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47: 本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 22:20:00 ID:vPw6jXQ00
ある日、貧しい若い農夫が畑で女の赤ちゃんの捨て子を見つける。
「このままほうっておいたらこの子は死んでしまう。
でもつれて帰っても食べさせるものなんてない」
彼は迷った末「いいのか? 俺の家は本当に貧乏なんだぞ」と
いいつつ赤ん坊を家へ連れ帰った。
貧しいながら、農夫は一生懸命女の子を育てた。
子どもは5歳くらいになると農作業を見よう見まねで手伝うようになった。
あまりの可愛さに「俺たちいつも空腹だけど、この子を拾ってよかった」と農夫は思うのだった。
女の子が学齢期になると、農夫は相当無理をして学校へ行かせた。
毎日学校から帰ってくると、学校であった出来事を話したり、
習った歌を歌ってくれる女の子をみて「学校へやってよかった」と農夫は思うのだった。
しかし彼らのささやかな幸せが断ち切られる日が来る。
ある日女の子が高熱を出して倒れたのだ。
医者に告げられた病名は、農夫が聞いたこともない難病。
しかも治療には莫大なお金がかかるという。
48: 本当にあった怖い名無し:2007/04/03(火) 22:21:32 ID:vPw6jXQ00
「お父さん、治療はもういいよ」という女の子に農夫は
「大丈夫だよ、家を売って治療費を作るから」
しかし女の子は首を振った。
「お父さん私知ってるんだよ。家を売っても50万円、でも治療費は700万円もかかるんでしょ」
「お父さん、あの日畑でお父さんが私を拾ってくれなかったら、私は
死んでいた。でもお父さんと暮らせた8年間、私はとても幸せだった。
それで十分だよ。だから治療はもういいよ」
農夫は泣きながら、女の子を抱いて家へ帰った。
「せめて死ぬ前になにかしてやりたいが、なにか望みはあるか」と女の子に聞いたところ
「きれいな洋服を着てお父さんと写真を撮りたい」と言ったので、
農夫は、靴下さえはかせたことのない貧しい生活に、この子が文句
ひとついったことのないことを考え、また涙があふれてくるのだった。
彼が女の子の写真を撮ろうと街へ出たとき、この話を新聞記者が聞きつけた。そして記事にした。
たちまち全国から治療費をまかなえるだけの寄付が集まり、
ついに女の子の治療は再開された。
しかし、手遅れだったのか病状は悪化し、「父」に見守られながら女の子はこの世を去った。
お葬式は村の集会所で行われた。
大雨にもかかわらず、多くの人がかけつけ、
会場に入りきれなかった人たちが何重にも、村の小さな集会所を取り巻いていた。