後味の悪い話

【後味の悪い話】リック&モーティ「困った時は酸のタンク」

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55:本当にあった怖い名無し2021/03/30(火) 15:57:48.45ID:wSJKS75O0
リック&モーティという海外アニメの「困った時は酸のタンク」というエピソード
主人公の老人リックは天才マッドサイエンティストで、パラレルワールドに纏わる発明を得意としている
そんな天才のリックだが、偏屈な変人であるため、時には珍妙な発明もする
「酸のタンク」は、酸に見せかけた無害な液体の溜まったタンクに飛び込むことにより、「自殺した」と見せ掛けることで「厄介事をやり過ごす」という発明品であり、リックにとっては自信作だった。

リックの孫である少年モーティは、この酸のタンクをボロクソに酷評し、「これならセーブ装置でも造った方がいい」と言う

モーティの言うセーブ装置とは、ドラマかアニメに登場したアイテムであるらしく、「リセットボタンを押すことで、過去にセーブボタンを押した時間に戻る事が出来る」というタイムマシンみたいな代物

しかしリックは「セーブ装置など造らない」とバッサリ切り捨てる。彼は以前からタイムトラベルという概念に否定的であることを公言しているのだ
するとモーティは「造らないんじゃなく、造れないんじゃないの?」と言ってリックを煽り始める

リックは「ワシを挑発して、造らせようという魂胆なんだろう?」と返すが、あまりにもモーティが煽り散らしてくるため、とうとうぶちギレて発狂し、徹夜でセーブ装置を完成させることに成功
それはセーブとリセットの2つのボタンが付いただけのシンプルな設計の装置
リックはモーティにセーブ装置を渡すと「説明はいるか?」と問うが、大喜びしているモーティは「すぐにでも使いたい!」と言ってセーブ装置を持って駆け出す

それからのモーティは何でもかんでもやりたい放題で、セーブして悪事を働いてはリセットして「無かった事」にするという行為を数え切れないほど何度も何度も繰り返した。

奇声を上げながら警察官に襲いかかって射殺されたり、
信号待ちしていた車椅子の男性を突き飛ばしたり、
ヤク中とつるんで車で暴走して何人もの歩行者をなぎ倒したりと、
普通は出来ないような事をやってやってやりまくった

456:本当にあった怖い名無し2021/03/30(火) 15:58:36.32ID:wSJKS75O0
そなある時、モーティがポルノ・ショーの会場に入ろうとしていた際、偶然にも1人の素敵な女性と出会う
彼女とモーティは驚く程に気が合い、交際がスタート
お互いの両親とも挨拶をすませ、なんと中学生なのに2人で同棲生活を始める
ケンカをすることもあったが、仲直りして、2人で旅行に出掛けた

しかし、飛行機が真っ二つになって雪山に墜落
モーティと彼女は奇跡的に墜落を生き延びたが、涙と鼻水も凍り付くような極寒の地でのサバイバル生活を余儀無くされることになる
スマホが有れば助けを呼べるが、スマホを入れていたリュックサックは雪山の何処かへと落ちてしまっていた
とうとう靴すら食べ付くし、墜落で亡くなった人の肉を食べるかどうかという瀬戸際まで追い詰められた時、彼女の泣き顔を見たモーティは、スマホを探し出す決意をする
涙ながらに引き留める彼女を飛行機の残骸の中に残し、モーティは極寒の雪山を探索する
そして凍傷で瀕死の状態に陥りながら、とうとう自分のリュックサックを発見する

リュックサックからスマホを取り出して911を押そうとするが、凍傷で紫色に変色した腐りかけの指がトマトのようにブチュっと潰れてスマホ画面に貼り付き、引き剥がす際に骨が露出した

そこで、スマホと一緒にリュックサックに入れていたセーブ装置が目に止まる
そう、セーブ装置のリセットボタンさえ押せば、全て無かった事に出来て、健康な体で元の生活に戻れるのだ。

