだとテンションがあがる私と対照的に、叔母が難しい顔で下山を検討し始めたその時、
突然叔母が私に「ん?なに?」と聞いた後、「うわっ!何?なに!?」と突然沢に向かって倒れこんだ。
400 :本当にあった怖い名無し:2018/07/27(金) 03:31:16.39 ID:KK8p85GN0.net
私は「何してんだこの人?」とゲラゲラ笑ったが、
叔母は大真面目な表情で「なんかいる!猪!?」「ぶつかってきた!」とびしょ濡れで大騒ぎの叔母。
叔母を立たせる為に手を差し出そうと私が立ち上がると、背後から突然舌足らずで幼い声が聞こえた。
「さんかいいくよ」
どんっ と突き飛ばされた!うわっと踏ん張る私。
どんっ と更に押される!堪らずつんのめる私。
どんっ とダメ押しされる……とうとう私も沢に倒れこみ呆然。
401 :本当にあった怖い名無し:2018/07/27(金) 03:32:26.50 ID:KK8p85GN0.net
叔母共々ずぶ濡れ。「ね?」と謎の同意を求める叔母。
「子供の声がした」と私が叔母に訴えると、
「あんたじゃなかったんだアレ」と叔母。
二人して沢から上がると程なくして霧も晴れた。
石の上の食べかけのおにぎりが消えていた。
その後「風邪ひくし今日の山は良くない」と下山。
私の知る限り、叔母は2度と山に入らなくなったとさ。