後味の悪い話

【後味の悪い話】ドラゴンクエスト外伝小説「精霊ルビス伝説」

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93: 本当にあった怖い 2017/09/09(土) 20:38:52.07
ドラゴンクエスト1〜3の外伝作品「精霊ルビス伝説」のなかのエピソード。
人間界と神界のはざまにある精霊界(イデーン)が舞台の物語で、森・炎・大地・金・水の五精霊の長たちが
神の代理として力の弱い精霊たちを治めるという設定。今回はその金の精霊の長がらみの話。

金の精霊の長は女当主で、彼女は婿取りをしたものの長年世嗣ぎが産まれず思い悩んでいた。
そして世嗣ぎの男子を絶対に産んでみせる!とある嵐の夜に家宝として秘蔵していた呪われし盾に
『どんな姿でもよい!私に世嗣ぎの男子を授けたまえ!』と願掛けして女当主は見事に男児を産んだ。

ところが彼の姿は他の精霊とは明らかに異なっていた。
金の毛むくじゃらで額には二本のねじ曲がった角、口から生えた鋭い牙。
女当主の夫は彼女が願掛けする一部始終をこっそり目撃しており、『この息子の姿は、その昔神が精霊界より
追放したという呪われしものどもにそっくりではないか!』と異形の息子を怖れて酒浸りダメ男と化した。

しかし女当主は息子を『この金色の毛並みをご覧なさい!まさに金の精霊一族の長に相応しいわ!
屈強な牙と角はわが一族を守るためにあるのよ!この子は成長すればきっと良き金の精霊の長となる!』
と息子への偏愛と盲目の愛で甘やかして育てた。
金の精霊一族の立派な長となるはずだった息子は、知能も発達せず歳だけ取り、ゆえに成人後も母である
女当主が引き続き長を務めることになり箱入り息子として育てられた。

95: 精霊ルビス伝説(2/2)2017/09/09(土) 22:39:24.42
しかし息子はある日、とんでもない事件を引き起こした。
森の精霊一族の末端にあたる小人の兄弟(作中では終始
マスコット的存在だった)を意味もなくしつこく
追いかけて襲い掛かり、弟を踏み潰して殺したうえ
その弟を逃がそうと囮になって庇った兄をひっつかみ
頭からむしゃむしゃと食べてしまったのだ。

森の精霊一族経由で息子の凶行を耳にした女当主、
その当の息子に駆け寄って言うことには
『大丈夫?変なものを食べたせいでお腹を壊してない?』

それを聞いた夫は、女当主に静かに詰め寄った。
『言いたいことはそれだけか?』
酒浸りダメ男生活を送っていたはずの彼からは、
その日に限って酒の匂いが全くしていなかった。
そしてその後ろ手には剣が隠し持たれていた。
夫がなにかおかしい、と気づいた女当主はなるべく
優しい声音を装いつつ、怯えながら『あ、あなた…?』
と呼び掛けた。その刹那、夫の剣が彼女に突き立てられた。

妻を殺害した夫は息子に向き直ると、『わたしはもっと
早くにこうすべきだったのかもしれない』と呼び掛けた。
知能の低い息子は、父の言葉の意味がわからずに
常のごとくに威嚇すればこの男は直ぐに怯えて逃げると
思ってそうした。ところが父は逃げなかった。

しかも血まみれの剣を片手に彼を屋敷の外、波打ち際まで追い詰める。
そして彼が誰もいない水平線に向かい助けを求める
唸り声をも無視して殺害したのだった。

96 本当にあった怖い名無し 2017/09/09(土) 23:41:49.30
後味悪いかといえばそうでもないがドラクエにそんなエグいエピソードがあったのか

111: 本当にあった怖い名無し 2017/09/11(月) 18:38:52.01
とりあえずこのエピソードで怖いなと思ったのが、父がどうもいつかこんな日が来るだろうと
予測していた上で妻と長男を殺害したことなんだよね。普段は呑んだくれていたくせにこの日だけ
酒を一滴も呑んでいなかった、とか周到に剣を隠し持っていたなどの状況から衝動的に殺害に
至ったのではないと察せるのがなんとも。
『精霊ルビス伝説』はラノベっぽさを出しておいてこんな気の滅入る話のオンパレードです。

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