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849: ↓1/3:21/11/19(金) 04:39:52 ID:IhW1
かなたの日記 曽根まさこ
主人公は男子高校生。
風変わりな同級生の女の子かなたと知り合い、仲良くなる。
かなたは幼い時に両親と弟を事故で亡くし、祖父母に育てられた。
ある時、祖母が願掛けをしていたので、祖母をまねて自分も願掛けするようになった。
願掛けとは神仏に願い事をして、その願いがかなうように、物断(ものたち)、百度参りなどをすること。
祖母は物断をしていたので、かなたも物断した。
たとえば祖母が病気で寝付いたら
「お婆ちゃんがよくなるまでおやつは食べない」
など。
それが変化して、願掛けなしでも毎日ささいな物断をするようになった。
以下、かなたの物断の内容。
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朝、日記帳に「本日の物断」を一行書く。
たとえば、
・傘は使わない
・ペンを左手で持つ
・甘いお菓子を食べない
・余計なおしゃべりをしない
など。
成功したら、夜、寝る前に日記に「成功した」と書く。
失敗したら、「失敗した」と書く。
失敗しても、ペナルティなどはなし。
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850: ↓2/3:21/11/19(金) 04:40:50 ID:IhW1
主人公は驚きつつも、
「まあ、そういうことってあるよね」
程度で流し、かなたと付き合いだした。
主人公は最初のうちはかなたの物断を面白がっていたが、次第にイライラするようになった。
付き合いだして一年後、主人公はかなたに
「物断をやめてくれ。やめられないなら別れる」
と告げた。
かなたは
「私、幸福になっていいのかな? 本当に幸せになっていいの?」
などと、しばし躊躇った後に
「物断をやめる」
と言った。
主人公は大喜びでかなたを抱きしめた。
かなたの両親と弟は、○○高原の湖でボートに乗っているとき、強風でボートがひっくり返って溺死した。
主人公はかなたと旅行で○○高原の湖に行き、今は亡きかなたの家族に挨拶した。
旅行の後、試験のためしばらくかなたと会えない日が続いた。
そんな中、かなたから郵送で手紙が届いた。
851: ↓3/3:21/11/19(金) 04:41:43 ID:IhW1
以下、手紙の内容
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物断をやめてから毎日がとても辛いの。
(主人公)くんと一緒にいるときは幸せだけど、一人になったら落ち着かなくてたまらない。
それに、(主人公)くんと○○高原の湖に行って、事故のことを思い出したの。
事故の原因は、ボートで私がはしゃいで暴れたからだった。
みんなが死んだのは、私のせいよ。
だから私もみんなのところに行く。
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二日後、かなたは○○高原の湖から死体で発見された。
主人公は
(かなたの物断は、贖罪だったんだ。
一人だけ生き残てしまった後ろめたさ紛らわせるために必要なことだった。
それを僕が止めさせてしまった。
かなたが死んだのは、ぼくのせいだ)
と、深く悔いた。