後味の悪い話

【後味の悪い話】ホラー漫画「恐之本」のヒトダマ

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251:本当にあった怖い名無し2020/07/23(木) 00:12:56.92ID:khDstdqJ0
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高港基資のホラー漫画「恐之本」の「ヒトダマ」というエピソード。
内容はちょっとうろ覚えだが書く。

主人公の青年は、ある日から空高くに奇妙な集合体が浮かんでいるのを見るようになる。
それは髪や衣服の無い無数の人型物体が集まった巨大な塊だった。(以下ヒトダマ。この語は本編では使われない)
他の人間には見えておらず不気味さを感じるが、自身に影響は無いため気にせず普通に生活をしていた。

ある日主人公が街を歩いていると、人型のものが1体、ヒトダマを離れて地上に降りる。そして主人公の側に停車中の車に入り込むのを見た。
次の瞬間、停車していた車は大型トラックに激突されて潰された。その車の中にいた人は即死した。

また別の日、家にいた主人公はまたヒトダマから降りた人型のものが近所の家に入り込むのを見た。
間もなくして、その家の人は亡くなった。
一連の異変を見た主人公は、ヒトダマとそこから降り立つ人型は人間に死を呼び込む良くないものだと確信した。

それからまた別の日、空港にいた主人公は空から例の人型が大量に降り立つのに気付く。
そしてある旅客機に搭乗予定の客100人超に対して付きまとい、入り込むところを見てしまう。
これから大惨事が起こると察した主人公は、どうにかそれらの客を救おうと搭乗予定の便を欠航させようとする。
しかし一個人が訳の分からない理由で飛行機のダイヤを止めるのは無理がある。
苦肉の策として、主人公は電話で爆破予告を仕掛けた。

現場は混乱。すぐに逮捕される主人公。
しかしこれであの人たちは助かる。と思った矢先、意に反して予定通りに離陸した旅客機が上空で爆発するのをパトカーの中から見てしまった。
「何であの飛行機を発たせた!」と取り乱す主人公を見て何かを察した警察官は、主人公をある懇談会に招待する。

252:本当にあった怖い名無し2020/07/23(木) 00:13:24.76ID:khDstdqJ0
(2/2)
懇談会には主人公と同じくヒトダマと人型が見える人(20人ぐらい)が全国から招待されており、主人公は歓迎を受ける。
そこで知ったのは、ヒトダマの存在はごく一部の公務員を除き知らされていないこと。
ヒトダマは別に悪いものではないということ。
そして、ヒトダマから降りてくる人型を見てもそれによる死を回避させてはならないこと。
過去に何らかの理由でその死を回避した人が数人呼ばれていたが、それ以来彼らは死ぬことができなくなったようで、
どれだけ歳を取ってもどんな大怪我でも、どんな苦しみを味わっても死なず、それでも長い時を経て手足が風化して擦り減る。
傷は歪に治癒するだけで、そのうち言葉も感覚も失う。酷い人はパイプ椅子に全身が横たわるサイズに擦り減って人間の原型を留めていなかった。
人間が本当に死ぬチャンスは一生に一度きりの運命的なもので、それをもたらすのがヒトダマとされている。そしてもし回避した場合、二度とそれはやって来ない。

主人公は、保釈後も空のヒトダマが見える生活を送る。
例の人型が降り立っても、それに対してアクションを仕掛けるだけ後々他人を苦しめることになる。
主人公はそれを心得て、何が見えても知らないふりをして生きるしかない。

こういうタイプの運命論見たのはこの漫画が初めてで印象的だったけど
色々と名状しがたい複雑な気分になる話だった。

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