330: 自治スレでローカルルール他を議論中 2010/10/21(木) 22:28:41 ID:dc5cb3Cw0
軽めなのを2つ。どっちも小松左京。
『空飛ぶ窓』
雪国に住む夫婦とその幼い娘。
ある日、娘が学校からの帰り途中で「窓」を見たと夫婦に告げる。
「窓」は開けた草地の真ん中にぽつんと浮かんでいたらしい。
夫婦は幻か何かだろうと気にも留めなかったが、その翌日、娘から窓の向こうで
拾ったというヤシの実を見せられたため、一緒に見に行くことにする。
現地に行ってみると本当に窓があった。
観音開きとなっており、向こう側には南国の島国の風景が広がっている。
後ろに回ってみると、そちらからはなぜか宇宙空間が見えていた。
気味悪がって離れようとする夫婦だが、既に一度中に入っている娘は
物怖じせず、制止の声を聞かずに入ってしまう。仕方なくそれを追う夫婦。
だが、「なんなんだここは」と話しているうちに、背後からパタンという音が…。
場面変わって数日後。警官達が、夫婦と娘の捜索が進まないことをぼやいている。
数日前に姿をくらませたきり、全く足取りが掴めないのだ。
そのそばでは、捜索に協力している村人達が薪をして暖を取っている。
寒さ厳しい雪国の話だ。薪にくべる木は貴重で、そこら中からかき集めている。
そして積み上げた木片の中にはあの「窓」があり…村人達はそれを火にくべてしまう。
燃え上がった瞬間、何か妙なものが見えた気がしたが、見間違いだろうと判断されてEND。
※この「窓」は、元々は廃校となった学校のもので、宇宙好きの少年と南国に憧れていた
少女が、いつもその窓越しに外を眺めながら夢想していた、という説明あり。
夫婦と娘が帰れなくなっただけか焼かれたのかは不明だけど、なんか、むごい…w
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331: 自治スレでローカルルール他を議論中 2010/10/21(木) 22:30:30 ID:dc5cb3Cw0
『ツウペア』
ある日、男は自分の手から血が流れていることに気付いた。
奇妙な話だが、痛みはないし傷口もない。調べてもらうとそもそも血液型も違った。
そして拭いとっても数日後にはまた同じ現象が起きる。恐れおののく男。
更に数日後、今度は夜中に金縛りで目が覚めた。
部屋の片隅を見ると、何も無い空中から血が滴っている。
いや、違った。よくみればその上には女の顔がある。
位置的には、その女の胸元あたりから血が垂れているようだ。
女の顔に見覚えは無い。なんの祟りだ、と怯えるも、どうしてよいかわからない。
鬱々とした日々を送る男であったが、ある日、町で鋏を買い求めている最中に悲鳴を耳にする。
目を向けると、女がいた。女が自分を見ている。その顔は、あの部屋に浮かんでいたものと同じだ。
声をかけると弾かれたように逃げ出したため、慌てて追いかける。すぐに追いつきもみ合いに。
そしてその拍子に、手に持ったままだった鋏が女の胸、あの血の流れていた箇所に刺さってしまう。
数日後。男は殺人罪で逮捕されていた。
面会に来た友人(オカルトに詳しい)に、男は「あの女は今は幽霊となっているのだろうが、
殺される前の過去に戻って俺を祟りに来ていたということなのか?」と尋ねる。
友人はその問いに首を振った。そして調べてきた次のような事実を教える。
男には双子の兄がいた。生き別れとなっており最早他人だが。
また、殺された女にも姉がいた。そしてその姉は、男の兄によって殺されていた。
姉には婚約者がおり、横恋慕した兄が殺したのだという。
あの幽霊は女の姉だったのかと理解する男。だがなぜ自分に祟るのかが不可解だった。
友人はそれに答える。男の兄は、女の姉を殺した後自殺した。
結婚直前に殺された女の姉は恨む相手がいない。だからお前を身代わりに祟ったんだ、と。
「だがその結果、自分の妹が死んだんだぞ」と男は反論する。友人は更に答えた。
妹にも婚約者がいた。近々結婚する予定だったらしい。姉はそれが妬ましかったんだろう、と。
以上、どこまでも巻き添えで救いも何もあったもんじゃない話だった。