後味の悪い話

【後味の悪い話】ゲーム『デス・ストランディング』ストーリー

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※ゲーム『デス・ストランディング』のあらすじネタバレ注意

105:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 13:38:25.83ID:wBqgkpSP0
『デス・ストランディング』に登場する中ボスの1人、クリフ(クリフォード・アンガー)のエピソード
ちなみにクリフはデスストの人気投票で1位になった人気キャラでもある

“あの世”から死者の魂が「座礁体(BT)」と呼ばれる恐ろしい化け物となって現世に出現する「デス・ストランディング(死の座礁)」という怪奇現象が発生するようになった
人類の絶滅のという窮地に立たされたアメリカ合衆国は、座礁体の驚異に対抗するために「BB(ブリッジ・ベイビー)」という物を極秘発明する
BBは妊婦の胎内から摘出されてガラス張りのポッド(子宮の子宮)に詰められた胎児であり、普通の人間では目視出来ない筈の座礁体の存在を感知する能力を備えている
そして普通の人間は、BBと意識を繋いで感覚をリンクさせることにより、BBの感知している座礁体の姿を見ることが可能となるのだ

クリフ(クリフォード)はアメリカ合衆国の退役軍人であり、数多の戦場で部下の命を救って来た英雄的な戦士であった
DS(デス・ストランディング)以降、国が進めているBB計画を知ったクリフは、危篤状態の愛する内縁の妻(籍は入れていない)のお腹にいた自分の子供をBBの実験体として国に提供することに同意した
(後の「お腹の子の命だけでも助かる」というセリフから推測するに、クリフは国の甘言に騙されてBB計画に同意したのかもしれない)
クリフは頻繁に研究施設を訪れて、BB化された我が子と面会し、ポッドのガラス越しに様々なことを語りかけた
本を読み聞かせたり、妻との思い出を語ったり、子守唄を歌ったり。クリスマスにはサンタに扮してプレゼントを持って現れたり、我が子の誕生日(たぶん、我が子が母親の胎内から摘出された日)にはケーキを用意してお祝いをした
「いつか君にも見せてあげたい。世界はどこまでも繋がっているんだ。たから、ここ(ポッドや研究施設)を出れば、月にだって行けるんだ」
クリフは、いつかポッドを出てBBではなく普通の人間となった我が子と一緒に暮らせるという幸せな未来が来ることを願っていた

106:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 13:39:06.42ID:wBqgkpSP0
しかしクリフは、かつて戦場で命を救ってあげた元部下から、BB計画の全貌が人権を無視した非人道的な内容である真相を明かされる
まず、BB化された胎児はポッドを出ると高確率で死ぬのだ。つまりBBはポッドの中で短い一生を終えるしかない
そして、国はBBのことを人間ではなく「装備、兵器」の類として、使い捨ての消耗品とみなしいてた
そしてクリフの子供はアメリカ再建の礎として特別な「人柱」として使われる予定だったのだ
この事実にクリフは失望し、BB計画の首謀者と口論し、ヤケ酒を飲んで荒れ、やがて国に反逆する決心をする
ある夜、クリフは元部下の手を借りて研究施設から我が子を持ち出して逃亡しようとした
しかし失敗してしまい、警備兵に追われ、何発もの銃弾を浴び、死亡した

主人公のサム・ポーター・ブリッジズは何故か「死んでも“あの世”から現世へと帰還出来る」という異能の能力を持っており、座礁体の徘徊する地上を移動して物資を運び、籠城生活を送る人々の生活を支える「配達人」を生業としていた
だが、ある悲劇的な出来事を経てサムは心を閉ざしてしまい、他者と触れ合い繋がることを極端に恐れ、孤独を選ぶようになった
そんなサムに、アメリカ合衆国再建を掲げる機関から「遺体を火葬場まで運んで焼却してほしい」という配送依頼が届く
人間の死体は死亡から一定時間立つと座礁体へと変貌する。それを防ぐためには一定時間以内に専用の火葬場で死体を跡形もなく焼却する必要があるのだ
サムは依頼品の詰まった死体袋を背負って山頂の火葬場へと向かい、依頼品を開いて見てみると、「まだ生きているBB」が含まれていた
音声通信で機関の仲間に連絡を取って確認してみると、その「BB-28」は欠陥品であるらしく、先日発生した都市がまるごと1つ消滅して1万人以上の市民が犠牲となるという痛ましい事故の一因になったらしい
しかしサムは、無垢な胎児であるBB-28を焼却処分するなどという事に躊躇し、依頼に逆らってそのままBB-28を自分の装備品にして持ち帰ってしまう

107:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 13:42:14.14ID:wBqgkpSP0
その後、サムは「アメリカ合衆国再建」という目的の依頼を引き受け、BB-28を連れてアメリカ大陸を横断する壮大な旅に出た
旅の中でサムとBB-28は絆が深まっていき、いつしかサムは無意識のうちにBB-28に「ルー」という名前まで付けてしまっていた
機関の仲間は、BBは消耗品の装備に過ぎないのだから、名前なんて付けてもお別れする時に辛くなるだけであり、感情移入は危険だ、と怪訝そうに語る
(サムは過去に愛する身重の妻をDSで亡くしており、「ルー(ルイーズ)」というのは生まれてくる子供に付ける予定だった名前。つまりサムはBB-28に、 生まれてこれなかった自分の子供を重ねている)

旅の中でサムは座礁体に立ち向かうために幾度もルーと意識の接続を行うのだが、その際に時折、奇妙なフラッシュバックを断片的に見ることがあった
BBの父親であるらしい謎の男(クリフ)が、我が子であるBBに語りかけているという光景だ
サムがそのフラッシュバックについて機関の仲間に報告すると、「意識を接続していることでルーの記憶がサムに流れているのかもしれない。そういう事例はたまに有る」との返答だった

