後味の悪い話

【後味の悪い話】星新一の短編小説「宿命」

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657:星新一「宿命」1/3@\(^o^)/:2015/03/06(金) 16:32:52.01 ID:KNZl4Ekl0.net

とある星にはたくさんのロボットがいて、
そのロボット達は鉱石を掘って、自分たちと全く同じロボットを作っていた
体の表面のナンバーまで、まったく同じに刻んでいた。
一日も休むことなくその作業は続けられ、数は増えていった。
あるロボットは「俺たちはどうしてここにいるんだろう?」と思うが、
「最初の一人がこの星に現れて、そいつが仲間を増やしていった。それ以外は知らない」と別のロボットが答えた。

やがてロボットの数がある数に達した時、ロボット達は自分達と同じロボットの生産を止め、
今度は宇宙船を作ることに専念するようになった。
何故そんなことに専念するのかは分からない。ただ、情熱の赴くままにロボット達は行動していた。
ロボット達は「宇宙船を完成させて星々の海に飛び出せば、何かいいことがあるような気がする」と思いながら、宇宙船の制作を続けた。

658:星新一「宿命」2/3@\(^o^)/:2015/03/06(金) 16:35:41.05 ID:KNZl4Ekl0.net
そしてついに宇宙船が完成した。
ロボット達の大半は長年の宇宙船製作でガタが来ていたが、一体だけガタがきていないものがあったため、
そのロボットが代表として宇宙船に乗り、皆に見送られながら宇宙へ出発した。

宇宙船で無重力空間に出ると、ロボットに新しい思考がよみがえってきた。
向かうべき場所がはっきりとわかったのだ。
「自分が向かうべき場所は地球だ。急がねばならない」
ロボットは宇宙船のスピードを上げ、地球へ向かった。

そして、なんとか地球へたどりつくことができたが、 速力は緩まず、着陸装置はうまく作動せず、
宇宙船は大地に激突し、ロボットもろとも爆発四散した。

659:星新一「宿命」3/3@\(^o^)/:2015/03/06(金) 16:43:12.29 ID:KNZl4Ekl0.net
大破した宇宙船とロボットの周りに民衆が集まり始める。
その中にマイクを持った男がいた。

「みなさま、やっと一体が帰ってきました! 各星にばら撒いたロボットのうち、
どれが一番早く地球へ帰ってくるかを競うという賭けであります!
ただ今破片の調査がされていますので、まもなくナンバーが分かるでしょう!
あなたがお買いになったナンバーと一致していれば、高額の配当を手にする権利に恵まれるというわけです!」

結局、ロボット達は地球の人間の賭けごとのために星々へ放逐され、
地球へ帰ってくることを宿命づけられていたという、物悲しいオチ。

ちなみに、この話は昔NHKで短編アニメ化されていて、
地球に帰ってきたロボットが自分達に課せられた宿命の正体を知り、
目からオイルを流すというシーンがあり、未だにそのシーンが記憶に残っている。

660:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/06(金) 17:28:51.22 ID:S6vzftdZ0.net
>>659
これ漫画にもなってる
そっちではロボットの残骸に雨が当たってちょうど涙に見えてた

671:本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2015/03/06(金) 22:58:00.36 ID:s4c3wtfr0.net
>>660
しかも、漫画版の作者は「やさしい悪魔の物語」っていう、
後味のいい漫画が代表作なんだよな……

途中の
「このロケットが完成して、星々の海に乗り出せるようになれば……
きっと何か良い事がある。 みんな、そんな気がしないか?」(微笑み)
「ああ、するともっ!」「理由は分からないが……」「みんなで宇宙を目指すんだっ!」(沸き立つロボット達)
「『宿命』と呼ばれる、ものなのだろうなっ」(決意を固めた表情で、星空を見上げながら)
ってロボット達のやりとりが、結末を知った後にまたキツイんだよな

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