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559:(1/3):2006/10/09(月) 21:02:24 ID:H4xMY4Ma0
少女向けのホラー雑誌に載ってた話が後味悪かった。
人んちで読んだやつでタイトルすら忘れてる状態だから
細部に違いなどあるかと思うけど許して。
主人公の少女はある日、街中で「座敷童子」と出会った。
座敷童子とは住み着いた家に幸福を齎すといわれる有名な妖怪だが、
少女が遭遇した座敷童子は今は特にどこにも住み着いていない状態だという。
気さくな座敷童子と意気投合した少女は、彼女に家に来て欲しいと頼む。
かつて幸せだった自分の家をもう一度幸せにしてほしいのだと少女は言う。
少女の父は以前は大手企業に勤めるエリートでありまた家族思いの優しい人だったが、
不況の煽りで急なリストラをされて以来すっかり人が変わってしまった。
再就職する努力を放棄して酒に溺れ、妻や娘(主人公の少女)に暴力までふるうようになる。
そんな夫の暴力から娘を庇いながら傷だらけになり、泣きながら少女を抱きしめる母。
「お前は私の一番の宝物だから、お前だけはお母さんが守るから」母はいつも少女にそう言っていた。
少女と共に帰宅した座敷童子は、家に入るなりそこに充満する”嫌な感じ”を察知した。
今の少女の家には確かに不幸が渦巻いているようだ。
何やかんや会話があって(忘れた。ごめん。)
座敷童子はひとまず父に枕を投げつけ、それからとある力を使った。
枕を投げつけられた衝撃で気が遠くなった父。
気付くと彼は子供になっていて、しかも時代までかなり昔に遡っていた。
そこは貧しい村の農家らしく、今の父はその家の長男であるらしい。
さっきまでリビングで酒を飲んでいたはずなのに……と混乱する父。
しかしその場の展開に流され、畑仕事にかりだされてしまう。
わけがわからないまま労働し、クタクタになりながら戻った農家の自宅。
するとそこに小さな娘がやってきて、頑張った兄(※父)にご褒美だと言い饅頭を渡す。
無邪気に笑うその娘はこの家の末娘。戸惑いながらも饅頭を受け取る父。
農家の両親は長男(※父)の働きぶりを褒め、皆が長男ぐらい働ければ……と語る。
相変わらず戸惑っている父だが、手放しに褒められたことで少しばかり嬉しさも感じていた。
560:(2/3):2006/10/09(月) 21:03:18 ID:H4xMY4Ma0
その夜、父は農家の長男として眠りについた。が、夜中にふと目が覚めてしまう。
寝ぼけた目であたりを見渡すと、暗闇に紛れて農家の両親が末娘の布団の傍らに跪いているのが目に入る。
何をしているのかと目を凝らすと、なんと両親は末娘の顔に濡れた布を被せて窒息死させようとしていた。
驚いて止める父。しかし両親は、仕方がないんだと涙ながらに言う。
貧しいこの村ではこういった口減らしがよく行われているのだった。
しかし父は納得できない。脳裏に、無邪気に笑っていた幼い妹の顔を思い出し涙を流し叫んだ。
「だからって、親に子供の命を奪う権利なんて無いはずだ!」と。
次の瞬間、父は現代に戻っていた。
悪い夢でもみていたようだと今までの自分を省みながら髭をそり身支度を整え、
これからまた再就職に向けて一から努力しようと考える。
その顔はリストラされる以前の、優しかった父のものに戻っていた。
実は父の中の悪いものは座敷童子が食べてしまったのだ。
不幸は自分にとってのご馳走なのだと座敷童子は言う(不幸を食べるから幸せしか残らないという仕組み)
優しい父親が戻ってきたと大喜びの少女。
座敷童子も喜んだのだが、家に充満していた”嫌な感じ”の原因である父の中の悪いものを食べたにもかかわらず
まだその”嫌な感じ”が家に残っていることに気付き微かに不安を覚える。
身支度を整え終わった父はこれまでのことを詫びようと母の部屋へ向かった。
途中に少女が話し掛けたが、父はなぜか少女には構わない。
もしかして何か怒らせたかな?と不安がる少女。座敷童子も不思議がる。
と、ちょうど母が部屋から出てきた。化粧をし荷物を持ち、まるで家出でもするかのようないでたちで。
「どこに行くんだ」そう尋ねる父に、母は「家を出て行く」と答えた。
父はこれまでのことを謝ると共にこれからまた頑張っていくということを話すのだが、
母は決して聞き入れようとはしない。彼女は更に「好きな人がいる」と告げた。
仕事を探そうともせず酒に溺れ暴力をふるう夫とは違う優しい人なのだという。
561:(3/3):2006/10/09(月) 21:04:06 ID:H4xMY4Ma0
父は絶望するが、とりあえず大事な話なのだから娘の意見も聞こうと提案する。
自分たちだけの問題ではなく、娘にとっても大きな関わりのあることなのだからと。
そうして娘の部屋に向かう父。すると母は血相を変えて「やめて!」と叫んだ。
意味がわからず、足を止めない父。尚も止める妻に構わず、彼は娘の部屋のドアを開けた。
途端、明らかな死臭が鼻を突く。部屋の中には、既に死後数日が経過した娘の死体が放置されていた。
娘を殺したのは母だった。彼女は涙ながらに理由を話す。
好きになった人と一緒になるために家を出ようと決めたけれど、
娘がいることで相手に嫌われるのではないかと思うと恐ろしくなった。
好きな相手に嫌われることがなによりも辛いからだ。
しかし、憎い暴力夫の元に大事な娘を残してなんかいけない。
あの子は自分にとっての一番の宝物なのだから。
だから、眠っている間に首をしめて殺したのだという。
母は涙を流しながら叫ぶ。
「娘が大事か?当たり前でしょう!」と。
一部始終を見ていた座敷童子は愕然とした表情で立ち尽くしていた。
今まで一緒にいたはずの少女の姿はもうどこにもない。
座敷童子が家に入った瞬間に感じた”嫌な感じ”の真の正体は父ではなく、
殺された娘の存在だったのだ。
殺された少女はそれでも両親のことを思い、偶然に出会った座敷童子に願いを託したのだった。
おわり
父親も大概アレなんだけど、これ結局のところ母親が一番ひどいような気がする。
577:本当にあった怖い名無し:2006/10/10(火) 00:27:55 ID:L7lzgHqh0
>>561
座敷わらしが意外に鈍いのが後味悪い