ある時、サムは謎の大嵐に巻き込まれ、気が付くとDS以前の時代の戦場(最初の1回目は第一次世界大戦)の真っ只中に迷い込んでいた
後の機関の仲間達の分析によると、そこはあの世とこの世の狭間的な異次元の一種であるとのことだった。戦争などで多くの死者が出ると、大量の負の感情が絡み合い、この「地獄」のような悪夢の異次元を形成するらしいのだ
悪夢の戦場の中でクリフが兵士として戦い続けていた
クリフは、ルーを身に着けているサムを見ると、「私の子供を返してくれ!」と悲痛なことを言いながら襲いかかって来る
サムは命辛々クリフを撃退し、悪夢の戦場を脱出して現実へと帰還する
(その後、2度目、3度目の悪夢の戦場を経験することになり、その度にクリフとのボス戦になる)

108:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 14:06:24.58ID:wBqgkpSP0
機関の仲間によって謎の兵士クリフやBBの事が調べられていき、サム達はクリフの正体やBB計画の闇を知っていくことになる

サムの旅の裏では陰謀が渦巻いており、何者かが意図的にDSを引き起こそうとしていた
当初はテロ組織による犯行かと思われていたが、機関の仲間はクリフこそが諸悪の根源なのだと推測した
「国に騙されて愛する我が子(ルー)を奪われ、その末に殺されたクリフは、死後に怨霊のように座礁体となって国家を恨み続け、DSを引き起こすことによって復讐を果たそうとしているんだ!」
サムはDSを阻止するためにクリフとの最終決戦に挑み、激戦の末に勝利する
サムは瀕死のクリフに歩み寄ると、せめて最後に我が子を抱かせてあげたいと考え、ルーを差し出した
「あんたはルーの父親なんだろ?」
クリフはルーを受け取ると、涙を流してサムを抱き締めた
「サム・ブリッジズ。お前は、人と人を繋げる架け橋となれ」

サムはクリフとの決着を終えて現世へと帰還する
しかし状況は何も好転していなかった
実は裏で糸を引く黒幕が他に存在し、人類を絶滅させる地球規模のDS「ラスト・ストランディング」が引き起こされようとしていた
サムは人類を救うために突き進み、ラスボスを倒して黒幕の存在する異次元へと突撃し、人類絶滅計画を阻止することに成功する

109:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 14:07:00.64ID:wBqgkpSP0
こうしてサムは世界を救ったが、最後に悲しい事を告げられる
ルーの廃棄処分が正式に決定したのだ。これは再建された新生アメリカ合衆国よ大統領の直々の命令であり、逆らう事は重罪とされる
サムと共に死線を潜り抜け、限界を超えて戦い続けたルーは、BBとしての力を使い果たして「機能停止(実質的な死)」を迎えてしまったのだ
放っておけばルーは座礁体と化して人々を危険に晒すだろう
サムは、もう動かなくなったルーを焼却処分するために火葬場へと向かうが、やはりルーを焼却処分すること躊躇い、せめて最後にもう一度だけルーと接続する
最後の接続では、今までで見えなかった記憶が見えた

生前のクリフは我が子を救い出そうとしたが、何発もの銃弾を浴び、追い詰められて倒れる
BB計画の首謀者はクリフからBBポッドを奪い取り勝ち誇る
しかしBBポッドの中は空であり、首謀者は悲鳴を上げる
クリフは我が子が生き延びるという僅かな可能性に賭け、BBポッドを開いて解放した我が子を懐に隠し持ってずっと庇い続けていたのだ
最後の瞬間も、クリフは我が子に語りかけた
「俺は、お前達(妻と我が子)のことが怖かった。愛するものを持てば、戦場で戦うことが出来なくなると思っていた。だが、それは違った。愛するものを持つからこそ、人は強くなれる。お前達がそれを教えてくれだ」
「俺の人生は常に崖っぷちに立たされているようなものだった。対岸にいる幸せそうな人々を遠くから眺めるだけの人生だった。
だが、お前は違う。お前は架け橋となり、人と人を繋ぎ合わせろ。
サム・ブリッジズ」

110:本当にあった怖い名無し2020/07/11(土) 14:07:35.72ID:wBqgkpSP0
クリフの我が子とはサムのことであり、サムの実の父はクリフだった
サムが見ていた記憶はルーの記憶ではなく、ルーが見ている「サムが忘れていた胎児だった頃の記憶」がサム自身に逆流していたというのが真相だったのだ

クリフの願いも虚しく、胎児のサムはそのまま一度命を落としてしまっていた
あの世へと流れていく胎児のサムの魂を、黒幕が見付けて拾い上げた
後に絶望の果てに人類絶滅を目論むことになる恐ろしい怪物の黒幕だったが、人の心が無いわけではなく、哀れみからサムの「“あの世”との繋がり」を断ち切って現世へと送り返した(これによりサムは現世に存在する限りは死ねない存在となった)
こうしてサムは蘇生し、BBとしての能力を失ったので、普通の子供として育てられたのである

記憶の世界から現実に引き戻されたサムは、父親が自分にしてくれたのと同じようにBBポッドを開いてルーを解放した
そして必死にルーに心肺蘇生法を施し、ルーの名を呼んだ
それでもルーは動かない。もう駄目かと思われた次の瞬間、ルーは奇跡的に息をふきかえして産声を上げる
サムは号泣してルーを抱きしめる
そんなサムとルーの傍らに、まるで二人を祝福しているかのように胎児型の小さな座礁体が漂っていた

ご愛読ありがとうございました。大量の在庫を抱えた小島監督(笑)の次回作にご期待ください

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