後味の悪い話

【後味の悪い話】スペイン映画『プラットフォーム』

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778: 本当にあった怖い名無し2021/11/07(日) 00:13:16.80ID:dT442SKT0
スペイン映画『プラットフォーム』
牢獄のような部屋が縦に幾つも連なっていて、部屋中央の床と天井には大きな穴が空けられていて吹き抜けになっている。
1日一回、大量の料理を乗せた台座(プラットフォーム)がその穴を通って上の階層から下の階層へと順々に降下して行く。
部屋は相部屋で、一つの部屋に二人の人間が幽閉される。
部屋の中にいる者は、自分の居る階層に台座が来ている間だけは食事をすることが出来る。
上の階層にいる者ほど料理を沢山食べれるが、逆に下の階層の者は食べ残しの残飯を食べることになり、底辺にもなると残飯すら回って来ずに飢え死ぬことになる。
1ヶ月に一度、階層が入れ替えられるため、上にいた者が下に、下にいたものが上に行ける可能性も有る。

主人公は平凡で善良な男だったが、ある理由から、その施設に幽閉されてしまう。
部屋の番号は上から48番目だったから、上にいる94人に食い荒らされた残飯を食べる日々が始まる。
同室となった老人は長期間に渡ってこの施設に幽閉されているベテランで、知っている限りの様々なことを主人公に教えてくれる。
おかしな環境ではあったが、主人公と老人は仲良く過ごした。
やがて1ヶ月が過ぎ、主人公と老人は別の部屋に移されるのだが、そこは171番目の階層だった。
すると老人が豹変し、主人公はベッドのシーツ等で縛り上げられてしまう。
老人が言うには、171なんて低い階層にもなると骨の1本すら回ってこないため、飢え死ねないためには同室の相方を殺して食べるしかないらしい。
主人公は危うく殺されかけるが、逆に老人を返り討ちにして殺害することに成功した。
それ以来、主人公の夢に老人が現れて語りかけてくるようになる。

それから2ヶ月後、主人公は6という上位階層に移され、信心深い黒人と同室となる。
たった10人しか手を付けていない大量で清潔な料理が降りてくるため、主人公は久々にまともな食事にありつけた。
だが、そこで主人公と黒人はある事に気付く。
台座に乗って料理を守りながら下に降りて行けば、飢え死にかけている底階層の人々に食料を届けて救う事が出来るかもしれないのだ。
主人公と黒人はベッドを解体して鉄パイプを武器にし、台座に乗って降下して行く。

779: 本当にあった怖い名無し2021/11/07(日) 00:15:30.34ID:dT442SKT0
その途中で出会った人物からこうアドバイスされる。
「こんな事をしても何も変わらない。
本当に状況を変えたいなら、この施設の“管理者”に訴えかけなければならない。
しかし、管理者に人の心など無い。
ならば、この料理を作ってくれている“0階層”の者達に訴えかけろ」
そして、その人物はパンナコッタという美しいデザートを指し示す。
「この、0階層の料理人達が丹念に作ってくれたのであろうパンナコッタを、完全な“手付かず”の状態で残し、“伝言”として送り返すのだ。
そうすれば何かが変わるかもしれない」
主人公達はそれを実践することにし、底階層の人々に食糧を分け与えながら、パンナコッタだけは大切に死守し続けた。
しかし、逆らう者だって当然いる。
ある階層では、刃物を持った屈強な男二人が襲いかかって来た。
主人公は頭部を何度も強打され、黒人は脚の頸動脈を斬られた。
二人は瀕死の重症を負わされながらもなんとか勝利し、さらに下へ下へと降りていく。
とうとうパンナコッタ以外の食べ物が無くなり、施設の最下位、地の奥底である333番目の階層へとたどり着く。

780: 本当にあった怖い名無し2021/11/07(日) 00:18:04.56ID:dT442SKT0
そこには誰もいないかと思われたが、なんと物陰に幼い子供が隠れていた。
もう食べていい物は無い。だが、その飢えた子供は主人公達の持つパンナコッタに羨望の眼差しを向ける。
それに堪えきれず、主人公達は台座から降りて、子供にパンナコッタを与えてしまった。
そうしているうちに台座が動き出し、主人公達を置き去りにして行く。
主人公達の行動は全て徒労に終わった。あとはこの最底辺で死を待つだけなのだ。
絶望に沈みながら眠る主人公達。

その日の夜、また老人が夢に現れ、主人公に語りかけてくる。
「あの子に何が出来るのか、お前はわからないのか?」
老人だけではなく、この施設で主人公と出会って別れた人々が次々と現れ、主人公に語りかけてくる。
子供について言及する者。無言で子供を指差す者。
そして最後に黒人が現れ、「あの子は“伝言”だ!」と叫ぶ。

主人公が目を覚ますと、ちょうど翌日の台座が到着していた。
主人公は黒人を起こそうとするが、黒人は既に出血多量で冷たくなっていた。
主人公は、最後の力を振り絞って子供を台座に乗せる。子供の頭を優しく撫でてやり、眠りにつかせる。
すると、なんとあの死んだ筈の老人が現れる。
「よくやった。その子の存在は“伝言”に成り得る。お前の旅は終わった。台座から降りなさい」
その言葉に、主人公は自分も死んだのだという事を悟り、台座から降りる。
やがて、台座は子供を乗せたまま上昇して行く。
主人公と二人で台座を見上げながら、老人は言う。
「きっと、伝わるだろう」

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