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895本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:52:51.72ID:+3BRR2PI0
主人公は凄腕鑑定士の老人
鑑定を依頼されると次々と年代や材質、真贋などを正確に見極め、鑑定品をオークションに出品し、多大な富と名声を得ていた
しかしこの鑑定士には秘密があった。
本物の絵画を贋作と偽り、往年の友人に格安で落札させ、自分のコレクションにしていたのだ。
鑑定士の広大な屋敷の秘密のドアの向こうにはそうした不正で集めた女性の絵画が壁一面に飾られていた。
ある日、鑑定士は電話で「両親が亡くなったので遺品を鑑定してほしい」というクレアと名乗る若い女性からの電話を受ける
鑑定士はクレアの屋敷を訪れるが、クレアは姿を現さず、代わりに両親に長年使えてきた使用人が屋敷を案内してくれた
クレアは広場恐怖症で長年人と会っていないという
屋敷の中は埃まみれだが年代物の家具などがたくさんあった
鑑定士は屋敷に落ちていた歯車をハンカチに包み、密かに持ち帰った
896本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:53:51.26ID:+3BRR2PI0
鑑定士が屋敷から戻り、凄腕のメカニックにその歯車を見せるとその部品が18世紀のオートマタ(喋るロボット)の一部であることがわかる。
復元出来れば莫大な金額になると目論んだ鑑定士はその後も鑑定と称して屋敷へ足を運び、歯車を集めてはメカニックの工場へ持って行った
屋敷へ通ううちに、クレアが壁の向こうにいることが分かり、会話をしながら徐々に心を通わせる2人
その部屋にはバレリーナの絵画があり、依頼人によるとそれは若き日のクレアの母であるという
「この絵画の女性に似ているのだろうか」
クレアの顔を一目見たくなった鑑定士は部屋から出たふりをしてそっと物陰に隠れ、クレアが壁の向こうから出てくるのを待った
そこには美しい若い女性がいた
鑑定士は別の日にもまた覗き見をしようと物陰に隠れたが、運悪く携帯を落としてしまい、クレアにバレてしまう
動揺するクレアに「一目見たかったんだ」と熱心に訴え、2人は和解する
そこから鑑定士とクレアは心の距離を縮めていく
ある日の食事中、クレアは鑑定士に「贋作をどうやって見抜くのか」と尋ねた
鑑定士は「どんな贋作の中にも真実が隠されている。本物を真似て偽物の絵を描く人間は、その絵の中に本物とは違う本当の自分の証を入れたくなるんだ」と答える。
897本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:54:30.43ID:+3BRR2PI0
またオートマタの部品もかなり集まり、完成に近づきつつあった
部品を持ち込む度にメカニックに恋の相談をしていた
鑑定士はずっと仕事ばかりしていたので、これが初恋、女性との接し方はさっぱり分からないのであった
そんなある日、鑑定士がお昼ご飯を差し入れに屋敷を訪れるとクレアがいない
広場恐怖症を抱えていることを考えると遠くには行っていないはずだ、と探し回る鑑定士
メカニックや使用人にも協力してもらうが見つからない
そこに秘書がやってきた「オークションの開始時間を過ぎています」
鑑定士は動揺のあまり、その日のオークションでは別の作品の紹介をしてしまうなど醜態を晒す。
鑑定士は、クレアが自分にとって大きな存在であることを自覚する
クレアは、屋敷の屋根裏部屋にいた
「過去に恋人とプラハのナイト&デイというお店へ行った帰り、恋人は二度と帰ってこなかった。あなたを好きになり、そのトラウマが蘇った。私を見捨てないで」
鑑定士はクレアをそっと抱きしめるのであった
鑑定士はメカニックに恋が実ったことを報告し、クレアを紹介する
898本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:56:32.98ID:+3BRR2PI0
両親の遺品の鑑定が終わり、オークションに出品するためのカタログが作られた。
ところがクレアは「やっぱり売るのはやめようかと思う」と言い出す
鑑定士は少し間をおいて「わかった。」と答える。
そして、次のオークションで鑑定士を引退することを表明した
その日の夜、鑑定士はクレアを例の部屋に入れ、自分のコレクションを見せる
感動したクレアは「この先何があろうとあなたを愛してるわ」と言う。
そして最後のオークションが終わり、鑑定士が家に帰るとクレアがいない
広い部屋の中を探し回り声をかけていると、使用人が「メカニックと出かけましたよ」と言う
鑑定士はふと目に止まったクレアの母親を描いた絵画を例の部屋へ飾りに行こうとする
セキュリティドアが開いた瞬間、鑑定士の目に飛び込んできたのは膨大なコレクション絵画が全てなくなったまっさらな壁だった
899本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:57:19.21ID:+3BRR2PI0
思わず落としてしまったバレリーナの絵画の裏側を見ると、「親愛なる鑑定士へ 友人より」の文字
全て最初から長年鑑定士と不正をはたらいていた友人に仕組まれていたのだ
鑑定士が振り返るとそこにはメカニックが作っていたオートマタが人の形をしていた
鑑定士が近づくと「偽りの中にも真実がある」と録音がエンドレスで流れる
鑑定士が屋敷の目の前にある喫茶店に入ると、完全記憶能力を持つ「クレア」と名乗る女性がいた
「あの屋敷から若い女性が出入りするのを見たか?」と尋ねると、
「231回」と答えた
鑑定士の愛したクレアは広場恐怖症などではなく、普通に出入りしていたのだ
900本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 20:57:43.42ID:+3BRR2PI0
鑑定士はクレアとの甘い日々を回想しながらプラハへと向かった
プラハにはクレアが行っていた「ナイト&デイ」というお店が存在していた
鑑定士が店に入ると「おひとりですか?」と聞かれる
「いや、連れを待っているんだ...」
どんな偽りにも必ず真実はある、という言葉を信じて鑑定士はクレアを待ち続けるのであった
ちなみにこの鑑定士の名前は「ヴァージル・オールドマン」訳して「童貞老人」
901本当にあった怖い名無し2022/04/16(土) 23:15:53.72ID:WYbCdVah0
鑑定士なら俺の隣で寝てるよ