後味の悪い話

【後味の悪い話】高橋葉介の短編

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389: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/03(日) 17:34:06.75 ID:Dz5+w9tC0.net
高橋葉介の短編

主人公の青年(メガネ)は、親友(暗そうなイケメン)と広い居間で話している。
話題は、庭の池に住んでいる巨大な亀の話だ。

メガネの「いやー、見事なもんだね。ここまで育てるのには苦労したろ?」と言う問いに
親友は「うん、今年で25年目かな……」と答える。

ふと、親友はその亀との出会いを語り始める。
子供の頃、彼は道を歩いていると、露店のオッサンがいた。
籠の中の3匹のカメを見せて
オッサン「ボウヤ、亀はいらないかね? 今なら3匹で1000円だよっ」と尋ねる。
少年時代の親友が「いらないよ、そんなの」と答えると、何とオッサンは亀の一匹をトンカチで叩き殺してしまった。
親友の「何するの、やめて!」と言う静止にも、「売れないんじゃ、こうするしかないだろう」 と、オッサンは二匹目のカメも叩き潰してしまう。
「買わないって言うなら、残った一匹も……」とトンカチを振りかぶるオッサンに「分かった、買うよ!買うから酷い事はやめてっ!」と結局購入してしまう。

390: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/03(日) 17:38:38.00 ID:Dz5+w9tC0.net
オッサンは、次の日も同じ場所に居た。
ある時はヒヨコ、次の日は猫、次の日はウサギ……。
様々な小動物を購入するように迫り、購入を渋るとトンカチを振りかぶって殺そうとする素振りを見せる。
心優しい親友は、毎回購入する事になってしまったのだった。

親友「どれも、あの亀ほどは長生きしなかったけどね……」
メガネ「やれやれ、ヒドイ人もいたもんだな」
親友「でもね、あの日の事だよ……」

親友はその日も同じ道を歩いた。
もし自分がその露店に行かなかったら、その生き物は殺されてしまう。
そんな事を考えてしまうからだ。

しかし、その日の売り物は毛色が違った。

オッサン「太っ腹なボウヤ、今日の商品はコレだよ。10円でどうだい?」

赤子。人間の赤子だ。

391: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/05/03(日) 17:44:08.49 ID:Dz5+w9tC0.net
親友「え……っ? え……っ?」

親友が戸惑う様子を見せると、オッサンはトンカチを振りかぶって……

オッサン「いらないんなら、仕方無いな」

グチャ
飛び散る血しぶき。

ここで、場面は現代に戻る。

メガネ「そ、そんな……とんでもない話じゃないか!」
親友「……」
メガネ「そ、それで、その後どうなったんだ!?」
親友「まだ生きてたからね」

親友「『買った』よ」

ここで、部屋のフスマがガラリと開き、和服を着た清楚な女性が現れる。

親友「紹介が遅れたね。ボク、結婚したんだ」
女性「初めまして、家内でございます」

その女性の頭には、トンカチで殴ったような青いアザがあった……。

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