後味の悪い話

【後味の悪い話】星新一「開業」

732:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/12(木) 14:50:23.58 ID:Qx9keIkUO.net

星新一「開業」

八郎、片想いの花子に恋人ができたのが面白くない。
小料理屋の個室に熊三を誘い、くだをまく。
いっそ男を殺してやれば花子は振り向いてくれるかな、と言う八郎をなだめる熊三。
奴はお前より若くイケメンで金持ちで頭がいい、刺殺でも絞殺でも奴は身が軽いし力もある、酒に毒を盛ろうにも奴は酒なんか飲まない、というわけ。

翌日、八郎に殺し屋から電話があった。
小料理屋の隣の個室で話を漏れ聞いたそうだ。
喜んで熊三に電話で話すと、お前はそそっかしいからかわりに俺が交渉してやろう、アパートの裏庭に隠れてろ、とありがたい申し出。

熊三が八郎と入れ替わり、待つうちに殺し屋が来た。平凡な中年男だ。
本当にできるんですか、と訊くと、小説だとずいぶん儲かる商売のようだから開業した、とニコニコしている。
やりそこなったらどうするんです、と続けると、「ちょっと失礼」と部屋を出た。
アパートの共同便所にでも行ったのか、と思うとさっぱりした顔で戻ってきた。
「大丈夫、おまかせください」
「その根拠は」
「お話しするうち不安になってきたんですが、試しにアパートの裏庭にしゃがんでいた間抜け面の男をですね…」

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