後味の悪い話

【後味の悪い話】レイ・ブラッドベリの超短編

829: ↓五輪終了まで@00:50:29:21/08/08(日) 20:10:31 ID:KuWd
レイ・ブラッドベリの超短編。タイトルは忘れた。

火星を開発することになった。
15人程度の開発チームを火星に送ったが、全滅してしまった。
何度送っても同じだった。
全滅の原因は、分かっていない。
開発チームからは「正体不明の危険あり」とだけ連絡があった。

そして、また新たな開発チーム(15人)が火星に送られてきた。
開発チームは先発隊が建てた基地の一室で、
「先発隊の全滅の理由って、何なんだろうね」
などと話していた。
そこで一人が、
「待って! 私たち、16人いるわ!」
と叫んだ。
開発チーム全員が、室内にいる人数を数えた。本当に16人いた。
だが知らない顔はなく、同じ顔が二つあるわけでもない。
戸惑い、混乱していると、開発チームの一人ジャックが
「そうだ、入り込んでる奴が逃げられないように、ドアに鍵をかけよう!」
と、ドアに駆け寄って鍵をかけた。
そして振り返ったジャックは、仲間たちが自分を敵意のこもった目で見ていることに気づいて愕然とした。
仲間の一人が叫んだ。
「お前だったのか!」
ジャックは自分を見る仲間たちの中に、自分と同じ顔があることに気が付いた。
「俺じゃない!そいつの方だ!」
ジャックは叫ぶが、仲間たちに撃ち殺される。

ジャックは自分の顔をした死体を見て青ざめていた。
「まさか俺に化けるとは…」
一同はジャックを慰めつつ、
「でも、これで危険はなくなったよな」
と、前向きになっていた。
そこで一人が叫んだ。
「待って! 私たち、まだ16人いる!」

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