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584:本当になかった怖い名無し :2006/11/10(金) 14:38:23 ID:rTYbFSLd0
稲川の携帯サイトの話。
親を亡くしたある少年が京都の問屋に丁稚として雇われた。
少年には身寄りがなく、売られるような形で丁稚奉公に出された。
少年は根は優しい性格ながら、一度言い出したら聞かないところがあり、それが店の旦那筋に嫌われいじめられた。
他の丁稚よりもきつい仕事を言いつけられたり、わざとご飯の量を減らされたりきついいじめにあった。
昔のことで休みなどと言うものはない。
給料なんて以ての外、食わせるだけで精一杯。
朝から晩まで仕事漬けの毎日。
少年の夢は番頭になること。
店をまかされて切り盛りする。
番頭になりたいために少年は必死で耐えた。
少年は店の者たちにきびしく当たられ、ひっぱたかれ、殴られ、蹴られる。
それでも少年の心のよりどころは、自分の母親が死ぬ前に言ったこと。
「一生懸命やれば伝わるもんや。一生懸命やれば伝わるもんや。」
そう自分に言い聞かして自分を励ましていた。
ある夜、少年は寝ているところをいきなり叩き起こされる。
「こいつ何度いうたらわかるんや」とささいな事を理由に旦那衆にいきなり殴られた。
外で一晩頭を冷やせと外につまみ出された。
少年は「きっと一生懸命やったら伝わるもんや。一生懸命やったら伝わるもんや。」と体を丸めて店の外でうずくまっていた。
(続く)
585:本当になかった怖い名無し :2006/11/10(金) 14:39:45 ID:rTYbFSLd0
朝、店の人が外に見に行ったときには少年は死んでいた。
季節は夏だったが、盆地の京都は朝晩が冷える。ましてや少年は飯を減らされて栄養が少なかった。
それからその店に怪事が続く。
店の者がやめていく。
丁稚や女中が次々に辞め、しまいには出入りの商人たちでさえ店によりつかなくなった。
主人はどうしたのか聞くと皆、「聞いた」と言う。
店の丁稚部屋から「一生懸命やれば伝わるもんや。一生懸命やれば伝わるもんや。」との声が聞こえるという。
とうとうそこの店の旦那は気がおかしくなって、
ある日、大きな橋の上から落ちて死んでしまった。
周囲からは「祟りだ」と噂になって、
まもなくその店も潰れてしまった。