それでもモーティはリセットを押さず、スマホで911に連絡を取った。リセットをすれば、これまで彼女と過ごしてきた蜜月の時を失うことになるからだ。

そこで意識を失い、目を覚ました時には、暖かい病院のベッドの上であり、家族たちに囲まれていた。
そして、そこには彼女もいた
モーティは後遺症を抱えながらもリハビリを経て退院する
自宅では生還を祝した「おかえりなさいパーティー」が開かれており、愛する人々と彼女に囲まれながら、モーティは帰還を果たしたのであった

457:本当にあった怖い名無し2021/03/30(火) 16:00:19.12ID:wSJKS75O0
そこでモーティの父がテレビのチャンネルを変えようとして、テレビリモコンと間違えてセーブ装置のリセットボタンを押してしまう

モーティが過ごした彼女との蜜月の時は一瞬にしてリセットされて「無かった事」になり、モーティはポルノ・ショーの会場の前にまで戻された
半狂乱で再び彼女とコンタクトしようとするが、今度は不審者扱いされ、催涙スプレーを吹き掛けられる
リセットして再チャレンジするが、結果は同じ。何度繰り返し、いくら自分達が相思相愛だったのかを語っても、彼女と恋人に戻る事は出来なかった
絶望したモーティは自殺とリセットを繰り返した後に、セーブ装置をリックに返しに行く

「好き放題出来て楽しかったよ。そして学んだんだ。
装置を使っていて思った、何のための人生だ?って。
過去を気にして、未来を見ていない。
あらゆる経験によって人生は作られる。
嫌な現実を消すなんてことは、良くないことなんだ・・・」

リック「・・・現実は消せないぞ?」
モーティ「どういうこと?」
リック「現実は現実として残っている」
モーティ「でも、リセットしてやり直した」
リック「違う、リセットなんてしてない。別の行動を重ねただけだ」
モーティ「?」
リック「お前はセーブもリセットもしていない。私はタイムトラベルに否定的なんだよ」

ここで、リックの口からセーブ装置の正体と種明かしがされる

458本当にあった怖い名無し2021/03/30(火) 16:02:36.38ID:wSJKS75O0
セーブ装置は時間を巻き戻す装置ではなく、リセットをした時点で「世界を分岐」させ、使用者をパラレルワールドへと転移させる装置だった。
そして、今までモーティが「リセット」した回数分だけ、「モーティが死んだ平行世界」「モーティが人を殺した平行世界」が存在しているのだ。

真相を知って嘆くモーティ
「平行世界で死んだ僕を救いたい!平行世界で僕が殺してしまった人々を救いたい!」
リックは「1つだけ方法がある」と言う
それは「集約」というセーブ装置の隠し機能
それを使えば全ての平行世界が「無かった事」になるのだが、今この世界で生きる人々は「モーティに殺された」という平行世界での記憶を得ることになるのだ
それほモーティ個人にとっては苦しい事であったが、 彼はそれを受け入れ、集約を行う

リック「大量殺人鬼め、報いを受けろ」

モーティの家に、怒れる人々が押し寄せる
S.W.A.T.、消防隊、暴徒、様々な団体、最高裁の判事・・・
あわてふためくモーティ
リックが「解決策が有る」と言って、「酸のタンク」を用意していた
リック「どうすればいいか、わかるな?」
モーティは人々の面前で酸のタンクに入り、自殺したかに見せかけた
それを見届けた人々は溜飲が下がり、帰っていく

リック「二度と私の発明をバカにするなよ?」

459本当にあった怖い名無し2021/03/30(火) 16:05:38.05ID:wSJKS75O0
ちなみにモーティが酸のタンクに入る時に例の彼女(集約が為されたことによって、モーティと相思相愛だった記憶を得た)が現場に駆け付けて来ていて、
酸に浮かんだ骨(偽物)を見て顔を覆って泣きながら去っていくというシーンがあった

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