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186:「桜の森桜の闇」1/3:2006/07/05(水) 21:37:54 ID:3z/p3Wt20
177見て思い出した。
木原敏江のマンガ、夢の碑シリーズの一つ。
時代は鎌倉時代末期。
都に朱夏という盗賊がいた。
ある日朱夏は美しい稚児と知り合い、花陽炎と名付けて自分のものにする。
朱夏には故郷に年老いた母親と嫁がおり、
嫁の白衣は朱夏の母親の面倒をみながら故郷で彼の帰りを待っている。
朱夏が出世のために鎌倉に出る時、白衣は止めた。
しかし朱夏は「唐の昔話では戦に出た夫の帰りを妻は幽霊になっても待っていた、
お前は待てるか?それほど俺を愛しているか?」と聞く。
「私を試すというなら耐えてみよう、私の心を見せてやろう」と白衣は答えた。
「信じていれば待てるはずだ、必ず戻る」と朱夏は出て行ったのだが、6年たっても帰ってはこない。
彼の方は白衣を忘れたわけではない、いずれ帰ると思いつつ好き放題に暮らしていた。
故郷では病にふせっている母親は「自分が死んだら息子のことは忘れて再婚しなさい」と言うが、
白衣は「自分の夫は朱夏だけだ、彼はきっと帰ってくる」と笑っている。
そこには何故か宿を借りた旅人として花陽炎がいた。
そして、とうとう母親が亡くなってしまう。
再婚の話も出るがこの家で朱夏を待つと言う白衣。
あの人が戻ったときに私の心を見せてあげなければと。
路銀を置いていつのまにかいなくなる花陽炎。
187:「桜の森桜の闇」1/3:2006/07/05(水) 21:38:43 ID:3z/p3Wt20
花陽炎は朱夏に母親が死んだこと白衣が今でも待っていることを知らせる。
しかし、花陽炎がいなかったのは二日、故郷まで片道三日はかかるというのに。
ここで花陽炎は人間ではないと朱夏は気がつく。
その後朱夏は襲撃に失敗し、仲間にも襲い掛かられてしまう。
深手は負うがなんとか襲ってきた仲間も殺す。
しかし、町中にに役人がいて逃げることが出来ない。
結局花陽炎の助けを借りて朱夏は故郷へ帰ることにする。
花陽炎から明日、朱夏が帰ることを聞いた白衣は喜ぶ。
彼に私の心を見せてやらなければ、
その時のあなたの顔を想像するのが私の生きがいになっていた、と。
やっと再会し、泣きながら抱き合う二人。
花陽炎は嬉しそうにそれを見守る。
朱夏は白衣に土産を見せる。
白衣は「私も見せたいものがある、私が好きか?」と聞く。
朱夏は「好きだ、妻と呼ぶのはお前だけだ」と答える。
それが聞きたかったと言う白衣。
傷が痛みだし、家に戻ろうとした朱夏が振り返って見たのは、
喉を小刀で突いて倒れていく白衣だった。
白衣にすがる朱夏とこんな結末を望んで力を貸したのではないと思い呆然とする花陽炎。
そこに朱夏が殺した仲間の女が追いかけてきて、
仇討ちだと朱夏に襲い掛かる。
女は殺すが朱夏も刺されてしまう。
188:「桜の森桜の闇」3/3:2006/07/05(水) 21:39:43 ID:3z/p3Wt20
死にそうになりながら、どうして自分が戻ってきたのに白衣が死んだのかわからない、
留守に男でもできたのか母親が死んだのは自分のせいだと恥じたのかと考える朱夏に、
花陽炎は白衣は鬼になったのだと言う。
強くて勝手な朱夏、待てというなら待ちもしよう、
愛した男が言うなら私は言いなりになるしかない。
いつかあなたは知るだろう、
どれほど私が愛しているか、
どれほどあなたを憎んでいるか。
これは白衣の復讐だったのだと気がつく朱夏。
出世しようと都に出たものの、田舎育ちの世間知らずでいくつも手柄を横取りされた。
お家再興の望みも絶たれ、盗賊にまでなって好き放題してきたが、
それもいつでも白衣の元に帰ってやりなおせると思ったからだったのに。
朱夏も死に、死体の上に桜の花びらがつもっていくシーンで終わり。